世界最強の魔女の弟子ダンジョンライブにて無双する

すりたち

1話:冒険者登録

 10年以上前のこと、突如として地球には世界規模の自然災害が起きた。


 人口の約3割が無くなり文明崩壊にも近い悲劇を招いた大厄災。その大厄災と同時に地球には様々な変化が起きた。


 異界からならモンスターの襲来、亜人族という新たな人類もこれと同時にやってくる。


 そしてダンジョンの発生。


 大災害で家族を失った俺は、異界からきた魔女に拾われ魔法を習いながら暮らしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ルーくん17歳の誕生日おめでとー」


「ありがとー!師匠ー!」


 ルーくんとは俺のことである。本名天ヶ瀬ルナ、少し女の人っぽい名前と勘違いされるが男である。


「誕生日プレゼントはこれじゃー」


 そう言って出てきたのは冒険者になるための装備一式、しかもかなり高級なやつだ。


「こ、これはダンジョン産の魔法剣、しかも最前線クラスのやつだ。師匠こんな凄いのどこで?」


 最低でもこの剣1つで数十億の価値はある代物だ。うちは貧乏ではないがそこまでのお金があるほど裕福でもないはずだ。


「ふっふっふーん、師匠の伝手ってやつじゃよ」


 そう言い胸を張りながらポーズを決める師匠


 そんな師匠に感極まった俺は、抱きついて思いを伝えた。


「師匠大好きー、世界一の師匠、最高」


「それほどでも、それほどでもー」


 分かりやすく調子に乗り鼻を伸ばす師匠。チャンスは今だと思い、冒険者登録に行こうとする。


「じゃあ今から登録に行こ」


「えーまだ早いんじゃない?冒険者って危ないしさ、ルーくんには難しいって言うか、そんな焦らなくてもいいんじゃー的な」


 ツラツラと御託を並べ出す。昔からこうなのだ、俺が冒険者になりたいと言うと危ないからと、なんとかして留めようとしてくる。


「でも約束でしょ、17歳になったら行ってもいいって」


 冒険者には15歳から登録できるのだが、師匠があれやこれやと言い訳をするため、ここまで出遅れてしまった。


「むーそうじゃけど...」


「お願いー師匠ー」


 最大級の甘える声を出し、うるうるとした目で訴えるように懇願する。


「分かった分かった、約束じゃしな、登録しよう」


「やったー師匠本当に大好きー」


 ついに冒険者登録に必要な師匠の許可を獲得した。ちなみに20歳未満の冒険者登録には両親または、保護者による許可とサインが必要とされている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ついに来ちゃったよ、冒険者ギルド。ダンチューブでしか見たことなかったよ」


 ダンチューブとは主にダンジョン攻略を配信するサイトのことであるが、普通にゲームやVlogなどの動画も存在する。


「まあ約束は約束じゃしな」


 受付に一緒に並びながら話す。


「次のお客様どうぞー」


 受付嬢に呼ばれ、ついに俺たちの番がやってくる。


「グレイロッド・ルーヴァ様、本日はどういったご用件でしょうか?」


 なぜか師匠の名前を知っている受付嬢はかなりかしこまった態度で接客を始める。


「なに、そんな畏まらんでいい、今日はただの冒険者登録じゃ」


「お連れの方の登録でしょうか?」

 

 そう言いながら受付嬢は俺の方へと視線を向ける。


「はい、そうです!今日は俺の登録です!」


「分かりました。ではこちらの端末に記入をお願いします」


 そう言われタブレットを渡されたので個人情報を入力していく。


 その間、受付嬢と師匠の会話が少し耳に届く。


「グレイロッド様とそちらの方はどういった関係なのでしょうか?聞いてもよろしいですかね?」


「弟子じゃよ、とは言っても私が親代わりみたいなもんじゃから息子みたいなもんかの」


 それを聞いた受付嬢はかなり驚いた顔をしていた。


「初めて知りました、グレイロッド様にご子息がおらっしゃったなんて」


「んーまあそうじゃろうな、別に言っておらんかったし、隠してるわけでもなかったが」


 そんな会話を聞いているうちに、個人情報などの入力は終わった。残るは保護者によるサインのみとなった。


「はい、仕上げよろしく」


 そう言って端末を渡すと渋々ながらにサインを記入してくれた。


「以上で、登録は終わりとなります。次に初心者講習の方が必要となりますが、冒険者による推薦などはお持ちでしょうか?」


 すると師匠は内ポケットから一枚の封筒を出し受付嬢に渡した。


「はい、確認完了いたしました。では初心者講習はパスとさせていただきます。良いダンジョンライフを」


 そして受付嬢からパスポートを渡され、ついに念願の冒険者へとなったのだ。

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