天体観測ノボル

京極 道真  

第1話  ファンタジーのはじまり

ファンタジーゲーム終了。PC電源スリープ。

時刻は0:18。明日も学校だ。

そろそろ寝るか。

僕は携帯を手にベットに転がる。

頭があたる。

二段ベッド。

5才上の兄貴は4月から大学で家にはいない。

兄貴が小学生までは一緒に寝ていた。

子供みたいだが、僕は秘密基地のような窮屈なこのベットを手離せない。

両手を伸ばして手があたる。低い空間。

ところどころに落書き。クレヨンと、マジックで描いた怪獣と戦うヒーロー。

マジックはさすがに取れないって母さんにひどくしかられた。

兄貴が上のベットから顔を出し「4歳にしては絵、うまいじゃん。」

あの頃、兄貴は小学生なのに大人に見えていた。いつも助けてくれてたな。

僕はボーっと寝る体勢。

携帯のトップ画面。

今夜流星群が地球に接近!

確か昨年もこの時期にみずがめ座の流星群が来ていた。月のせいであまり見えなかった。

いや嘘だ。

昨年は中学生になれた嬉しさで、浮かれていた。なんだか大人になった気がした。

せっかく兄貴がバイト代で買ってくれた天体望遠鏡。天体観測。

今はゲームにハマっている。夜空を見上げることさえ、忘れていた。小学生の時はよく見てたな。

ねむいが、今日は下弦の月。星は見える。

僕はゴロンとベットから起き上がってベランダへ出た。

5月の夜風は気持ちいい。冬の夜空は空気が冷たく澄み切っている。星がキラキラ光り過ぎで、きれいだが本質が見ずらい。それに比べて今日のこの空気感はなんだ。

無駄にキラキラ輝くこともなく、ちょうどいい感じだ。

0時過ぎのベランダから見る景色。悪くない。

首を真上に向けてみた。オレンジ色に光る星?違う。動いている。飛行機?ヘリコプター?空軍ジェット?違う違う。

じゃあ、あれはなんだ?UFO?ドローン?

肉眼でもオレンジの光がキラキラ見える。思わず携帯でのカメラで夜空に手をまっすぐに伸ばして「カチャッ」と写真を撮った。

携帯の写真を見た。

「何だ?」何にもなかった夜空とオレンジの光に。

「君は誰?」

携帯の写真に僕とそっくりの緑の髪の色の僕が夜空に浮かんでいた。

そしてその写真の僕はビック・スマイルでうっている。

手元で携帯の写真をマジマジ見ていると。

「みーつけた!」声がする。

携帯から目を離した。

「さっきとった、写真の緑の髪の僕が、目の前にいる。」

「君は誰?どうしてここにいるの?」

「君に会うために578億光年の星から来た。ブラムだ。ヨロシク。

地球の僕の分身のノボル君。」

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