1190 理不尽大王・桜井さん

 迷惑男の桜井さん。

眞子の言い分も聞かずに「自分の連れに紹介してファンを増やしてやる」っと自分勝手な言い分で眞子を強引に連れの元に連れて行こうとする。

そして眞子も、そんな狂った行動をする桜井さんにビビッてしまい……


***


 ……なんの抵抗も出来無いまま、私はズルズルと出入り口付近まで連れて行かれた。


しかも、ドーム内の廊下は、行きかう人が居なくなったいたので照明まで落ち始め、薄暗くなりつつあった。


……もぉ絶望的だ。

この状況に頭が混乱して、自分でも、どうして良いのかさえ解らない。


そんな絶望の中、漸く、懐中電灯の光と共に、人影らしきものを見付ける。

私は藁にも縋る様な気持ちで、誰だか解らない相手に、精一杯の声を出して、その人影に助けを求めた。



「あの!!助けて下さい!!」

「うん?なんだ?……そこに誰か居るのか?」


その声に反応してくれ。

その人は、私と、この狂った人に懐中電灯の光が当ててきた。




「なになに?まぶしいッショ」

「あっ?……って、誰かと思ったら、オイ、コラ、桜井!!テメェ、業務が終わったって言うのに、まだ居やがったのか?こんな所でなにやってやがんだ!!」

「はい?なにって……今からこの子を、俺のツレに紹介してファンを増やしてやるんッスよ。それがなにか、いけないッスか?」

「私、そんな事、頼んでないです」

「オイ、コラ、話が違うじゃねぇか!!それに嫌がってんだろ!!サッサと手を離してやれよ」


そう言って鮫島さんは、私の手を引いて、無理矢理、この狂った男から引き離す。


それと同時に私は、鮫島さんの後ろに隠れる様に身を小さくした。


……助かったぁ。



「ちょ!!隊長、なにするんッスか?その子、返して下さいよ」

「嫌だ……嫌です」

「馬鹿な事を言ってんじゃねぇぞ!!本人が、こんなに怯えて嫌がってんだから、返す訳ないだろうがぁ!!オマエこそサッサと帰れ、この蛸助!!」

「はぁ?なんッスか、それ?なんで業務が終わってるのに、プライベートな時間まで、アンタの命令を聞かなきゃなんねぇんッスか?意味解んねぇんッスけど」

「やかましいわ!!テメェのしてる事は強姦に等しいんだよ!!そんなもんを、ミスミス見過ごせるか!!」

「はぁ~~~?なに言ってんのコイツ?マジで、わっけわかんねぇ?」


普通なら、これが良くない事だと解るでしょ。


そんな事も解らないなんて。

この人の脳は、本当に狂ってるんじゃないの?



「つぅか、この糞馬鹿!!そんな御託は良いから、サッサと家に帰れ!!いい加減帰らねぇと、国見さんに電話っすっぞ!!」

「ちょっと、ちょっと!!それ、おかしいっしょ。俺、なんも悪い事してないじゃないッスか。売れてないこの子に、親切してるだけッスよ親切に」

「この野郎。まだ自分のしてる事も解ってねぇのか」


そう言って鮫島さんは、ポケットから携帯電話を取り出して、短縮で何処かに電話を掛けてから携帯を耳に当てる。


恐らくは、国見さんに電話を掛けているのだろう。


でも、これで一件落着だ。


……っと思って、安心した瞬間。



「チッ……コイツ、マジウゼェ。おっりゃあ!!」

「ガハッ!!」

「鮫島さん!!」


えっ?


ちょ!!アンタなんて事するのよ!!


鮫島さんが携帯を耳に当てた瞬間。

隠し持っていた警棒で、暗闇から携帯ごと頭を殴るなんて無茶苦茶だよ。



「オイ、コラ!!この糞アイドルオタク野郎!!オマエさぁ。マジで、いつまでも調子こいてんじゃねぇぞ!!なんかありゃあ、毎度毎度、叔父貴、叔父貴って、うっせぇんだよ!!耳タコなんだよ!!……ったく、マジウゼェ!!今度、余計な事しやがったら、マジブッ殺すかんな、解ってんのかコラァ!!」


キレてる。

自分の思い通りにいかない事に、ストレスが溜まったのかして、完全に逆ギレし始めてる。


これはヤバイ。

この手の抑制のきかない人間は、本当になにをしでかすか解らないだけに、このままじゃヤバイよ。



「……この野郎……」

「あぁ?テメェ、なにがこの野郎だ?さっきから大人しく聞いてりゃ好き勝手言いやがって!!いつまでの上司面して偉そうな事ばっかのたまわってんじゃねぇぞ!!キモイんだよ、この中年オタク野郎がぁ!!」


私の予想に反する事無く。

この狂った男は、鮫島さんに怒号を浴びせながら、何度も何度も容赦なく警棒で殴りつけ始めた。


ダメだ……このままじゃ不味い。

なんとしても止めなきゃ!!



「ちょ!なにしてるの!!!辞めてヤメテよ!!」

「んだコラ?テメェが、こんな糞ボケナスに助けを求めなきゃ、んな事せずに済んだのによぉ。テメェも纏めてブッ殺されてぇのか!!」


此方に目が向いたので、一旦は、鮫島さんを叩く手は止まったものの。

その分、私を睨みつけながら、そんな事を言って来た。


うぅ……怖い。

このままじゃ、本当に、なにをされるか解ったもんじゃない。

それに、助けてくれ様とした鮫島さんまで殺されかねない。


……だったらもぉ……こんな風にビクビクして怖がってる場合じゃないよね。


怖くない……


怖くなんかない……


私は、そう心に念じ始めた。

そして、それで少しは冷静に成れたのかして、ある事も思い出した。


以前、国見さんのスタジオで、この狂った男と揉めた時。

真琴ちゃんが首を捻り上げて恫喝したら、かなりビビッて、へなへなと腰砕けな状態に成っていた事を。


……そうだ、そうだった。

この男は一見キレたらなにを仕出かすか解らない男ではあるが、それは弱い者に対してや、自分が守られてる環境にある時にだけ発動するものであって、誰にでもそうする訳ではない。


所謂「へたれ」だ。


だったら、こんな奴!!なにも怖くなんかないじゃない!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


自分の言い分が通らなければ逆ギレしてしまうなんて、もう無茶苦茶ですね。

ですが、結構こういう利己的な人って、リアルでもいたりしますので、皆さんも注意してくださいね。


まぁでも、こうやって簡単にキレる人って。

案外「自分は強い」と思ってる人だったり、本編でも書かせて頂きましたが「虎の威を借りる狐」であったり「自分より弱そうな人間」にしか、こういう態度を取りませんので、そこまで大層にビビる必要はないのかもしれませんがね(笑)


さてさて、そんな中。

とうとう眞子が、それを思い出して冷静に成り。

なんとか反撃の狼煙をあげようとしてる訳なのですが。


果たして、それは思い通りに行くのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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