第5話 ご褒美

 楓のことを調べ始めてから約二週間経った。相変わらず、時間さえあれば、新情報を求めて楓のことを夢中で調べていた。最近の一番の楽しみは、フリマアプリやネットオークションで楓の関連グッズを買い集めること。


 メジャーで活動していた、ミステイカーズ時代のCDやDVDは比較的沢山出回っていた。雑誌のインタビューの切り抜き記事なんかも出品されていたので、ポチっと購入する。


 こういう時に、妙な収集癖が出てしまう。楓に関するもので自分が持っていないものがあると欲しくなってしまい、節操なく購入した。

塵も積もれば何とやらで、なかなかの痛い出費になっていった。


 だから、自分の中で買わない物のルールを作った。まず、ポスターは貼ることが無いため、買わない。

 旦那や人に見られたくないからね。


 雑誌の切り抜きで高額なものは、買わない。

たかだか二、三枚の記事が二千円って誰が買うんだ、って感じの金額設定だよね。


 それ以外は買ってもええんかーい?って話だけど。私だって毎日フルタイムで仕事しながら子育てもしているんだし、このぐらいのご褒美があってもいいだろう、と自分に言い訳した。


「ママ、最近郵便物が毎日届くんだけど、コレ何なの?」


 学校帰りにポストから郵便物を持ってきてくれる息子や娘に度々突っ込まれた。


「ママの大事なもの」


「ふーん」


 子ども達は怪訝そうな顔でうなずくも、それ以上は何も言ってこない。

問題は旦那だった。こんなに散財していることがバレたらなんて言われるだろうか。


 昔好きだったミュージシャンを再び好きになったとは言えなかった。言えれば楽になるだろうけれど、何となく言いづらい。

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