痛快！小袖君の黒魔術

第33話 大収穫祭と黄金のリンゴ

秋も深まる頃、桃源郷は一年に一度の大収穫祭で賑わっていた。この収穫祭は、村中が集まり、農作物の豊穣を祝う特別な行事で、村の人々にとっては一年で最も大切な時期の一つだった。小袖君と恋歌も、祭りの準備に熱心に取り組んでいた。

祭りの朝、村の長老が小袖君のもとに現れ、村の伝統である「黄金のリンゴ」を祭りで披露してほしいと頼んだ。このリンゴは村の象徴であり、かつて魔法によって育てられた伝説の果実だった。

「もちろん、お手伝いさせていただきます」と小袖君は答え、恋歌と一緒にリンゴを探しに出かけた。彼らは村の近くにある古い果樹園へ向かい、その中でも特に手入れが行き届いた一角で、輝く黄金色のリンゴを見つけた。

「なんて美しいの…」と恋歌が感嘆の声を上げた。リンゴは太陽の光を浴びてキラキラと輝き、周囲には甘い香りが漂っていた。小袖君はそのリンゴを慎重に摘み取り、祭りの広場へと持ち帰った。

大収穫祭が始まると、村人たちはこぞって黄金のリンゴのもとへ集まり、その美しさと香りに心を奪われた。小袖君は、村人たちがリンゴを味わう前に特別な祝福の魔法をかけ、その魔法によってリンゴの味はさらに豊かになった。

「これは今まで食べた中で一番美味しいリンゴだ！」と村の一人が言うと、他の村人たちも賛同し、祭りの雰囲気は一層盛り上がった。

その夜、小袖君と恋歌は、村人たちと共に祝賀の舞台で踊り、村の収穫の喜びを分かち合った。星が輝く夜空の下、彼らはこの特別な日の成功を祝い、未来の豊穣と幸せを祈った。

「今日は本当に素晴らしい一日だったね」と小袖君が言い、恋歌は微笑んで頷いた。「ええ、私たちの村はこれからもずっと幸せであり続けるわね」と彼女は答えた。