第39話 魔石の値段

「とりあえず今月分の魔石を納品したいんですけど?」


ミノタウロスの魔石いくらになるんだろ。

驚いてたから、結構高いと思うんだけど。


「ああそうだね、Aランクの魔石は一律1000千万だからね。

BランクのイレギュラーでAランク相当とかだと

また値段も変わってくるんだけど。

昨日見せてくれた魔石なら10個で1億かな。」


え〜ボロ儲けやん。働くのがバカみたいな金額だな。

バイトしかしたことないけど。

これは、探索者人気そうだな。


「じゃあこの10個お願いします。」


「わかったよ。ああ、あと魔石の税金は先に取られるから

取られて1000万の値段ね。特に気にせず使ってしまって大丈夫だよ

魔石は化石燃料の代わりになるクリーン燃料だからね。

無駄に税金をかけすぎても、売ってもらえないと国が困るから。

きちんと正規の値段で取引されるんだよ」


やっぱ魔石はそういう使い方なのね。

先に税金払われるのは楽でいいな。


「じゃあ現金で20万だけもらってあとは全部カードでお願いします」


「わかったよ。地元に戻るって言ってたよね?

そのあとはここの近くに家を借りるって言ってたから、

こちらで紹介できるような物件を探しておくよ」


「何から何までありがとうございます。

じゃあまたきますね。二日間お世話になりました」



「やっと終わったな練。なんか俺まで疲れたぜ」


「あれ?ヤタ出番なさすぎて喋れなくなったと思ったわ。

俺も疲れたから、地元で顔出したら家買って箱庭でゆっくりしようかな」


あれ?電車が出てない。そんな田舎になっちまったのかこの2年で。

携帯ないから、歩いてもいけないしタクっちゃうかな。

ここから車だと1時間くらいかな。


「お客さんどこまで?」


「花子までお願いします」


「え!...ああはいわかりました。」


ん?そんなに珍しくもないと思うんだけど。

そんなに廃れたのかなこの2年で。みんな元気かな?

俺、二十歳のままだから驚かれるかな?


「お客さん、この先は車じゃ通れないのでここまでです。

お代は結構ですから。」


「え、いいんですか?ありがとうございます。では」



「....な....んだ...これ」


「ひでーな。斉藤が言ってたようにここも魔物に飲み込まれちまったのか。」


目の前の光景は想像を絶するような荒れようだった。

原型を保っている家屋はなく、全て倒壊してしまっている。

そして中心には、なくなってしまったであろう人の名前が彫られた

慰霊碑だけが佇んでいる。


「くそ!載ってないでくれ。頼む頼む頼む。」


ああ、そんな.....

全員書いてあるじゃないか。俺の名前まで...

くそ、こんなのありかよ。


「おい練。一回戻ろう斉藤に相談して今後のことを決めるべきだ。

箱庭で休むのはそれからだ。立て練」


「翡翠くん!すまない君がここの出身だったなんて、

本部に一度戻ろう。ここのことも全て話すよ。」


「お願いします」


そりゃあ、異世界に行けると思ってたから割り切ってたけど。

誰も生きてないのかな?ああ、こんなのって...

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