第17話 MPの概念







  禁煙エリア? それとも大相撲的なフロアから開放されれば、今度から全うなダンジョンらしく、HP補給ポイントとして陽気なターク(トルコ人)のケバブ屋さんで楽しい食事の時間を過ごしたり、何故か一緒について来た力士衆やティターン族(巨人族)たちを労うべく、ついでだからとケバブを全部買い取ってご馳走したりすれば、タークは大喜びで店仕舞いって訳だ。


 商魂たくましいけれど、どこかおおらかで最高だね!


 ああ、また食べたいからダンジョンではなく、エステライヒでの出店場所を探してやるから、どうかよろしく頼むぜ?


 HP補給、またはお腹を満たした総勢94人のパーティーは、友好的な相手には情報料を払って味方に付け、こちらに敵対する相手を数と質量でごり押しすれば、あっという間に最下層へと到着。


 おいおい、チート嫁であるウィラと行く、異世界ダンジョン夫婦漫才紀行のはずが、めちゃくちゃ人数多くて企画倒れになってないかい? HAHAHA!


 さて、冗談はともかく、このフロアが『反魔王派魔獣戦線』残党の根城であり、彼らを掃討すれば依頼達成、今回のダンジョン攻略でいう千秋楽になることだろう。


 もっとも、正規軍の訓練を受けた彼らを討伐するにあたり、間違いなくタフな戦いとなることだろう。


 それどころか、このフロアに鎮座する要塞のような彼らの根城を、どのようにして攻略するか……まずはそうだね、火力を強化する他にないな。


 まわしだけの男気溢れる力士衆も、流石に心許ないからか、素肌の上に鎧と兜を纏い、太刀を装備することで近接戦闘はバッチリ。


 ついでにアリサカライフルのようなものを貸与するだけでは、まだまだ心許ない……エステライヒ軍の軽砲(口径105mm以下の大砲)も有効に活用して貰おう。


 MPとやらが許す限り、盛大に撃ち込んで鎮圧だ!……となるはずだったのだが……。


『『『『『……bbbbbang!!』』』』』


『TATATANG!……』『『『『BABABANG!』』』』


『『『『『……bbbbbang!!』』』』』


『BOON!!…………bung!!』


「魔王様! 相手の火力、想像以上に濃密です!」


『『『『……bbbbbang!!』』』』


「おう、おまけに軽砲をぶっぱなしたからな、爆炎と土煙で視界が最悪だ!」『TATATANG!』


「ダンジョンで砲は有効的じゃありませんな!」『『『BABABANG!……』』』


『『『TANG!!……』』』


『BOON!!……bung!!』


『『『『……bbbbbang!!』』』』


 幸いにしてダンジョンだからこそ遮蔽物に困らないが、『TATATANG!』……軽砲を有効的に使えていないことで、こちらに引けをとらない『反魔王派魔獣戦線』残党たちの火力を前に、一歩も前進すら出来ていない。


 かといって、このまま無闇に突っ込めば蜂の巣でリスポーン確定、報酬をあてにしたちゃんこ鍋の予算が、そして盛大に弾を撃った分だけ目減りするMP……あれ、これってさ、もしかして……MP(マジックポイント)ではなく、マネーポイントって意味じゃないよね?


 そうなるとまずいな、インド人の召喚にルピーを支払い、T72のレンタルにルーブル、M1A2エイブラムスをレンタルしたときにアメリカドル支払ったものだから、かなりまずいぞ……。


 そもそも俺はさ、自分のMP(マネーポイント)こと、貯蓄額がいくらなのかすら、全く把握していないからね?───。








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