総括

 LaTeXの話と言いつつ半ばMarkupの説明の続きになってしまいましたが、小説を書く際に LaTeXを使うことの宣伝は以上です。


 主張としては、執筆の意図と文章の意図を分けることができることと、強力な引用機能があることに尽きますね。この性質はほとんどの Markup言語も備えています。


 ただし、公平さの観点から、 LaTeXを使うことのデメリットもお話しなくてはいけないでしょう。


 以下にこれまでで述べた以外の LaTeXのメリットを並べるとともに、デメリットも並べておきます。


 メリット


 ・ \newcommand, \renewcommandを用いることで、書く際の単語と文章としての単語を別に管理できる

 ・数式機能が強力(ギリシャ文字や上付き、下付き文字などを含む)

 ・図表の挿入が簡潔な記法にも関わらず強力

 ・ PDF の出力に際してレイアウトが自動で調節される(出版に耐えられるほど)

 ・歴史のある言語(古い言語)なので、安定している


 デメリット


 ・あくまでも組版システムのため、印刷を前提とした出力(PDF)になる。つまり、コピペでの投稿には向かない

 ・上を回避するために HTMLでの出力をするプログラム[3]があるが、初学者が導入するのはおそらく難しい

 ・様々な意味付けが可能な分、覚えるべき表現も多く、学習コストが高い

 ・(メリットとのトレードオフだが)実際の表示よりもタイプするべき文字数が多くなる

 ・日本語での使用の場合は半角(命令)と全角(本文)を行き来する頻度が多くなる

 ・編集内容を確かめるためにいちいち作業(コンパイル)の手間がかかる(編集するソフト次第ではリアルタイムで反映してくれることもあるが、マシンスペックと要相談)

 ・間違った命令をしたときのメッセージ(エラーコード)が他のコンピュータ言語と比べても読みにくい(と筆者は感じている)

 ・歴史のある言語(古い言語)なので、今となってはアレな仕様もある(例えばjarticleとか……)


 結論として、 LaTeXは資料を書く際には(学習コストを許容すれば)極めて強力なツールとなりますが、 WEB投稿を前提とした作品そのものの執筆には向かないでしょう。


 そこで、もう1つ紹介したい Markup言語があります。それが、次の節で紹介する、 Markdownです。

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