第8話 友達

俺は目が覚めると保健室のベットの上にいた。


「あ、目が覚めた」


「…俺はあの後どうなった?」


「気絶して私達が保健室に運んだ

 いやー重かった重かった まじで重かったわ」


「…お前も似たようなものだろ(ボソッ)」


「誰が太ってるって?」


やはり幼馴染は耳がいいらしい

幼馴染が首元を狙って掴みかかってくる。


「おい! やめろ!気絶したばかりなんだから

 絶対安静だろ!」


「お前は私を怒らせた! 

 万死に値する!」


「あの! ごめんなさい!!」


みく?さんが大きな声で謝ってきた。


へーこの子こんなに大きい声出せたんだ


幼馴染が手を離す。


「良いって勘違いだっただけだし笑

 こんなバカが殴られたぐらいで

 特にダメージ無いし笑

 なんならこんなバカに 彼女だ! って

 叫ばれた損害賠償を請求しても良いと思う」


「おい お前何笑ってるんだ

 少しは心配しろ

 お前ずっと半分顔隠しながら見てたくせに

 こっちは殴られてるんだぞ

 それに先生呼ぼうとしたのに

 無理矢理押したのはお前だろ」

 

「そうだっけ?覚えてないなぁ」


「おっお前…最低だな」


幼馴染と話してると…


「いえ 改めて本当にごめんない!」


みく?さんが深々と頭を下げてくる。


「良いですよ こっちが勘違いしちゃったので」


「いえ 流石に殴るのはダメです!

 兄が本当にごめんなさい! 

 私に出来ることならお詫びします!」


えぇ本当にもう良いんだが…なんなら

殴ったのは兄だし、妹のこの人が

謝るのは違う気がするな…


「えぇとじゃあ…お詫びとして…」


幼馴染がじっと見てくる。


大丈夫だから! 変なこと要求しないから!


「名前教えてください

 まだ教えてもらってないですし」


「えっ?そんなんでいいんですか?」


「はいそれでお願いします」


「…分かりました 

 私の名前は柊 未来(ひいらぎ みく)です」


「俺の名前は菊田 良一、

 そっちの顔が怖い女性は幼馴染の

 桜井 結衣……っておい! 何度も言うが

 掴みかかってくるな!」


「お前が私の悪口をいうのが悪い!!」


「お前だってしょっちゅう言っとるだろうが!」


「お前ごときが圧倒的格上の私に

 言ってはならんだろ!

 私がお前みたいな格下相手なら良いが!」


「なんで俺が格下なんだよ!

 俺の方が喧嘩絶対強いぞ!」


「お前みたいなヒョロガリ私でも勝てるわ!

 ていうかか弱い女子を殴るなんて最低だぞ!」

 

「まだ殴るとは言ってねぇだろうが!」


幼馴染との言い争い…というか掴み合いを

していると…


「ふふっ 面白いですね2人とも」


「「あっ」」


幼馴染の方を見る。


(おい お前 

 いつものキャラ作りはどうしたんだ?)


(完全に忘れていた… どっどうしよう!

 悪い噂が流れるかもしれん…)


「あのー幼馴染はですねぇーえー」


「知っていますよ 2年生のマドンナで

 1年生の間でも有名です

 優しくて決して怒らず女神のようだとか」


真逆だな 

怖くて怒りやすくて鬼の様なのが本性だ


「まさか 実際はこんな感じとは

 思いませんでしたが…」


「あれ? 驚いていませんね?」


「あなたが倒れて目覚めるまで

 悪口ばっかり言ってましたから笑」


「…おい」


幼馴染が目を逸らす。


「この事は他の人には…」


「言いませんよ

 良一先輩には大変なことしてしまいましたし

 それに…」


「私話す友達いないので」


あ、これ地雷踏んだか??


(おい お前 これどう思う?)


(可哀想だな こんなに優しいのに…

 よし! ここは私が!)


「じゃあ私と友達にならない?」


「…えっ?

 良いんですか?」


「良いよ良いよ 全然良いよ!」


「でっでも…」


「幼馴染のこの言い方は本心だと思いますよ」


「本当ですか? じゃっじゃあ

 お願いします………」


「ついでに連絡先交換しよー」


「はっはい!」


幼馴染と未来さんは連絡先を交換した。


「しかし桜井先輩は本当に女神の様ですね…」


「「えっ?」」


「だって自分の彼氏が殴られた相手の妹の

 友達になろうだなんて…」


空気が固まった。


「こっこいつは彼氏じゃないから!!!」


「えっ?そうなんですか?

 でも見てた感じどう考えても…」


「こっこんなヒョロヒョロの頭が悪くて

 口が悪くてそこまで身長が高くない男が

 彼氏のわけないじゃん!」


幼馴染は何故か顔を真っ赤にして言っている。


そんなに俺が彼氏だと嫌なのか?

ちょっぴりショック


「まあいいや そろそろ

 次の授業始まるんじゃないか?

 俺は次の授業は休む」


「あっあぁそうだな! 行こう!」


二人は保健室から出て行った。




未来視点


本当に彼氏彼女の関係じゃないのだろうか?

良一先輩が気絶した後、

桜井先輩は軽く泣いていた

本当に心配していたみたいで起きるまで

ずっと近くで座って、

悪口の様な心配する様な

事をずっと言っていた

そんな二人を見て絶対にカップルだと思ったのに…


良一先輩は優しかったな

勘違いだとしてもあそこまでして

守ろうとしてくれるとは……

二人がカップルじゃないなら…

私にも可能性があるのかな?




幼馴染視点


あのバカ!本当に殴られるなんて

思わないじゃないか!

それに俺の彼女だ! って…

助けるためだとしても

それは………

今回は私が全面的に悪かった…

昨日明日はあいつに優しくしよう

それにしてもあの不良、次あったらタダじゃ

おかないからな!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る