第11話

「それじゃ兄を相棒としてよろしくお願いします」

 

「あぁ任せろ。こいつをチームのエースにしてやる」


なぜか意気投合した優花と礼治はそんな約束をしていた。エースってさすがに時間がかなりかかると思うんだが。それだけ上の世代はエースと呼ばれてる人はレベル高い。ベンチ入りは難しくないんだがな。チームの中心となるとかなりの強みを持ってなければならない。


「それじゃお兄ちゃんブルペンに入るんでしょ。後ろで見てるよ」


「他の人をじっくり見て勘違いさせないようにな」


男なんて自分を見てくれてると思ったら好きになっちゃう生き物だからな。モテてない男ほどな。うちのピッチャー陣はモテたいと思ってるやつが多いから、勘違いを発生しやすい。


「え?そんなに単純な人多いの?」


「美少女が大体義孝のことが好きだから、相手にされないやつが多いんだよ。そこへまだ義孝の影が付きまとってない、優花は狙われやすいんだ。元々チャラいやつも多いし。ストレスが貯まってるやつも多いんだ」


「あーまぁ義孝さんなら納得だね。あのモテ具合はイケメンよりもすごいし。みんな美少女っていうおまけ付きで、さらに人柄もいいからね」


主人公はほんと侮れないよ。どんなイベントでも好意を持たれてしまうんだから。まぁモテるやつはモテるやつの辛さもあるんだろうけど。相手のことを振らなきゃいけないからな。そして美少女の方も振るがわの気持ちも分かるからあえて告白もあまりしないんだろうが。


「そうだな。それじゃ俺はブルペンに入るわ」


「もう休憩はいいのか?」


「もう終わりだ。んじゃ全力で投げるぞ」


俺達はブルペンに行くと、俺はマウンドに向かう。そこで掘ったりして慣らしてから、投げ始めた。最初はフォーム確認するように投げて、やがて礼治が座ると俺はストレートを投げた。礼治が構えたコースに糸を通すようにいった。


「ナイスボール。次はスライダーな」


「分かったよ」


今日は球速も球の伸びも申し分ないな。この調子で夏までに仕上げるか。俺腕を斜めに捻るようにストレートと同じ振りで投げた。するぐぐっと曲がった。なかなかキレのあるスライダーがいった。これなら空振りが取れそうだ。それからカットボール、ツーシーム、スプリットを投げた。どの球も変化量が多く調子がいいようだ。優花もうなずいている。


そしてある程度投げてピッチングは終わった。そのあと、坂道ダッシュをする前に飲み物を飲みにバックの置いてある場所に来た。すると優花が飲み物を渡してきた。


「マッカンだよー。疲れたあとはこれに限るよ」


刺すが優花俺のことをよく分かってらっしゃる。マッカンほど疲れたときに飲むのみもので美味しいものはない。


「ありがとな。ぷはぁー。やっぱりこの甘さが脳に染み渡る感じがいいな。これこそ神の飲み物。千葉県が誇る究極の飲み物だ」


「それめちゃくちゃ甘いから飲みすぎるなよ。糖尿病になるぞ」


「分かってるよ。疲れたときと昼食にしか飲んでないからな」


まぁ勉強中はペットボトルの方を飲んでいるが。だけどできるだけ飲みすぎないようにはしている。一日に制限をした方がこのために頑張ったという感じもうけるからな。


「それならいいが、それじゃ走り込みだよな。それなら俺はバッティング練習してくるわ。それじゃまた実践練習でな」


そう言って礼治はバットを持ってバッティング練習をしに行った。俺はマッカンを一気に飲みほして、近くにある坂道に向かおうとすると、先輩が優花に話しかけていた。


「ねぇ君可愛いね。ここじゃみない制服だけど、すごい似合っているよ。よかったら部活終わり俺と一緒にどこか行かない?」


「結構です。それにお兄ちゃんと帰るのでヤるだけしか目的のない猿には興味ありません」


辛辣だな。まぁこの学校に来てからそんなにナンパされたらそうなるか。それじゃ助けにはいるかね。人の妹を兄の前でナンパするやつにはちょっと恐怖を抱いてもらうか。


「人の妹に手を出さないでください。あまりひどいと捻り潰すぞ」


俺は目を腐らせながら睨んで言った。すると先輩達はひっと悲鳴を上げた。これ習得して使うと大体の男はびびるからな。目を腐られて睨んだらヤグザそのものだからな。


先輩達は俺と分からずにごめんなさいと言って去っていた。


「さすがお兄ちゃんちょっとどきっときたよ」


「そんなにいいかこれ。それとこの程度で怯むなら最初っからナンパなんてしてくるなよ」


この程度の威圧でびびるならそこら辺の不良をナンパしたら終わりじゃないか。まぁただモテたいだけなやつだからその程度なんだろうが。楓はそう簡単に渡さんぞ。楓が好きになったら話しは別だが。


「お兄ちゃんの威圧はヤグザ並みだからね。その辺の男達じゃ耐えられないよ」


「それじゃ俺は走りこみに行くが、一緒に来るか?」


「うん行くよー。タイム計ろうか?」


「ああ、よろしくな」


俺達は近くの坂に移動した。距離は短すぎ巣遠すぎずだ。このくらいがちょうどいいからな。下半身鍛えるには。

















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