1192 崇秀と合流したまでは良かったが

 桜井さんのあまりな態度に、眞子の堪忍袋の緒が切れてしまい、ボコボコに。

その後、鮫島さんに送って貰いながらも、此処で漸く崇秀と合流する事が出来、それで安心感に包まれた眞子は、自然と崇秀に抱き着いてしまう。


***


「おぉっと、危ねぇなぁ。……つぅかよぉ、鮫、此処でなにかあったんか?」

「あぁ、ちょっとした、コチラの不手際があってな」

「不手際か。なるほどなぁ。……じゃあ、あの表で、俺が正座させてる連中も、鮫の不手際の一環なのか?」

「はぁ?なんだそれ?」


えっ?


なに、それ?


それに良く見ると、小さくではあるんだけど崇秀さんの顔に殴られた痕が有るよ。

私を迎えに来てくれただけの崇秀が、なんで怪我なんかしてるんだろう?



「ねぇねぇ、崇秀さん、なんか怪我してるよ?どうしたのそれ?」

「んあ?あぁ、これか?これなぁ、オマエを迎えに来たら、なんか此処の出入り口付近でタムロしてた連中が居たんだよ。ほんでよぉ。ちょっと肩が当たったら、イキナリ殴り掛かって来た上に、その後、因縁まで吹っ掛けて来やがったから、全員完膚なきまで叩きのめした訳だ。まぁ要するにだな、これは一発目に殴られた時についた傷だな。……んで、アイツ等は、只今絶賛、この寒空の中で正座させられながら、反省の真っ只中って感じに成ってる訳だな」


あぁ、そういう経緯でしたか。

早い話、珍しくも不意打ちを喰らっちゃった訳ね。


それにしても何だねぇ。

馬鹿な人が居たもんだね。

崇秀さんに喧嘩売るなんて『魔王に、勇者が竹やりで挑む様なもの』

それが例え、伝説の武器を所持していても倒せない様な人にケンカを売るなんて正気の沙汰じゃないよ。


まさに馬鹿の極みじゃん。


……ってか、その馬鹿な真似をした人達って。

この流れからして、絶対に国見さんの甥っ子の友達なんだろうね。


もしそうなら、国見さんの甥っ子と完全に『類友』じゃん。



「そういう事情か。しかしまぁ相変わらず、無茶苦茶だな。……ってか、その反省させられてる奴等って、ドイツらだ」


そう言って鮫島さんは、出入り口付近から、一歩外に出て行った。

勿論、私も、崇秀さんも、国見さんの甥っ子も一緒に。


すると、そこには……見るも無惨な、酷い惨状が目の前に現れた。



「おいおい、なんだこりゃあ?正座させられてる処か、血だらけの人間が10人も居るじゃねぇか!!」

「あぁ、居るなぁ」

「しかも、全員ボコボコじゃねぇかよ」

「あぁ、そうだな。確かにボコボコだな」

「……ってか、仲居間さんよぉ。幾らなんでもヤリスギなんじゃねぇのか?喧嘩を売られたからって、此処まで、するこたぁねぇだろうに」


確かに、これは酷い。

全員が全員血だらけになった上に、擦り傷満載のまま正座せられてるんだもんね。


ある意味、地獄絵図だよ。


けど、これ……そうやって一見すれば、かなりの酷い惨状なんだけど。

多分、一発づつしか殴られてないよ。

崇秀さんの腕力は馬鹿げてるから、一発で人が吹き飛んで行くから。

その吹き飛んだ際に、地面で転げ回らされるから大量の擦り傷が付き、服までもがボロボロに成る。


私は昔、この凄惨な光景と同じものを何度も見た記憶が有るから、これで間違いないと思うよ。



「あぁいや、まぁ言っちまえば、そうなんだけどな。コイツ等、一発づつ殴った後に『此処で何をしてるのか?』って聞いたらよぉ。『アイドルを拉致』するとか、あまりにもボケた冗談を抜かしやがったから、ツッコミとして、もぉ一発づつ追加で殴っちまった訳だ。……っで、この有様な訳」


あぁ……私の予想に反して、追加の一発が有りましたか。

だから、正座させらてるのも関わらず、体がフラフラして安定してなかったんですね。


そりゃまぁ、崇秀さんのパンチを2発も喰らえば、こうなっちゃうかぁ。


それにしても、あれですね。

その『アイドルを拉致する』って……ひょっとして私の事を指して言ってるのかな?


私、アイドルじゃないんだけどなぁ。


あぁでも、もし、そんな風に私が狙われてたんだったら、崇秀さんにはありがとうございますだね♪


それと崇秀さんが『拉致』を冗談だと思ってくれて良かったね。

そんな事が本当だとバレたら、きっと、ただじゃ済まなかった処か、此処に存在すらしてなかったと思うよ。


なんて心の中で思っていたら……



「『アイドルを拉致』だと?オイ、桜井!!まさかとは思うが、コイツ等って、オマエの仲間じゃねぇだろうな?」

「ずびばぜん。ぼぉ、じばぜんがだ。ゆるじでぐだざい」

「はぁ?なんだと?テメェ、今、なんつった?」


あっ……



「テメェ、桜井!!まさかオマエ、こいつ等と一緒に成って鞍馬ちゃんを拉致る気だったのか!!」

「ずびばぜん。ぼぉ、じばぜんがだ。ゆるじで」

「あぁ?オマエ、マジで、今、なんつったよ?もぅ一回、キッチリと俺の耳にも聞こえる様に言ってみろよ」


あぁ、大変だ!!

さっきの拉致の話が私の事だと気付いて、崇秀さんの眼の色が見る見る変っていってる。


あの眼は良くないよ。

あの、人をゴミでも見る様な眼は、絶対に良くない!!


下手したら、此処に居る加害者全員が殺されちゃう!!


現に正座してる人達も、甥っ子も、崇秀さんの目を見ただけで完全に冷えあがってしまい、中にはオシッコをチビッてる人までいる始末。


これは早急になんとかしなきゃ!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪


これは豪い事に成ってしまいました!!

眞子の事を世界一大事にしてる崇秀の前で、拉致が冗談だっただけではなく。

あたかも『眞子を拉致しようとしてた事』がバレてしまった訳ですからね。


これはもう、どう考えてもタダで済む訳がありません。

下手したら、死人が出てもおかしくはない状況に成ってしまいました。


さてさて、そんな中。

眞子は、この後、どの様な行動をとって崇秀を止めようとするのか?


そして、その行動で崇秀を止める事が出来るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


あっ、因みになんですが。

此処で桜井さんを反省させただけではなく。

その友達も反省出来ないようでは意味がないので、こういう展開にさせて頂きましたぁ(笑)

(*'ω'*)b

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