ツルペタ巨砲主義ナスビン(他3人)と三英傑の出会い

第5話〜それでも僕は、頑張ってすがった

 気付くと少し眠ってしまったようだ。

 先ほどまでレインへの悔しい想いと、タインさんへの憧れが大きくなり過ぎて少しおかしくなってしまったみたい。

 僕にはたまにこういう時がある。


「うわぁ…汗でベチョベチョだよぉ…お風呂入ろ」


 宿のお風呂場に行くと剣聖のヒナタがいた。

 冒険に出た時、村の入口で「私がナスビンを守ってやるからな」と言ってくれたヒナタ…

 今では幼馴染の中で最も険悪な雰囲気だ…


 私を見るなり「フンっ」と、そっぽを向くヒナタ…なんなんだよぉ!

 レインは追放についても相談して決めたと言っていた。

 ヒナタは最近ずっとこの調子だ、もちろん追放賛成なんだろうな…


 でも、どうせ追放されるんだ!言ってやる!


「ヒナタ!なんなんだよ!いつも僕を目の敵にして!何か理由があるなら言ってみろ!何も言わないこの卑怯者!」


 するとカッと目を見開いて僕を睨んだ!?

 

「い゙ッ!?」


 怯んだ僕を見てまるで呪詛をはくかのように僕に言った。


「お前がッ!師匠を拐かしたんだ!卑怯者はお前だよ!私の剣の道も!想いも!全部!ナスビンッ!全部お前のせいで台無しだッ!!」


 僕はそこまで責められる謂れはないと思う…だけど現実に凄まじい殺気をぶつけられた。


 思い出す…最初に3人の師匠に挨拶をした時の事を…



――――――――――――――――――――――


「あ!あの!僕にも色々教えて下さい!」


 3人がそれぞれの師の所にいく、このままでは僕は置いてきぼりだ。

 いつかクビになってしまう…そんなの嫌だった。


 しかし、3人の英雄は僕を異物、いや魔物を見るような目で見ていた。


 聖騎士さんは「ヤベ、野球バットじゃん」と言った…

 魔道士さんは「これは脳が破壊されたねぇ」と言った…

 

 そしてアサシンの…


 『す、凄い…ふむ、しかし君は確か…』


 タインさん…覚えていますか?


 僕は…忘れていません…今はタインさんは仮面を付けて胸を膨らませて女装してますが…僕の記憶と直感が、この人は僕を助けてくれたタインさんだって言っている。

 あの山賊から助けてくれた日…この事はナイショだよと言って…『君の冒険に幸あらんことを』と、このお守りをくれたタインさん…


 僕はその時にタインさんから【ピンロタ】と言う、震える卵型の御守を貰った…常に紐で下げているが…それを手で握りしめながら言った。

 勇気を出せ…この人に助けて貰うだけじゃ駄目だ!


「と!ところで!ぼ!ぼくの!僕のピンロタ《コイツ》を見てどう思った!?」


 緊張し過ぎてなんか偉そうな言葉になってしまった…それでもじっとタインさんを見た…すると…


 タインさんは腕を組んだまま少し仰け反りながら…


「す、凄く大きいです…大き過ぎます、許して…下さい」


 えぇ!?なんでぇ!?


 

 


  

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