コメントアウト

 さらに、 Markup言語の利点は意図を使い分ける事ができるだけではありません。


 もしも、あなたが象の姿を見たときに大きさ以外にも肌の質感などにも目を留めることができるのならば、「まず、象はデカイ。めっっちゃデカイ。」の下の行にある「% 要出典」が、出力された文章には表示されていないことに気がつくことができるでしょう。


 これはコンピュータ言語でよく使われる「コメントアウト」と呼ばれる概念です。


 コンピュータ言語、特にプログラミング言語では、ある行がどのような意味を持つのかを自然言語で説明しておきたいことがあります。しかし、何も考えずに文書内に説明を書いてしまうと、コンピュータがその意味を理解できずに、正常な動作ができなくなってしまいます。


 そのような場合に用いられるのがコメントアウトで、コメントアウトを行うことで、その行をコンピュータは読まなくて良いという指示を行うのです(このコメントアウトはおそらく、全てのプログラミング言語が備えています。ほぼ最古の言語であるアセンブラにすらあるのですから。最も、その前のバベッジの時代になると筆者には判じかねます)。


 もちろん LaTeXもコンピュータが読むための言語ですから、コメントアウトを行うことができ、その行の「%」以降を「改行も含めて」コメントアウトして、コンピュータに読ませないことができます。


 この改行を含めてコメントアウトという性質も便利なのです。先に書いた例文の中にも % のみの行を見つけることができるでしょう。もしも見つけられないならば、例えばフォントの設定を見直してみてください。


 実はLaTeXは空行が存在すると段落が変わったとみなし、字下げの改行を行います。この空行は多い分には、いくつあっても 1回の改行になるのですが、 1つでもあれば改段落とみなされます。しかし、意味的には改行で分けておきたいけれども段落としては同じ段落に属させたい場合もあるでしょう(例えば象の卵生の話から致死リスクに話題を変える場合など)。


 そのような場合にこのコメントアウトを行えば、そもそもコンピュータには改行が見えず、一方で書き手には視覚的な区切りを提供することができるのです。


 もちろん喜ばしいことに、通常のコメントアウトの使用法に則って、その文章をどのような意図で書いたのかを書き留めるメモとしても用いることができます。

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