第16話 失われた呪文と村の危機
春の訪れと共に、桃源郷は新しい生命で満たされつつあった。しかし、この平和も突如として挑戦に直面することになる。ある夜、小袖君は自身の魔術の本の一部が失われていることに気づいた。それは、村を守るための重要な防衛呪文が記されたページだった。
翌朝、小袖君は恋歌とジーンにこの事態を説明し、村人たちと共に呪文のページを探す手がかりを求めて森へと向かった。森は春の花で彩られてはいたが、その美しさも今は二の次だった。
捜索中、村の北端で古い井戸が崩れ、そこから奇妙な霧が立ち上り始めた。この霧は村人たちを不安にさせ、彼らの体調を少しずつ奪い始める。小袖君は、これが失われた呪文のページがもたらした災いかもしれないと推測した。
「私たちが何とかしなくては」と小袖君は言い、恋歌とジーンもそれに同意した。彼らは井戸の奥深くに潜り、失われたページを探し出すべく協力した。ジーンは小さな体を活かして狭い隙間に潜り込み、恋歌は彼を安全に導くためにロープを用意した。
深い闇の中、ジーンはついに泥に埋もれた古い書物を見つけ出した。それが失われた呪文のページを含む本だった。ジーンが本を持って戻ると、小袖君はすぐに呪文を唱え、立ち込める霧を晴らし、村の安全を取り戻した。
その晩、村は小袖君とジーン、恋歌の勇気を讃える祝賀会を開いた。村の長老は特に三人を前にして感謝の言葉を述べ、「今日の勇気ある行動は、村にとって大きな教訓となった。おかげで私たちは再び安全を取り戻し、団結することができた」と語った。
小袖君は恋歌とジーンを見て、「二人と一緒にいられて本当に良かった。お互いを支え合って、どんな困難も乗り越えられるね」と感謝の気持ちを表した。恋歌とジーンも同様に感謝を返し、三人の絆はさらに深まった。
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