第18話


俺と紫ちゃんは再び異世界に来ていたが今回は別行動をしましょうと言われた。それは俺にとって都合が良かった、行きたい場所もあるので余計に都合が良すぎる。






その提案に喜んで受け入れた、紫ちゃんの考えだとまたあのような失態を見せられないと言う理由で同行してほしくないらしい。






まあ、そうだよね。普通に考えてあのような失態を見せられたら恥ずかしくて死んでしまいそうだもんな、紫ちゃんの思いは理解した。その上に俺も俺で考えがあるからな・・・もしかしたらあの女性の親戚かもしれないからな。佐藤と名前は多くの人がいるから最初は全然気にしていなかったけど顔の火傷が治り始めて見えてきたあの顔は・・・俺の人生で一番辛いことをさせた憎いし、怖い女性でもある人生の初恋の人に非常に似ている。






なので出来る限りに離れたいと思っていたので良かったと思いながら俺は久しぶりに椛さんたちに会いに行こうとしてお土産に栗饅頭など持っていきながら椛さんと出会った神社にリオに乗って向かうのだった。






ついでにリオも栗饅頭が欲しいのか見つめていたので俺用に残していた栗饅頭を半分ほどあげるといつも以上に元気よく飛び出した。リオ、お前も栗饅頭の美味しさを理解してくれたのかと嬉しくなりながら俺とリオは神社に辿り着いた。






それで外でゆったりとしていた椛さんを見つけたので早速、声をかけることにしたのだった。






「椛さんー、お久しぶりです!元気にしておりましたか。明日の夜には帰らないといけませんが会いに来ました」






そう伝えるとこちらの存在に気が付いて全く、夜はどこにもかくれたりはせぬのじゃと言って笑みを見せてきたので元気そうで何よりだと思いながら俺は話を続ける事にした。






「そうだ!この前の事で帰る前に今度、こちらに来たらお土産を持ってくるという約束をしておりましたので栗饅頭でも持ってきたのですが、食べますか?」






そう伝えた瞬間に椛さんはありえない速さでこちらに接近して栗饅頭は何処なのじゃと口から聖液・・・ではなくて涎が出て匂いで探していた。ヤバイ!滅茶苦茶に可愛いですけどこれって写真でも撮影しても宜しいでしょうかと思ったけどこのチャンスを無駄にしてはいけないと感じてすぐにスマホを取り出して撮影したもちろん栗饅頭を出すと椛さんの尻尾はブンブンと尻尾を振って喜んでいた。






こんなにいつものも妖狐みたいな威厳はなくただ可愛い生物に変身するなんて椛さん、これで俺は半年は戦えますよ(意味深)、そんなことを考えていたら近くから妖狐そのモノの声が近くに聞こえた。






「貴様、椛様のあのような姿を見てタダで返すと思っていたのか」






そう聞こえたので振り返ってみるとこちらに対しては睨みつけていたけど椛さんの方を見ると鼻血が小さな滝のように流れては幸せな顔をして見守っていた。これはあれだ、行き過ぎた忠誠心のたどり着く末に見られる行動だなと苦笑いしてこちらも見ていた。






とりあえず落ち着いてから話を再開させようと考えてので二人が満足するまで俺は待つことになった。ついでに暇だったので動画も継続して撮影をしていた。その後にようやく終えた様子なので話し合いを始めた。






「そそ、それでは余に対するお土産は本当に感謝をしているのじゃ・・・だが、先程の光景を忘れてほしいのじゃ。今更、冷静になり恥ずかしくなってきたのじゃ」






先程の行動を恥ずかしくなってきて真っ赤にしてお願いをしてきたけど俺と狐菊は笑みを浮かべながら返答をしたのだった。






「いや〜、椛さん、そんな事をお願いしてもあのあまりにも可愛い行動した椛さんを忘れろうと思っても忘れられませんよ」






「そうですよ、椛様!あんなに可愛い椛様を私は己の墓まで持ち帰るつもりですよ。本当に可愛いすぎて滝のように血を流して貧血で死ぬかと思いましたよ」






「お主らーー、それに狐菊!!お主はもう少しだけでもマシな嘘をつくが良い。誰が聞いても嘘だとバレるぞ」






椛さん、そう思いたいですよね。俺もそう思いたいですけど現実はかなりヤバいですよ。真面目に貧血で死んでもおかしくない程の血を椛さんの可愛い姿を見て流していましたよ。とにかく今は何を言っても信じてくれないだろうから目を治したらそれを見て現実を知ってほしいと思うのだった。






そしてここに来てこの神社に来てから全く休めていないので休める場所で休みながら話をしませんかとお願いした。こちらは仕事を終えて真っ直ぐに来たので仕事の疲れが溜まっているから何処かに座りたいとお願いすると神社に案内してもらった。






もちろん狐菊も同行した、椛様に変な事をしたらすぐに滅する為にと警戒心を出していた。安心して下さいよ、俺にそんな勇気はありませんからと言ったけど信用してくれずに同行したのだった。






その後に案内されて神社の中に入ると疲れがさらに一気に襲ってきて同時に眠気も襲ってきて不味いと感じながらも寝ない様に努力しようとした。






しかし、椛さんの話が半分以上、耳に入ってこずに目を必死に開けようとしては目を閉ざしては開けての繰り返しだった。それを見ていた狐菊が椛さんに対して説明を始めた。






「椛様、この人間はかなり眠たそうにしておりますので一度、寝かせないと何も反応はしないと思います。それにしても人間、どれだけ疲れているのだ。いくら部屋に入って落ち着いたとはいえここまで早く・・・はぁ、駄目そうです。この事もほとんど耳に入っていないと思います」






すると椛さんは何かしようと始めたけどそれを見た狐菊が慌てて止めてきたけど何をするつもりだったのかなと思いながらも俺は意識がなくなり寝てしまったのだった。






そうして次に目を覚ましてみると頭から生暖かいものを感じて触ってみると次の瞬間に近くから大声で意識をはっきりとさせた。






「お前はどこを触っているのだ!変態め、さっさと起きたら私から離れよ!!」






そう、狐菊が寝ている俺を膝枕で寝かせてもらっていたのだ。これには流石に悪かったと思ってすぐに謝罪をしてからどうして俺の為に膝枕をしてくれたのですかと尋ねると狐菊は別にお前のためではないこれ以上椛様を汚されない為に私がやっただけだと言ってきた。






意味がわからない俺は詳しい話を聞いてもよろしいですかと聞いてから話を聞いた。俺が寝てしまった後に椛さんが前みたいに膝枕をしてあげようとしたらしくそれを狐菊が必死に止めていたけどお土産など貰っておいて何もしないのは失礼なのじゃと言ってやろうとしていたので代わりに私がやりますと身代わりになったと言うのだ。






身代わりって・・・でもやってもらったお陰で首元が傷まなくて済んだのでお礼を伝えるとお前は本当におかしなやつだと言われてしまった。普通の人間なら私達を見ただけでも怯えては排除しようとするのに怯える様子もなくむしろ好意にしているので本当にわからない奴だと言われるのだった。






確かに他の者に比べたら変かもしれないけどそこまで言うほどは変ではない、少なくても未だに厨二病をしている同僚に比べたら可愛い方だとそこだけははっきりと言える。






そんな事もあったけど話しているとお腹が空いてきたので何か作ろうかなと考えたけど食材を持ってきていなかったと思いだしてしまった。しまった、最近は現地調達をすることが増えてきていたのですっかりと忘れてしまっていた。






持っているのは非常食のレトルトカレーにカロリーメイトそしてご飯しかなく、俺はこれらを見てヤバいと感じているとそれを見ていた狐菊がそれはなんだと聞いてきたので説明することにした。






「これはレトルトカレーとカロリーメイトそして見れば分かるけどご飯だよ。カレーと言うものは知っている、狐菊」






「ふん!そんなもの・・・知っているわけがないだろう」






知ってもいないのに威張るなと言ってからなら食べてみるかと聞いてみるとそれは美味しいのかと聞かれたのでそこそこに美味しいと思うと返事を返した。






なら食べてそれを知ってみせると言って食べる気が起きてしまった。これは他人に食べさせるほどにはと考えたけど食べてみたいというのなら断る理由もないかと思い考え直してなら準備をすると伝えた。






まあ、準備と言ってもお湯を沸かして温めるだけでカレーは完成してご飯も炊くのみだからあっという間に完成した。すると何か良い匂いがするのじゃと早速、椛さんが興味に惹かれたのですぐに狐菊は警戒して私が毒味を致しますと言って食べた。






と言うかどんだけ椛さんを守りたいだよ、警戒心をそこまでするとは・・・・うん?毒味にしては多すぎませんか。それに一回だけではないですけど何回も食べているですけどと内心、ツッコミを入れて口に出そうとした時には完食してしまった。






そして完食してから椛様、毒はありませんでしたと報告して椛さんも目が見えていないけど匂いが薄くなってきたことで全て食べたのかと少しばかり怒りを表して言うといいえ、完食などしておりませんと平気な顔で嘘をつこうとしていたのでここで俺が本当のことを伝えた。






「あの・・・椛さん、正直に言いますね。狐菊がもの凄い勢いでレトルトカレーを全て完食してしまいました。彼女は平気で嘘をつこうとしていますよ」






「貴様ーー!!椛様、私は嘘をついておりません。私を信じてください。嘘をついているのはあの男です、決して私ではありませんから」






「椛さん、俺がもし嘘をついていた時には栗饅頭を百個、差し上げますよ。その覚悟として俺用にと残してある栗饅頭を二つほど差し上げますよ」






そう言って俺は実際に栗饅頭を二つほど椛さんに差し上げると狐菊が見る見る顔色が真っ青になってきて笑顔をして必死に椛さんに対して言い訳と謝罪をしようとした時に椛さんから怒りのオーラを出しながら狐菊に対して伝えるのだった。






「狐菊よ、お主はどの属性で殺されてほしいのじゃ、最期だから今までの付き合いに免じて選ばしてあげるのじゃ」






それを聞いた瞬間に狐菊はもの凄い勢いで逃げ出したのである間違いなく命がかかった逃走劇が始まったけどそれを見た椛さんはそうか、そうか、お主は余の怒りの業火に焼かれて死にたいのかと言って何か服の中から御札を取り出したと思ってみていると何か呪文らしいものを唱え始めた。






「暁より舞い上がる、業火よ、邪気をなぎ払え、炎波!!」






すると椛さんは狐菊に対して御札を投げ飛ばすと急に御札から巨大な炎が現れてそれが波の様にも見えて狐菊を飲み込んだ。熱ーーーーい!!と悲痛の叫び声が聞こえたけど助ける勇気がないのだ、せめて骨ぐらいは拾っておいてあげるからと思いながら見守っていた。






終えると黒焦げになって黄色の狐から黒い妖狐に変貌して現れたと思うと倒れた、そして椛さんは良いか、食べ物の恨みは怖いじゃよと身を持って狐菊は思い知った。ここで俺がまだ先程と同じやつが残っておりますので作りますよと伝えると嬉しそうにしてお願いをしてきた。






それを聞いた狐菊はそれをもっと早く言えば私が嘘をつく必要はなかったし燃やされることもなかったのにと堂々と言ってしまった。






それに気がついた狐菊は一瞬、あっ、と声に出して固まったと思うとすぐにそう考えていた二人の姿は面白かったですよと言ってきて必死に誤魔化そうとしていた。






まあ、椛さんを誤魔化すことなど出来るはずもなく狐菊はこの後に色々とさせられることになった。すると狐菊はあのレトルトカレーがいけないですよ、あそこまで美味しいから私が気を狂わせられたのです。私は被害者なのですと必死に言っていたからしっかりと謝ればまた持ってきてあげるからと伝えるとその瞬間に土下座をして話した。






「この度は私の心が弱いばかりに招いてしまった出来事に謝罪を致します。今後、このような事が起きないように深く反省をして過ちを繰り返させないように努力を致します。この度は椛様、そして異界から持ってきた竜輝殿に深くお詫び致します」






滅茶苦茶に真面目な謝罪の言葉が出てきたと感じていた。どんだけレトルトカレーが気に入ったのと思いで見ていた、その時に椛さんに聞きたいことがあったので聞いてみることにした。






それは先程の陰陽術みたいなあれは俺でも使えるようになりますかと尋ねてみると椛さんはそうじゃなと言って先程の炎波なら使えるようになれるのじゃと言われたので俺はそれを教えて欲しいとお願いをしてみた。






すると椛さんは意外と大変だし何も報酬は無いのに教えるのは流石に嫌じゃと言ってきたので報酬は栗饅頭、20個と伝えると瞬時に態度を変えたのであった。






「これから陰陽術の修行に向かうのじゃ、後に続くのじゃ」




そう言ってやる気満々になってくれた。確かに栗饅頭の数は多いけどそれで教えてくれるなら安い買い物かなと考え方を改めてお願いしていた通りに残りの時間を修行に費やすのであった。






本日の成果


椛さんが栗饅頭が大変気に入った!


狐菊がレトルトカレー(辛口)を大変なほどに気に入った!


この目で始めて陰陽術を観察した!


椛さんに炎波を教えてもらえる様にお願いして請け負ってくれた!(代わりに栗饅頭、20個を献上)

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