第2話 幼馴染が学校を休んだ

「今日も来てないのか……」


 あの日から二日、綾は学校に来ていない。


 生徒達も学校のアイドル的存在がいないからかつまらなさそうな顔をしている。


「おはよ、久我くん。」


「ああ、おはよう朝野」


 彼女は朝野日菜。クラスの女子のリーダー格的な存在で綾の親友でもある。


「綾、今日も来てないんだね。久我くん理由知ってる?」


「いや、知らない」


「そっか、久我くんも知らないんだね。私も連絡してみたんだけど既読つかなくて」


 2日前の時点でかなりショックを受けていたからな、恐らく今頃もっと悪化してるだろう。


 連絡に気づく余裕がなくても無理はない。


「きっと風邪だろう。すぐに直って登校してくるさ」

 

「だといいんだけど……」


「心配か?」


「もちろん、だって親友だもん」


 その声から本当に心配していることがよくわかった。


 本当に綾はいい友を持ったな


 幼馴染にいい友達がいることに少し喜びつつ、朝野を安心させるように声をかける。


「安心してくれ。今日俺が行って様子を見てくる。」


「私も行っていい?」


「いや、やめておいた方がいい。もし風邪の場合移ると困るからな。だが朝野の気持ちはしっかり綾に伝えておく」

 

 恐らくかなり弱っているだろうからな。綾名誉の為にもそんな姿を同級生に見せるわけにはいかない。


「じゃあお願い久我くん」


「ああ、任された」


 

 ◇



「悠斗……」


 私はベットに踞り最も大切な人の名前を呟く。名前を口にしていないと精神を落ち着かせることができないから。


 2日前悠斗が突然彼女が出来たと言った。


 初めてのデートもキスも……その先も全てもうその女としたらしい。


 その女と悠斗が愛し合っているところを想像するだけで私は目眩が止まらなかった

 

 悠斗は可愛くて礼儀正しいいい子と言っていたが……それ、私にもある。


 私はそれ以外の分野でもその女に勝ってる自信がある。


 なのに悠斗は幼馴染の私じゃなくて見知らぬ他校の女と付き合った……なんで私を選んでくれないの? ねぇ、悠斗……なんで?


 なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんでなんで?なんで?


 私には悠斗しかない。悠斗がいない人生は考えられない。


 悠斗も私がいなきゃきっと駄目なはずだ。


 そうだ、きっと優斗はその女に洗脳されているんだ。可哀想に……私以外と付き合わされちゃうなんて。


 でも大丈夫だよ、悠斗。私がその洗脳をといてあげる。


 そして今度こそ私しか見られないようにちゃんと教えてあげなきゃ。


 ———ピンポーン

 

 その時家のインターホンがなった。


 あ、悠人だ! きっと私に会いたくて会いたくてしょうがなくて来ちゃったんだ。ふふ、きっとそう。


「今行くね、悠斗♡」


私は自分の部屋を出て玄関へと向かった。


 

 

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