(三)-5

 火球は数秒後には少しずつしぼんでゆき、そして消えた。同時に焼かれたガーゴイルは地面に崩れ落ちた。

 俺のいる位置からはそれなりに離れてはいたが、焼ける匂いが漂ってきた。

 さらに別の女性の先輩が、手に光り輝く剣を手にしていた。それは大剣で、柄を両手で掴んでいた。そして空から襲いかかってきたガーゴイルめがけて空中をなぎ払った。

 またもやガーゴイルの悲鳴が鳴り響いた。ガーゴイルの背中の翼はまだはばたき続けており、空中に留まっていた。しかし光の剣で切られた腰から下が地面に鈍い音を立てて落ちた。落ちた怪物の下半身からは大量の血が流れ出て、落ちている桜の花びらを血に染めた。そして大量の血を地面にしたたり落としている上半身の方もやがて力を失い、地面に落ちた。ガーゴイルは両手で地面を這ってどこかへ逃げようとしていたが、すぐに力尽きて動かなくなった。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る