第17話 スタンガン攻撃
手応えありだ。
しかし、大男は顎を押さえて少し痛そうな顔をしただけだ。
首を鳴らしながら大男は三階の廊下にその姿を現した。
私はグイと襟首を掴まれ喉元にスタンガンの電撃を食らった。
鋭いショックが走った。
立っていられずガクンと膝をついて倒れた。
チャン・ホンマンは勝ち誇った顔で私を見下して仁王立ちしている。
スタンガンの破壊力を大体は想像していたが、いざ自分が体感するとこんなに人間を無力化できるのかと気が遠くなった。
チャン・ホンマンの足が見える。
しかしながら上を向くことができない。
首の筋肉が硬直して言うことを聞かない。
足元から大男の殺気が伝わってくる。
こいつ何をするつもりだと思った刹那チャン•ホンマンはかがんでから私の首を正面から締めつけた。
このまま窒息死させるつもりか…万事休すだ。
そこから大男は私の首を両手で掴んだままゆっくり持ち上げていく。
膝が浮く、足首が浮く、つま先が浮く。
ついに私は宙に浮いた。恐ろしい馬鹿力だ。
両手を高く掲げて私を見て笑っている。
⿁の形相より笑っている殺人⿁の方が怖いと小説で読んだ事がある。
首を絞められながら持ち上げられたのは生まれて初めてだ。
こんなシチュエーションを体験する人間はそう多くはないだろう。
だんだん空気が薄くなって意識が遠のく。
このまま死んで行くのだろうかとぼんやり思った。
抵抗する気力さえ薄れていく。
もうだめだと思った瞬間、瞼の裏にエレナの顔が浮かんだ。
「このカンフーの型はこうやって目を攻撃するって言う意味なんだよ。馬先生が“どんな人間でも目は鍛えようがないから大きな人がいじめて来たら命を守る為に目を突いてもいいのよ”って言ってたよ」
と馬先生の教えを楽しそうに私に話しかける。
そうか目か、今、私は大きな人にいじめられているよな…と言う思いが頭の中を駆け巡った。
薄れゆく意識の中で私はゆっくり拳を握り始めた。
そして人差し指だけ第1第2関節を突き出した握り方で肘を脇に引き付けてから大男の左目を突いた。
「グオーッ」と大男はその場に倒れた。
狼の鳴き声のようだ。
頸動脈と気管が開放されたので、新鮮な空気が入ってきた。
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