おっぱいは威嚇

「だが、無い胸に視線は向かないだろう?」


「そうか、おっぱいが小さくても生殖はできるのに

性欲は貧乳に対して反応しないことになるよな」


「だからおっぱいを見てしまうのは

性欲ではなく戦闘欲のせいだと仮定しよう」


「もしそうだとして、なんで戦闘欲は

性欲に置き換わっちゃったのさ」


「人類は他のナワバリと共存する

唯一の動物だと前にも言ったよな

それは友好関係を結ぶことだから

戦闘欲を抑える必要が出てくる」


「戦闘欲の抑制と服文化の始まりには

いったいどんな相関があるのさ」


「質問に質問で返してすまないが、

背丈が自分と同じ人を相手にする時、

お前はどこで強さを推し量る?」


「えっと、筋肉量とか?」


「服を着ることで筋肉は隠される

それは筋肉量を黒塗りしてるから

相手が強くても弱くても分からない

しかし服を着ていても分かる情報は

例えば肩幅とかがあるだろう」


「肩幅ね、確かに同じ身長の人であっても

肩がガッシリしている人って

強そうに見えるな、体格が良いんだよ」


「男性は初対面の女性のおっぱいを

見てしまう傾向にあるという研究はあるが

初対面の男性の胸を見るかの論文はない」


「そうじゃん、おっぱいの無い人の

胸も見てなきゃおかしいじゃん」


「見てるけど気にしてないだけだろう

じゃあ初対面の人と話すとき、

どこを見たら失礼がないと思うんだ」


「会話をするんだったら、

相手から視線をそらすのは失礼かもな

話を聞いてないんだなとか、

自分と話したくないんだなとか、

そう取られる危険性がある」


「かといって、顔を見て話すのは

勇気がいると考える人が多い

よって視線の行く先は自然と胸の辺りになる」


「性別を問わず俺たちは人の胸を見る

胸筋とかから相手の強さを推し量るけど

相手の強さを知ったところで何の意味が」


「落ち着いて話せるかに影響するだろう」


「なに、自分が倒せると判断した相手とは

落ち着いた気分で会話できるってこと?」


「自分より物理的に強い者に対しては

危機に敏感な人ほど恐怖を抱くだろう」


「なるほど、だから初対面の人に出会うと

まず胸を見て自分との力量を比較するんだ」


「ところがおっぱいがあると、

胸から相手の筋肉量を推し量れない」


「デカイおっぱいを持ってたら

それだけ胸が大きく見えるから

観察する人よりも強いと錯覚させるのかも」


「さっき言っただろ、おっぱいは威嚇だ」


「威嚇なのか・・・」

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