第26話 従魔登録が
冒険者ギルドに到着すると幾分人は減っていたが。ミャアも抱っこして中央から何とか突入したが、人波に押し戻されてしまった。
仕方が無いので、宿屋に行く事にした。
宿屋に到着すると、食堂にはサニーとナナシーがニックさん待ちで座っていたが、俺と従魔2匹を見つけて、
「「キャー」」
と歓声を上げた。 それを聞き付けてマスターも出て来た。しかも、厨房の奥から出てこない奥さんまでが顔を出した。
奥さんは何事も無かった事で、直ぐに引っ込んだがマスターは、
「おいっ、それどうした!」
「キャー可愛い。なにこれ、何なの」
とっサニーは大興奮。
「キャー、このコ何ちゃん、ケット・シーよねぇ。お名前は何ちゃん」
ナナシーもミャアで大興奮。
「あぁ、マスターお騒がせしてすいません。
俺の従魔のシルバーウルフのクッキーとケット・シーのミャアです。
こちらに来る事は無いと思いますがご挨拶だけでもと思って連れてきました」
「キャー、君、クッキーっていうんだ。美味しそうな名前ね」
と、犬派のサニー
(前は、白黒のパピヨンだったからオレオのお菓子からクッキーにしちゃった。)
「キャー、ミャアちゃんなのね。お話し出来るかな。小さいからまだかな。いっぱいお話し出来るかな」
と猫派のナナシー、
「因みに、2人は種族は何になるの?」
「「虎人族」」
「あっ、ありがとう」
何故か、威圧された。
「「羨ましすぎ」ます」
(それでか。イケナイことを聞いたから威圧されたのかと思った)
「それで。急用って従魔の事だったんだな。飯は食ったのか?しかし、シルバーウルフなんてウルフ種の上位の魔物だぞ。ケット・シーに至っては幻獣なんだがなぁ。登録して来たのか?」
「する為に冒険者ギルドに行っていたのですが、人混みに負けて帰って来ました。もうすぐ捌けると思いますから、あとで出直すつもりです」
「ミャアちゃんは私と友達になってくれる?」
「クッキーは私と一緒に寝てくれる?」
「クッキー、ミャア。この二人サニーとナナシーは一緒に住むことになるから仲良くしてあげなよ」
〘あるじ、いっしょにすむのか? じゃ、なかまだな。なかよくする〙
〘そうなのにゃ?それなら、おねだりしなっくちゃにゃ〙
クッキーは近づいているサニーの顔をひと舐めする。ミャアはナナシーの太ももに抱き着き上目遣いで「にゃぁ~」と鳴いた。
「キャー、抱かせて、クッキー抱かせて、早く抱っこしたい!」
「ミャアちゃん、もう離さない。お話し出来るようになったら、欲しい物何でも行っていいからね。ナナシーお姉ちゃんが何でも買ってあげる。そうだ!お洋服買いましょう。
可愛いお洋服。
従魔の首輪が来たら首輪にリボンを飾りましょう。お靴は履けるかなぁ。
サミュエルさん、小金貨4枚貸して下さい。
今から…「バシッ」」
ナナシーの頭にチョップを喰らわした。
「ナナシー落ち着け。サニー、クッキー渡すけど落とすなよ」
「分かった」
「イタッ、はい、落ち着きま、うっ。 鼻血出ました」
「全く、これからずっと一緒だぞ。そんなに構い倒したら、嫌われるぞ」
「はっ、クッキーそんな事無いよね、無いよね。サニーお姉ちゃんと一緒にいるよね。」
「ミャアちゃんは大丈夫ですよね~」
「はぁ~。もう良いや。2人そのまま一緒に冒険者ギルドに行くぞ。従魔登録行かないと攫われるぞ」
「そんなの嫌!」「そんなの駄目です!」
「じゃあ、行くぞ。マスターまた後で」
「おう、行って来い」
外に出るとちょうどニックさんと出会った。
「ニックさん丁度良かった、今から皆で冒険者ギルドに行く所なんです。一緒に来てくれますか」
「おう、護衛兼指導員だからな。それより、その小ちゃいかわい子ちゃん達は?」
「俺の従魔シルバーウルフのクッキーとケット・シーのミャアです。宜しくお願いします。クッキー、ミャア、俺がお世話になったニックさんだ。ご挨拶して」
「キャン」「ニャァ」
「おいおい、可愛いなぁ。ニックさんだぞ。宜しくな。と云うことは従魔登録に行くんだな。ミャア。ニックさんが抱っこしようか」
言われたミャアはナナシーの方を向いて、上目遣いで両手をあげ、「ニャア。」と鳴く。
ナナシーはその一撃で後ろに仰け反るが身体を戻して、
「ミャアちゃんは私の抱っこが良いんですね」
と言ってミャアを抱っこした。
「あ~ぁ、振られちまったよ」
ニックさんは項垂れる。
「さぁ、行きますよ」
俺の一声で皆んな歩き出した。
冒険者ギルドはすっかり落ち着きを取り戻していて、受付カウンターも並びが少なくなっていた。
受付スタッフに、
「従魔登録をしに来ました。登録者は俺です。シルバーウルフのクッキーとケット・シーのミャアです。お願いします」
「シルバーウルフとケット・シーを従魔に。
ちょっと、テーブルに座ってお待ち下さい。改めて、お声を掛けますので」
「分かりました」
そして4人と2匹はテーブルについて椅子に座って待つ事に。
「ニックさん、何でしょう。何か駄目事でもあるのでしょうか?」
「シルバーウルフはかなりの上位種だし、ケット・シーなんか幻獣だぞ。元は妖精種の幻獣だ。見るのも珍しいのに従魔にって話だから。
登録して不利益が出ないか確認しているのだろう。
サミュエルがせめてB級冒険者ならギルドも対外的に強く言えるのだけど、貴族にな。
こう云う時は貴族の介入があった時に何処までギルド員を守るかがギルドの存在意義だから。
低級の冒険者だと、対立する勢いで守らないと行けなくなる。そこはギルドマスターの胸三寸だけどな」
(要するに、ギルド員の持ち物を奪われる訳にはいかないが、仕事をくれる貴族に強気には行きたくない。ギルド員は守らないと、守ら無いギルド支部には冒険者が居なくなってしまう。だったら最初から登録スルーした方がって事か)
受付にいた女性スタッフが戻って来た。
「お待たせしました。副ギルド長がお会いしたいそうです。2階の応接室まで獣魔を連れてサミュエル1人来て下さい」
「俺は若輩者ですから指導者のニックさんをそれとパーティーメンバーの2人も同行出来なければいけません。申し訳ないがその旨、副ギルド長にお伝えして下さい」
「分かりました。その旨をお伝えしますが最悪、登録出来ない事になるかもしれません。ではもう暫くお待ち下さい」
受付スタッフは2階へと戻って行った。
ニックさんが、
「こりゃあ、おかしな方向に話が行っちまうなぁ」
「どう云う事ですか」
「ギルドのマスターは冒険者でもS級やA級の冒険者が現役を引退してなる事が多い。で、副ギルド長は貴族の子弟の受け皿なんだ。
家を継げなかったり、代官や官僚に成れなかった者が冒険者となり、その者達がコネで付く役職が副ギルド長がなんだ。
そいつが呼出したとすると、獣魔を渡せって話だろうな。ギルドマスターに話しが行っていれば問題なかったのに、
ここでの登録は無理だろうな」
すると、受付スタッフと背の高い男性がこちらにやって来た。
その男性は金髪碧眼、2m近い長身でそれなりに鍛えてるみたいでガッチリしていた。
こちらを見渡し、
「お前がサミュエルか、1人で来られんとは、そんな軟弱者にシルバーウルフやケット・シーのアルジは務まらん。事故が起こる前にこちらに引き渡したまえ。その方が君の為だぞ」
これまたストレートに奪いに来た。
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