第53話 ダンジョン発見
村の人口が千人を越えた辺りから、自警団も組織だって動く必要が出てきた。人数が50人とか100人とかになるからだ。
そこで対人戦闘はバジーリオに、魔物はランベルトに教えてもらう。バジーリオは元アーロッシ帝国の百人隊長という経歴の持ち主。
ランベルトは元B級冒険者だ。
対人と対魔物では動き方が違う。
人は弱いが、組織だって動く。
対人(複数)の場合は、こちらも組織だって動く必要がある。俺は強い、ってなめてかかると敗北の憂き目にあう。
魔物は強いが頭が弱い。基本的に個人戦だし、集団だとしてもお互いの連携はないし、容易に分断できる。
しかし、魔物は人間より圧倒的に戦闘力の強い場合が多い。しかも、怪我を負うと攻撃力が倍になる。死にものぐるいで攻撃してくるのだ。そして、魔物は引かない。
致命傷を食らってもしばらくは動ける。正対は極力避けなければいけない。体重や勢いで押し切られる。
対人・軍隊の場合は、魔導銃と魔導バリスタを中心に戦闘を組み立てた。主にザップ村を攻撃されることを想定した戦闘訓練になる。
問題は、対魔物の戦闘訓練だ。
魔物は森の中とかダンジョンとか狭いところで戦闘する場合がほとんどだ。だから、少人数パーティつまり冒険者パーティのような戦闘訓練を行う。
基本は索敵ー発見ー先制攻撃。とにかく、索敵重視。先制攻撃はできれば背後かまたは遠方から。次点で側面から。正対は問題外。
相手が強い場合、先制攻撃のポジションをとれなければ、逃げる。逃走経路は常に意識しておくこと。
そういう観点から、
探査担当を各パーティに一人置く。
そのために探査魔道具を開発した。半径100m程度に探査魔法を放てる。攻撃魔法か弓矢を放てるものを二人パーティに置く。
または、魔導銃を携帯する。
タンク要員は1~2人置く。
ヘイトを稼ぐために、挑発の魔道具を開発した。
こうして、ランベルトの指導の元、専任の自警団を4~5人のパーティに振り分け、対魔獣・猛獣の戦闘訓練を行う。
しかし、魔獣とか猛獣は簡単に見つかるものではない。見つけても討伐してしまうから、魔獣とか猛獣は周辺にいなくなる。大抵は、エア戦闘訓練が続いていた。
そんなある日、森に薬草を採取していた冒険者がダンジョンを見つけてきた。大発見だ。
ダンジョンは王国には8箇所発見されている。余程の僻地でなければ、ダンジョンのそばには街ができるし街があれば発展する。地場産業としてはかなり有望なのだ。
ダンジョンは森に入って1kmの比較的浅いところに出来ていた。入り口は狭くて屈んで入る必要がある。しかし、中はかなり広い。高さは3m、幅は4m程度の洞窟が奥まで続いている。冒険者はダンジョンに入って、魔物のゴブリンらしきものを発見して急いで戻ってきた。
「ゴブリンがいた?すると集落になっているかもしれんね。すぐに調査する必要があるね」
ランベルトが言う。
ゴブリンは典型的な魔物だ。子供のように小さいが、力は大人より強い。しかも徒党を組んで襲ってくる。5才児ぐらいの知性があると言われ、洞窟などで集団で生活する。ただし、かなり残忍だ。
この集団が時々100匹以上の集団に発展し、ホブゴブリンとかゴブリンメイジとか特殊個体も出現し始めると、かなり厄介になる。
こうなると、一般人程度では討伐は非常に危険。冒険者ギルドに依頼してギルド全体の案件になるか、場合によっては軍隊が出ることになる。
ちなみにゴブリンは単独だとDクラス以上の冒険者の相手となる。
大まかな魔物のランクと攻撃力は比較すると次のとおりだ。
一般人男性 10
F スライム 1
E 吸血コウモリ 3
D ゴブリン 15
C ホブゴブリン 30
B オーク 50
A トロール 100
以上はあくまで目安である。個体によって随分と差が出るし、攻撃力だけで強さが測れるものではない。
それでも、ゴブリンが平均的な大人の男性より強いことは確かだ。ゴブリンは小さいのに意外と強い。
それは獣でも同じだ。チンパンジーはかなり小さいが、人間は素手では全く勝てない。チンパンジーに檻ごしに握手しようとしたら、手を引っこ抜かれたなんて話があるぐらいだ。普通、素手の人間はせいぜい柴犬と互角程度の強さしか無い。
あと、繰り返すが野獣にせよ猛獣にせよ、精神力が非常に強い。特に手負いの野獣・猛獣は攻撃力が倍になり、非常に獰猛になる。猫だって、野生むき出して攻撃してきたら、多くの飼い主には手が負えなくなる。
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