1182 証明される、恐るべき眞子の隠された実績

 リハが始まる前に、奈緒グリの面々が眞子に頼んできた事、それは【明日発表する新曲のアレンジ】

だが、あまりの責任の重大さに眞子が尻込みを始めたので、一旦は「じゃあいいや」っと言った奈緒さんなのだが……なんか胡散臭い(笑)


***


「あぁ良いの、良いの。……その代わりさぁ、眞子。1つ頼まれてくれない?」

「あぁ、はい。またまた出来る事なら」

「うん。それで十分。あぁ、それと、心配しなくても、無理な事は言わないから」

「あぁ、はい。じゃあ、なんですかね?」

「うん。あのね。その明日発表する新曲を1度聴いて、アレンジまではしなくても良いから『此処はあぁだとか、こうだとか』助言だけしてよ。今回は、それだけでOKだからさ」


うん?


なんかキナ臭いなぁ。


大体にして、その『助言』って言うのも、俗世間一般では、明らかに『アレンジ』って言わないですかね?


そうやって言葉を巧みに使って騙そうとしてもダメですよ。


此処で1つ返事をするほど、そう簡単には眞子も騙されませんよ。



「いや、奈緒ネェ。それをアレンジって言うんじゃないの?」

「まぁね。そう言う捉え方もあるけど。アンタ、さっきから根本的なアレンジの意味がわかってないんじゃない?」

「えっ?えっ?なんでですか?」


嘘?私って、そこまで底抜けに、お間抜けちゃんなの?


って言いますか、これってさぁ。

奈緒グリの新曲のアレンジの依頼をされてる訳だから、どうやってもアレンジの意味を間違い様がないと思うんだけどなぁ?


なんかその辺が良く解らないから。

取り敢えずは、奈緒ネェがどういう見解でこう言う話をしてるのか、話の続きを聞こ。



「なんで?って……そりゃあアンタ。仮にアンタがアレンジをしたとしても、私達が気に入らなかったら『使わない』のが普通なんじゃないの?ダメな奴を、わざわざ使う奴なんていないと思うけど」

「あっ……」

「それにアンタ。さっき自信過剰じゃないって言ったけど。本当は、ちょっと自分の才能を過信しすぎてるんじゃない?」

「えっ?……」


本当だ。


確かに、奈緒ネェの言う通りだね。

『ダメ出しされたり』『お互いの感性が受け付けなかったら』普通、誰がアレンジしようとも『使わない』よね。


それを全部受け入れられるって思ってる時点で、私は『酷い過信』をしてる。


でも私、なんで、そんな単純なミスを……



「まぁまぁ、そう思ってもね。眞子の場合だけは、こうなっても仕方がないんだけどね」

「えっ?どっ、どうしてですか?」

「だってアンタ。今まで一回も『アレンジを没にされた事が無い』じゃない」

「えっ?」

「だから『使われるのが、自然』だと思っちゃっても、それは仕方がない事なのよ」

「ちょっと待て、奈緒!!確かに眞子のアレンジは良いものだと以前から聞いてはいたが。アレンジを没にされた事が一度も無いだって……そんな馬鹿な事が有り得るのか?」


あぁ……そう言われてみれば、没に成った事は1回も無いですね。


勿論、そこから沢山梃入れをされたりはしますが、基本的なラインは、いつも採用して貰えてたりしますね。


ひょっとして、これって凄い事なんですか?



「それが有るのよね。だからこそ私は、眞子を此処に呼んだのよ」

「ちょっと待ってよ、奈緒。そんな事って、本当の本当に有り得るのかい?」

「そうだね。普通なら有り得ないだろうけど、それが有り得るから眞子は怖いのよ。勿論、眞子のアレンジした曲を、そこから、みんなで、更に音を付け加えたりして、色々と追求はして行くんだけどね。基本に成るベースラインは、眞子のモノを、かなりの確率で採用してたわね」

「まさか、それって、奈緒……」

「そぉ。眞子は、他人の演奏をトレース出来るって『特殊な技能』を持ってるからね。それで、それを行っていると同時に、他人の感性までトレースしちゃうのよ。だから、そんな風に色んな感性を持ち合わせる事によって、アレンジにハズレが殆ど無い。そういう理屈」


そうなんですか?


確かに私は、直ぐに、誰彼構わず、人の技能は盗みますけど、そんな奇妙奇天烈な副産物まであったんですね。


全然知りませんでしたよ。



「いや、しかし、奈緒。例え、理屈がそうであっても、そんな事が易々と可能なものなのか?」

「可能だよ。勿論、私みたいな凡人には、どうやっても不可能だろうけど。私は、眞子以外にも、これを出来る人を知ってるもん」

「眞子と同じ事を出来る人間がいる、だって?……あっ!!そうか!!仲居間さんか!!」


ほぇ?

此処で崇秀さんの話が出て来るなんて、なんか急に話が大きく拡大してきたもんですね。


でも私には……そんな崇秀さんみたいな器用な真似は出来ませんよ。


何処まで行っても、人の猿真似してるだけの、ただのお猿ちゃんですからね。



「そぉ、仲居間さん。まぁ、基本的なやり方は違えど、仲居間さんと、眞子の音の作り方は、実に良く似てるのよ。寧ろ、根幹は同じなのかも知れないね」

「そうかぁ。言われてみれば、そうだね。……けど、奈緒。それって、いつ気付いたんだい?」


ホント、いつなんですか?


それにですね。

私なんかに、そんな器用な真似が、本当に出来てるんでしょうか?


此処は確証が無い現段階では、わたしには、どうしても偶然の産物だとしか認識出来ないんですけど。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


まず眞子が、今回履き違えていた部分は『アレンジしても、ダメなら没にされる』っと言う概念が欠落していたんですね。


まぁただ、この辺に関しましては、本編でも奈緒さんが語った様に【今まで一度も没にされた事が無い』って言うが弊害に成っていたので、これはある意味、しょうがないと言えば、しょうがない事なんですけどね(笑)


実際、没に成った体験した事が無い訳ですしね。


さてさて、そんな感じで、眞子のアレンジ力の強さを、ある程度は奈緒さんが証明した訳なのですが。

それにしても奈緒さんは、いつ、この事実に気付いたのか?


次回はその辺の詳しい事情を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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