天使のパンツ。

猫野 尻尾

第1話:降って来たパンツ。

近頃、やたら天使に執着している僕・・・これは僕の願望のような奉仕と

献身に満ちた話です。

こんな話を考えてしまう僕は、変態なんだろうか?(=^x^=)


さて、ある日、俺は学校の帰りに、たこ焼き屋で「たこ焼き」を買って

店の前のベンチに腰掛けてたこ焼きを食っていたんだ。

で、全部食い終わって満足の余韻に浸っていたら・・・。


俺の膝の上になにかが落っこちて来た・・・フワ〜って。


「なんだこれ?・・・」


そうたいして大きくもない物体・・・なにやら布切れに見える。

そいつを指で持ち上げてみた。


「ん?」


で両手で持って広げてみた。


「うそ〜・・・まじで?」

「パ、パンツじゃん・・・しかも女モノの・・・」

「ちっちぇ〜」


「なんで俺の膝の上にパンツが落ちて来るんだよ・・・意味分からん」


どこかに干してあったパンツが風に乗って飛んできたのかと上や周りを

見渡したが、それらしい住宅やマンションもない。

どこからともなく落ちてきた謎のパンツ。


だから素知らん顔してそのパンツをベンチに残して帰ろうと思ったんだ。


そしたら俺の右腕が急に言うことを聞かなくなって、そのままパンツを

ポケットにしまい込んじゃったんだな。

なんちゅう右手なんだ。

右手のせいにしてパンツを持って帰ろうとする俺。


まあ、いいか・・・落ちて来たもんだし、泥棒じゃないんだから。

パンツなんか警察に届けたら、おまえが盗んだんあろうって言われそうだしな。


心なしか後ろめたい気持ちで俺はパンツを安アパートに持って帰った。

そのままタンスにしまおうかと思ったけど、せかっくだからハンガーに

かけて部屋のインテリアにした。


ちっちゃくて可愛いパンツはいい目の保養。


俺は「次野 番太朗つぎの ばんたろう」23歳。


真面目に生きている平凡な独身・・・付き合ってる女性もいない。

恋愛にあごがれはあるけど、ひとりじゃできない。

特に可もなく不可もない、つまんない孤独な生活。


ある日のこと、それはもうすっげえ可愛い女の子が俺のアパーを訪ねてきた。

なこと、まずありえないし・・・なにかの間違いだろ?


女の子を街でナンパもした覚えもないし、飲み会で知り合った覚えもない。

マッチングアプリも出会い系も手をだしてないし・・・。

はて?思い当たる節がない。


その子は金髪のショートカットにパンダの柄の白いワンピースを着ていた。


「はい、なんでしょう?」

「なにかの団体の勧誘ならお断りですけど・・・」


「そんなんじゃありません」


「あの〜つかぬことをお尋ねしますが・・・」

「先日、パンツ拾いませんでした?」


「え?パンツ?・・・・」


知らないって誤魔化そうと思ったんだ・・・そしたら・・


「私、見てたんです・・・あなたが私のパンツを持って帰るところ」


「見てた?・・・うそ?・・・どこから?」


「天界からです・・・見たいものを見せてくれるミラージュの鏡で?」


「え?・・・天界?・・・鏡?・・・って何?」


「私、天使なんです」


「天使?・・・まじで?」

「あ、なんだかすぐにお引き取り願えそうな話じゃなさそうだから、

よかったら部屋に上がります?」


で、その子に部屋に上がってもらった。


「あ、私のパンツ」


ハンガーに綺麗に飾っておいたパンツを、その子に見つかってしまった。


「大切にお預かりしてます、パンツ」


なんでも、その子・・・天使が言うには庭に干してあったパンツが風に

煽られてどこかに飛んで行ったらしい。

で、パンツのありかを探そうと鏡で見たら、俺がパンツを持って帰るシーン

が映ってたんだって。


防犯カメラみたいだな。


で、問題はここからなんだな。


普通ならその天使に、ごめんなさいってパンツを返しておしまいってところ

なんだけど・・・そうはいかなくなった。


天使は自分の持ち物を誰かが保護してくれた時点で、保護してくれた人に

ご奉仕しなくちゃいけないんだって。

まあ、恩返しみたいなもんかな?


「ご奉仕って?・・・つまり?」


「私、天使の「キューティクル」って言います・・・今日からここに

お世話になります」

「そう言うことなのでバンちゃん・・・よろしくね」


「よろしくねって?」

「うそ〜・・・お世話になるって?・・・どういう意味かな?」


「そういう意味です・・・そういう決まりになってるので」

「私、天界に帰らないつもりで来てますから・・・」


そんなこんなで天使のキューティクルちゃんは俺のアパートで俺のために、

ご飯を作って掃除して洗濯して甲斐甲斐しくお世話をしてくれるようになった。


降って来たパンツからの降って湧いたような天使からのご奉仕。


たかがパンツ、されどパンツ・・・落ちてきたパンツをただ持って帰った

だけなのに天使からの思わぬご奉仕って・・・いいのか?。

そんな些細なことで?

キューティクルちゃんからしてみれば大切にしてる愛用のパンツを拾って

くれた僕に恩を感じてるんだろう?


よくパンツを捨てないで持って帰ったと自分を褒めてやりたい。


とぅ〜び〜こんて乳。

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