苺と賢治

みっちゃん87

プロローグ いちごのひみつ

小さな町の片隅にある古びた洋菓子店「ベリーチャーン7」。この店には秘密がある。ここで作られるショートケーキは、ただのケーキではない。なぜなら、その上に乗せられるいちごは、見る者の心を和ませ、食べる者に小さな奇跡をもたらすからだ。


賢治はその秘密を知らない。彼にとってこの店は、ただのアルバイト先であり、週末の避難場所だった。他のことはからきしダメでも、ショートケーキにいちごをのせる仕事だけは、誰にも負けない自信がある。今日も彼は、コンベアから流れてくるケーキに、一つ一つ丁寧にいちごを乗せていく。その手つきは、まるでいちごに命を吹き込む魔法使いのようだった。


しかし、賢治自身はまだ知らない。彼の丁寧な手仕事が、もうすぐ町に大きな変化をもたらすということを。そして、彼自身もまた、この小さないちごを通じて、自分自身と向き合う旅を始めることになるということを。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る