第27話 暗闇の中のガーデンパーティー

涼子は次なるイベント「暗闇の中のガーデンパーティー」を企画した。この体験は、参加者が暗闇の中で庭園の自然と交流し、感覚を研ぎ澄ませることに重点を置いていた。目的は、視覚を奪われた状態で自然の音、香り、触感を深く味わい、季節の変化を感じ取ることだった。


イベントのために、涼子は虚無堂の庭に様々な植物や花を植え、自然の香りが漂うよう工夫した。庭にはさまざまな質感の植物を配置し、参加者が触れることでそれぞれの特徴を感じ取れるようにした。また、庭の隅々には小さな風鈴や、水の流れる音が聞こえる装置を設置して、聴覚も刺激する環境を作り出した。


暗闇の中、参加者たちは涼子の案内でゆっくりと庭に入り、各自が好きな場所を選んで静かに座った。涼子は、参加者に自然の中で深呼吸をするよう促し、周囲の音や香りに意識を向けるように説明した。


夜風が吹く中、庭の様々な植物からは花や葉、土の混じった自然な香りが立ちのぼり、参加者たちはそれぞれの香りを楽しんだ。暗闇の中でのガーデンパーティーは、視覚のない状態で自然を感じる新しい方法を提供し、参加者の感覚を刺激した。


イベントの途中で、涼子は参加者たちに自然の音に耳を傾ける時間を持たせた。静かな夜の中で、遠くの虫の声や風が植物を通り抜けるささやき音が聞こえ、それが参加者にとって瞑想的な体験となった。


最後に、参加者たちは集まり、暗闇の中で感じた自然の美しさについて語り合った。多くの人が、「目で見ないことで、他の感覚が鋭くなり、自然との一体感が深まった」と感想を述べた。また、ある参加者は「普段は見過ごしてしまう自然の細部に気づくことができ、心が洗われたようだ」と話した。


涼子はこのガーデンパーティーが参加者に自然との新たな繋がりを感じさせ、忘れがたい体験を提供したことに満足し、今後も虚無堂でこのようなユニークなイベントを続けることを決意した。暗闇の中でのガーデンパーティーは、参加者たちにとって心に残る静かで平和な夜となり、虚無堂の体験の多様性と深さを再確認する機会となった。

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