第6話 わすれもの

 わたしはもう8才のお姉さんだから、わすれ物なんてしない。おやくそくも守れるの。「しっかりしてるね」ってパパもママも言ってくれる。

 だけど一度だけ、わすれ物をしたことがある。宿題の絵。もっと上手にかけたはずって思うと、持っていくのがいやになっちゃった。学校でほめてもらえなかったら困るなって思ったら、わすれたの。


「わすれものだよ」

 学校までのいつもの道。パパが走って追いかけてきて、私にその絵を届けてくれた。

「ごめんなさい」

 わたしがあやまると、パパはだいじょうぶってわらってくれた。

「いつもしっかりしてなくても、いいんだよ」

 なんだかほっとして、なみだが出てきちゃった。お姉さん、たまには休んでもいいよね?

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