あなたを倒しに来たんですけど

@rintarok

プロローグ

 体が規則正しく揺れている。深い眠りから冷めたリリィは自分を抱えている男の顔を間近で見た。男は両腕でしっかりとリリィの体を支え、荒れた山肌をゆっくりと歩いていく。何を考えているのか分からないその男の横顔を、ぼうっと見つめていた。

 鱗が生えたおよそ人らしからぬ男はリリィの視線に気づいていないようだった。角こそ生えていないが、赤い目は悪鬼と呼ばれるのに相応しい。その視線が自分に向けられないように、リリィはそっと目を閉じた。

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