第1話 旅に出でる 8

イヴのとなりで、ミルクがねだるようにいました。


「ねえ、きましょうよ。

大変たいへんだったとしてもわたしたち、きっとにじしょくにんつけられるわ。

にじしょくにんは、いばしょがからないとっても、世界せかいのどこかにはかならずいるんですもの。

みせすこしのあいだやすみして、たびることにしましょう。

どのみち、これからすこしのあいだ、シャロルのみせにおきゃくさんをられてしまって、ろくに仕事しごとにならないにまっているもの」


 イヴとミルクはかお見合みあわせました。

もう、こうなったらやるしかなさそうです。

二人ふたりはおたがいのをかたくにぎりました。

みなれたもりて、にじしょくにんつけし、にじのかけらをれるのです。

でもそれはきっと、大変たいへんたびになることでしょう。


 ゆうかんなけつだんをした二人ふたりのかたをたたいて、ダイがいました。


「だいじょうぶ。イヴとミルクなら、かならしとげるさ。

われわれもたびのじゅんびを手伝てつだうことにしよう。

二人ふたりたびているあいだみせ手入ていれれはわたしたちがしておいてあげるから、安心あんしんしてっておいで」


 ダイはにっこりわらいました。


(たびだなんて、すごいなあ! なんて勇気ゆうきがあるんだろう。

ぼくもってみたいけど、やっぱり弱虫よわむしこころなかみついているんだもの。

今回こんかい二人ふたりたびをおうえんするだけにしよう。

でも、いつかはぼくも、二人ふたりみたいにたびてみたいなぁ……)


 そばでこの様子ようすていたポチは、二人ふたり見守みまもりつつ、こころなかでそうおもったのでした。


読んでいただき、ありがとうございます。

次回の掲載は2024年5月14日です。

 注意:作者がコメント欄を読むこと、またいかなる場合もコメントへ返信することはございません。読者の方のコミュニティーとして節度ある使用へのご理解と、ご協力に感謝いたします。

 注意:この作品は 『小説家になろう』、『カクヨム』、『Novel days』に、同時掲載しております。

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