第3話 助手のような

 橋田の言葉に戸惑いながらも、俺は彼女の手を受け取った。これは一体どういうことなのか、俺には理解できなかったが、彼女はのホンモノの厨二病である事がわかった。目の前で証明されてしまったのだ。

「助手…?」

 と俺がつぶやくと、橋田は満足げに笑みを浮かべた。

「そうだ。お前は今から、我が闇の力を支える最初の手駒となる。私の側に立ち、世界を闇で染め上げる手助けをするのだ。」

 俺は戸惑いながらも、橋田の言葉に従った。だが、どうだろう。どこか間違っている気がした。

「具体的にはどういう事をするつもりなんだ?ふっふっふっ、私.....我の目標は。」

 一人称がぶれぶれすぎる。ちゃんと揃えてくれよ。

「だーくネスオーバードライバーの干渉から地球を陰ながら守るのだ。」

 ひとりごとで言ってたやつか。ネーミングセンスがかなり絶望的なのはもう触れないぞ。

「まてまずそのだーくネスオーバードライバーとはなんだ?」

「簡単に言えば、この世界に間接的に干渉している組織です。」

「例えばどんなものがあるんだ?」

「気づきませんか?日々過ごしていて何か心当たりなどは。」

 平凡な日々を過ごしていたが、まったくもって心当たりなんて無いだが。

「例えば、モノが急に消えただとか、ありますよね。この世界に起こる摩訶不思議な現象こそ、彼らの仕業なのです。そして、更に重いものになると最悪奴等に標的にされれば、殺されます。」

 なんだって。なんと物騒な事だ。

 俺は勝手に焦っていた。

「え、俺死んじゃうの?わわわわ。」

「でも、安心してください。既にこの地域一帯には〈黒ノ守護〉を施しているので標的にされて死にはしません。」

「それを、先に言え!!」

「おっとこれは失礼。では、話を戻しますよ。」

 ああ、そうしてくれ。いちいち止めて悪かったな。

「我は干渉してくるだーくネスオーバードライバーを食い止めるのが精々なんだ。今は仲間が不在なんだ。」

「仲間なんていたんだな」

「ええ、宮本 小次郎と言う名の仲間が他の市へ結界を貼りに行っているのです。今頃は坂出市に行っている事でしょう。」

 山下四五六か......何処かで聞いた事があるぞ。

 たしか、俺たちよりも一つ上の変な人だと聞いた事がある。かつては剣道部に入っていて腕は確かで全国大会まで登りつめた実力者。だが、ある日唐突に『私の妖刀を探してくる』と変な事を言い残し、剣道部を退部した。そんな人が関わっているのかよ。

 ってか、コイツ友達いたのかよ。

 俺は勝手に敗北感を味わった。

「彼女は剣豪で頼りになりますよ。また、帰ってきた頃にまた紹介します。」

「なるほどな、やはりホンモノか。それで、俺は助手になったとていったいどうすればいいんだ?」

「まあ、そうですね。貴方には私の相棒的なことをしてもらいます。具体的な事は決まって無いのですが、まあ私と昼休みご飯を食べたり、放課後一緒に遊んだり.....まあ、そんな感じの事をしてもらいます。」

 それって友達って奴なのでは?

「恐らく、戦闘に巻き込まれる事は無いのでご安心を。」

 そして、休み時間も終えチャイムが鳴り響く。

「むむっ、昼休みが終わってしまったようですね。では、また放課後私の机に来てください。」

 そう言うと橋田は走って教室の方向へと向かった。

「さらばだ!!」

 去っていく姿を見て、俺は一人寂しく思った。

 ああ、結局昼ごはん、食べれなかったな......と。

 俺はトボトボと教室へと戻った。

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