第7話:大陸の村に来てみたけれど



 えらい時間をかけて海を渡り。


 大陸へとたどり着いたのはよかったが。


 島から大陸まで最短コースで訪れたために。


「何も無いわね……」


 マップを広げてみると、上陸したところから、一番近い村まで、少し距離がある。


 マップ上では海岸沿いの街道を北北西に進めば、村に辿り着けそう。


 と、言うことで、早速。


 街道に出て、歩く。と、言うか、走る。


 とっとことっとこ。


 さっきまでの海中はのろのろだったけど。


 軽快、爽快。


 とは、行かず。


 街道の左右には。


「うわぁ……なんか怖そうなのが居らっしゃいますねぇ……」


 そう、モンスターがちら、ほら。


 幸いなことに、街道にまではみ出して来ているモンスターはおらず。


 できるだけ近付かないようにしつつ、街道を進んで。


 ようやっと、見えて来た、村。


 の、門。


 あちこち壊れてたりするけど、衛兵さん? が立ってたり。


 衛兵さんに咎められることもなく、村の中へ。


 島の村よりも、はるかに大きな、村。


 村の中にも壁があって、いくつかの区画に分かれているっぽく。


 地面も、島の村は舗装もなにもされてなかったけど。


 ここの村は、さすが、大陸の村? 地面が石畳になっている。


 そんな村の中を探索してみる。


 島の村と違って。


 ヒューマンだけではなく、他の種族もいっぱい。


 お店があったので覗いてみたけれど。


 島のお店よりいろんなモノが売ってるみたいだけど、もちろん、お値段も島のお店の比ではなく。


 んー。


 村の中央の広場。


「うわぁ」


 そこにも、ヒトがいっぱい。


 ここで言うヒトは、ヒューマンだけでなく、全種族、ってことね。


 プレーヤーキャラクターが、いっぱい。


 露店を広げているヒトも多いし、行きかう人々も多い。


 チャットで聴こえる声も、多種多様。


 よく解らない言葉もいっぱい。


『北門、WWお願いしまーす』

『神殿パーティ募集中! あとふたりで出発しまーす』

『マンティ靴、売りありませんかー』


 WW?


 神殿?


 マンティ靴??



 島の中もまだ全部は知らないのに……。



 ん。



 ここは、まだウチが来るには時期尚早だった模様。



 先んじては、島を制覇しなくては。



 思い付きで訪れた大陸、その村だったけど。


 ここから先へは、また、いつか。



「さて……帰るか……」


 もちろん、帰りの船代、転移代も無いし。


 歩いて帰るしか、無いよねぇ……。


 あの海の中を……



 うぇーい。





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