第45話 村の特産品の開発 養蜂

 前世の日本の話しだが、

 母の実家がよく蜂蜜をプレゼントしてくれた。

 その地方では評判の蜂蜜屋があるらしい。


 その蜂蜜屋さんは60歳から養蜂を始めて、

 数年で大規模な養蜂農家になった人だった。


 だから、僕の中では養蜂=儲かる。

 僕も養蜂を経営してみたいな、と妄想したものだ。

 少し調べたこともあり、多少は養蜂の知識がある。



 養蜂は巣箱からだ。


 まずは巣枠。

 木製の枠に3本の針金を張り、

 そこに巣礎を貼り付ける。

 巣礎は蜜蝋で蜂の巣の形を規則正しく並べたもの。


 巣枠を巣箱に入れて、完成。



 問題は「花」。

 巣箱のそばに花が必要だが、なかなか難しい。

 だから、養蜂家は花畑を渡り歩くことがある。


 広い土地があるのだから、村民と相談して、

 できる限り1年中花が咲いているようにしたい。


 領民に聞くと、


  春はレンゲとニセアカシア、杏など。

  夏はトチノキとひまわり、そば、セージなど。

  秋はコスモス、ベロニカ、百日草など。

  冬はビワ。


 というところらしい。

 どんな花でもいいから、一面を大規模花畑にした。

 イメージは北海道の美瑛町。


「ロレンツォ、毒の含まれている蜜もあるで」


 マリアが珍しく役に立つ意見を言う。

 

「これなんか、やばいで」


 といいつつ、ツツジのような花を指差す。


「レンゲツツジや。鑑定すると“花・葉・蜜に毒、注意”と出るわ」


 マリアは城で何度も毒をもられてきた経験から

 毒にはセンサーが働く。

 幸い、レンゲツツジの自生地は狭く、

 処分することができた。


 綺麗な花なので、もったいない。

 でも、健康や命にかかわることだから仕方がない。



 そういうこともあったけど、花畑は景観が非常に良くなり、カップルや家族の憩いの場ともなった。


 美瑛町には負けるが、

 景色百選をやれば選ばれそうなレベルだ。



 なお、ミツバチにはニホンミツバチとセイヨウミツバチがいる。スズメバチに勝ったりするのは、ニホンミツバチ。しかし、ニホンミツバチの養蜂は難しいらしい。


 それから、蜂蜜は古くからあり、水を混ぜるだけで自然に酒になるという。だから、前世では蜂蜜酒は世界最古の酒と言われている。

 でも、蜂蜜酒では量をさばけない。

 蜂蜜が大量に採れるわけじゃないから。


 蜂蝋はローソクの材料になるので、権力と結びつきやすい。場所によれば、蜂蜜税というのがある。うちは無税だけど。よその領にもってくときは注意しなくちゃ。


 担当は、アキッレが中心となる。例によって、持ち回りで補助担当を決めるが、意欲のあるものを採用して専任体制にしたい。



 なお、蜂蜜にはボツリヌス菌が含まれる場合がある。 前世ではボツリヌス菌は世界一強力な毒らしい。 抵抗力の弱い赤ん坊が病気になることがある。


 この世界のボツリヌス菌はさらに強力で、赤ん坊の暗殺に使われたりする。僕にも使われそうになり、執事がそれに気づいて止めに入ったことがあった。


 だから、僕も敏感になる。

 前世の知識で菌類についてマリアに教え、蜂蜜をチェックしてもらい、危なそうな菌類は弾いてもらう。またもや顕微鏡の活躍だ。


 また、レンゲツツジの例もあったから、蜜に毒が含まれていないかのチェックもお願いした。


「毒はすぐに私のセンサーにかかるからまかせてや」


 美味しいスィーツのためなのである。

 珍しくマリアが真面目に働く。


「私はいつも真面目ですー」


 確かにスィーツが絡むと意外と真面目なんだよな。

 ある意味、チョロ子なんだが、残念聖女。


「ムキーッ!」


 ムキーってなんだよ。効果音、面白すぎるぞ。



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