1168 チビ太に、ただ手紙を渡されただけなんだが……

 奈緒さんのライブが開催される東京ドームで、偶然にも真上さんと再会。

そこで話し込んでたら飯綱ちゃんが現れて、いきなり紙らしきものを顔面に投げ付けられた倉津君は、おでこに紙が張り付いてキョンシーの様に成りつつも……


***


「オッサン。それ、眞子からの手紙や。ちゃんと渡したで」

「あぁ~ん?眞子からの手紙だと?……ってか!!手紙なら、普通に手渡せやチビ助!!」

「うっさいわ!!届けて貰ろた分際に偉そうに物言うな、このデカブツ!!文句言う前に、なんで、ありがとうって、ちゃんと言われへんのよ?礼儀を知らんやっちゃなぁ」

「アホか!!イキナリ、顔面に手紙を投げつけられて、感謝する馬鹿が、どこに居るんだよ!!俺は、そんな聖人君主なドM野郎じゃねぇわ!!」

「もぉ、声がイチイチ大きゅうて、うっさいゆぅねん!!そんなもん、アンタが、わざわざ顔面で受け取るから悪いんやろ!!サッと避けたらえぇやんか、サッと。ドン臭いなぁ!!アホちゃうか?死ねロートルじじぃ」


なぁ……チビ太よ。

どうしても、俺個人として、オマエに1つだけ聞きたいんだがな。


……俺、なんか悪い事したか?


それとも、なにか?

俺なんかが、真上さんと喋ってたのが、そんなに気に入らないのか?

真上さんが穢れるか?


もしそうなら、この無礼千万な行為も、多少は頷けるんだけどな。


俺なんかと喋ってたら、真上さんの世間体が悪く成るからな。



「あぁ、そうッスか、そうッスか。そりゃあ申し訳ねぇッスな。そんで、アリガトウゴザイマシタ。助かりましたぁ~~~」

「そぉそぉ。なんや、やったら出来るやん。そうやって最初からなぁ。素直に感謝の言葉だけを述べてたら揉め事になれへんかったんや。ほんま、アホやなぁオッサンは。パッパラパーマンやな」

「あのなぁ……オマエって、どうして、そう言う物の言い方しか出来ねぇ訳?ホント可愛げの欠片もねぇ女だな」

「どこがやのんさぁ?ホンマはメッチャ可愛い思てるクセに。そんな照れな、照れな」


あぁ……そうだな。

但し、それに関しては、見・た・目・だけに限定したらの話だがな!!

その中身がヘドロみたいにドロドロして、へドロすら腐りきってたんじゃあ、女としては、お話になんねぇよ。


性格の悪さが底無しの泥沼じゃねぇかよ。


故にオマエはな。

それを治す為にも、奈緒さんとか、真上さんを少しは見習え。

そうすりゃあ、そのオマエの魅力的な容姿は1000倍以上の輝きを見せる筈だからな。


解ったな?


偶には、オィちゃんの言う事を聞け。



「アホか?オマエの可愛いのは、そのミクロな身長だけだろ」

「そぉそぉ、ホンマやね。ウチ、チビやもんなぁ。身長だけ見たら、メッチャ可愛いわな……って、オッサン、後でシバクからな。憶えとけよ」

「なんで事実を言って、オマエに、イチイチ、シバかれにゃあならんのだ!!お断りだ」

「なんでやって?そんなもん、オッサンが、ウチに対する禁句バッカリ言うからじゃボケ!!死ね!!デカイだけのミトコンドリア!!」


デカイだけのミトコンドリアってなんだ?

デカイのに単細胞生物って、なんか怖くねぇか?


昔、そんな映画があった様な気がするが……


・・・・・・


あぁ……あれは、単細胞生物じゃなくて『蚊』だったな。



「クスッ、クスッ、お2人共、とても仲が良ろしいんですね。ご拝見させて頂いて、とても素敵な関係だと思いましたよ」


へっ?


あの……真上さん。

これの、どこを、どう見たら、そんな珍妙な意見が出てくるんですか?


これ……明らかに、ただの口汚いだけの口喧嘩ですよ。


変に、そんな事を言われたら、目の方が心配になってきましたよ。


いや、勿論、その左右で違う綺麗な瞳の色の事じゃなくて、本当の意味での視力の方ですよ。


大丈夫なんッスか?


これが微笑ましく見えるのは、かなり危険ですよ。


ちゃんと見えてますか?



「そやろ。えぇやろぉ。このオッサンなぁ。極度の妹好きの変態シスコン野郎で、めっちゃキモイオッサンやけどな。いつも、こうやってウチと遊んでくれよんねん。だから、結構、えぇ奴なんよね。真上も仲良しぃや」

「はい、そうですね。喜んで」


あれ?なんだ、この展開?

俺だけ1人、なんか違った方向に突き進んでないか?


・・・・・・


あっ……ひょっとして、チビ太の奴。

カラオケの時に話した俺のトラウマを気にして、気を遣ってくれてんじゃねぇのか?


そう言えば、コイツも、変にお節介な所が有ったな。


それなのに、また俺は……



「それはそうとオッサン。眞子の手紙なんなん?」


……また、こうやって気を遣われてるし。


ホンに、ダメじゃのぉ俺は。


でも、その分、せめて平静ぐらいは装わんとのぉ。



「うん?なんだよチビ太。オマエ、眞子から、直接渡されたんじゃないのか?」

「うぅん。ちゃうよぉ。ウチが学校から家に帰って来たら、眞子は、もぉ家に居れへんかったもん。そんでコタツの上に、簡単なご飯の用意と一緒に、オッサン宛に置いてあったから、序に持ってきただけやで。だから中身は、なんも知らんよ」

「そうなんか?だったら、これ、一体なんだろな?俺、アイツと此処で待ち合わせしてるんだけどな」

「さぁねぇ。そんなんウチが知る由もないやん。自分で中身確認してみたら。まぁ開けた瞬間、手紙が爆発するかも知れへんけどな」

「なんで、そんなコントみたいな目に遭わにゃあイカンのだ。アホかオマエ!!」

「アホはオマエじゃ」


チビ太が、そう言うので、どうやら今現在の俺は、かなりのアホらしい。


まぁ実際は、あまりにもチッコ過ぎて、なにを喋ってるのかすら、ハッキリとは聞こえてねぇんだけどな。


『声はすれども姿は見えぬ』

まさに、吉本新喜劇の池野めだか方式だな。


そんな結果が出たんで、この小さな微生物は無視して、何気なく、眞子からの可愛らしい手紙を封を切り。

手紙の内容を見てみるとだな。



もぉアイツだけは……



「がぁ~~~っ!!……オイオイ!!なにやってるんだよアイツは?馬鹿じゃねぇのか?」

「なんやな?どないしたんやオッサン?なにを、そんなに驚いてんの?」

「いや、チビ太、これ……見てくれよ。アイツ、正真正銘の馬鹿だぞ」

「うん?どれどれ?……うぅ~~~わっ!!ホンマや、完璧なアホや、あの子。相変わらず、破天荒な真似しよるなぁ。人として有り得へんレベルやわ……」


チビ太の言う通り、なに考えとんじゃアイツは……


どういう精神構造で行動したら、こんな真似が出来るんだよ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


ホント、真上さんの言う通り、倉津君と飯綱ちゃんは相性が良いですね。

知り合って間もないと言うのに、ボケとツッコミが熟練の夫婦漫才師の如く、滞りなく垂れ流されてましたもんね(笑)←言い方。


っで、そんな二人が漫才みたいな会話をする羽目に成った原因である『眞子からの手紙』


果たして、2人が驚愕する程の内容とは、一体、どの様なものだったのか?


次回は、その真相を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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