第27話 こんなはずじゃないんだが
私はドム・フォーリア、20歳。このフォーリア王国の時期国王である。
私は本来ならば今頃愛しのエリザベスと共にむふふな毎日を送っていたはずである。
まず彼女の頭をいじくって私だけを敬うようにし、彼女の身体の感度を高めて自ら私を求めてくるようにする。
そして抱いてくださいと懇願するところへ私がとびっきりの愛情を注いでやる。
私の計画は完璧だったはずだ。
なのになぜ、鎖で繋がれて近隣諸国のクソジジイ共から見下されなくてはならないのだ?
しかも、クソ親父、石になったんじゃなかったの? 何で元に戻ってるの?
邪魔だから石のままで良かったんだけど。
このやけに媚び売ってきていたバルドを信じたのが間違いだったか?
バルドと2人なら国だけじゃない、近隣諸国だって我が物にできると思ったのに。
結局このおじさん全然使えなかったな。
それにどれだけ探しても私の愛しのエリザベスは見つからない。
あのウザい騎士団長が誘拐したんだ。あいつも見つからないからな。
あの偽善野郎、昔の王族だか何だか知らんが変な正義感を振りかざして、いちいち村なんぞに手を焼きおって面倒くさい。
2人で消えたのなら好都合、元々あの騎士団長に全部の罪を擦り付ける予定だったから反論してくる本人がいないのはまたとないチャンスであったはずだ。
なのになぜ、本人が逃亡しておりいないのにもかかわらず、あいつ寄りの勢力が多いんだ?
バルドが召喚をチラつかせることでようやく弱い国を落とせそうなくらいだった。
あいつの弟共もそうだ。証拠も何もないのになぜあんな堂々と兄は潔白だと言い切れる?
なぜあんな強い意志を持った瞳でそう断言できる?
家族なら無条件に信じられるのか?
でも私は今家族である父親に断罪されようとしているぞ?
昔は優しくて何でも思い通りに動く召使のようだったのに。いつからか立派な国王にするためだとか言って厳しくなりやがって。
みんな頭おかしいんじゃないのか?
そうだ、そうに違いない。私は何も悪くない。なのにこんな仕打ちあんまりだ。
くそっ、こんな、こんなはずじゃなかったんだ……!
おいバルド。お前が撒いた種だろ。さっさとなんとかしろよ!
何で黙ってクソ親父のことを睨みつけてるだけなんだよ。何とか言えよこら!
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