第16話 最終決戦

「フゥーフゥーフゥー」


息を整えるように猛荒が息を吐く。

全身の色が茶色から赤黒く変色する。

目には獰猛な意志と殺意を宿す。


「第二形態が来るよな〜!大人しく変身を待つほど俺はお利口じゃないんだよ!

”砲雷”」


砲撃のように雷の球が発射される。変異した猛荒に一直線に向かっていく。

ちょっとでもくらってくれたら御の字なんだが。

第二精錬できるほど魔力に余裕がないのが痛いな。

まだ戦い中に魔力の吸収ができないのが宝の持ち腐れすぎる。

ここまでの敵がいなかったのが練習もクソもなかったんだよな。

身体強化を常にして、でかいのを放つのは一回が限界だ。


「ブルゥゥゥゥ」


効いてる?防御捨てて攻撃に全振りかあの形態。

脳筋すぎだろ!だが、好都合!


「ヤタ!合図で頼むぞ。それまで隠れてろ。」


「了解。死ぬなよ相棒」


「ああ」


ふぅー。集中しろ、相手の攻撃を喰らったら死ぬ。

チャンスは一回。失敗したら、もう一度はない。

背水の陣だ。楽しもうぜ猛荒!

来る!


「ぐっ!」


風圧だけで吹っ飛ばされるのかよ!それにスピードも増してる。

気を抜けばお陀仏だな。それに、軽い攻撃はこっちの隙になっちまう。


「ぐわっ!」


くっそ当たらなくてもこっちの体力が削られてジリ貧だ。

最初の時と別もんすぎるだろ!身体強化の練度も段違いだぞ。

次の相手の攻撃で決める!


「ブラァァァァァァァァァァ」


「”黒門”」


黒門に腕が入る前に猛荒はタックルへと攻撃を切り替える。

予想通り!俺と猛荒との間に風のクッションがあるイメージで

反発して距離を取る。


「ヤタ!」


「待ってたぜ!くらえ!」


雷撃が猛荒に向かって放たれる。

その雷撃を猛荒は左手で振り払う。

それがわかっていたかのように、振り払ったことで隙となった顔の前に、

魔法が放たれている。


「爆ぜろ!”閃光”」


キィィィィィィィィィィン


猛荒の目の前で光が破裂し、視界を奪う。


「ブモォォォォォ」


「じゃあな。楽しかったぜ!」


ズバァァァァァァァァァァン

猛荒は胴体で二つに分かれる。直剣もまた崩れていく。

戦いが終わったのを告げるように猛荒の身体が霧散しドロップ品が出る。


「「シャアアアアアアアア」」


二人が歓喜の声を上げ戦闘は二人の勝利で幕を閉じる。


ですが、何が起きたのかわからない人もいるでしょうから。

ここで最後の解説といきましょう。お馴染みの私たちが解説しましょう。

いや〜強かったですね。防御を捨てた猛荒は。

無傷のように見えましたが当たったら負けですからね。


「そうですね〜練選手が勝つには全て避けるしかありませんでしたからね。

肉弾戦と言いつつ剣での攻撃は最初と最後のみですからね。」


あんなに肉弾戦だ〜とか言ってましたが近くで避け続けるだけで反撃しないのは

果たして肉弾戦と言えるのでしょか。

では、猛荒が変身してからの反撃の解説をしていきましょう。

まず最初の”砲雷”であわよくば攻撃を喰らわせて変身前と効き方を比較しようと考えたのでしょう。

あの威力の攻撃なら、変身前ではあれほど効かなかったでしょう。


「そうですね〜あの攻撃が効くことがわかったおかげで、相手の防御力がほぼないとわかりましたし、最後の攻撃のため時間なども計算できますからね。」


また、”砲雷”を喰らわすことで後の布石としたのでしょう。

相手の攻撃を避けることで隙をうかがい来る時を待っていたのでしょう。

が、思ったより攻撃の威力が高く長期戦はこちらの不利になることを悟り反撃に出ましたね。


「そうですね〜わざと黒門を出すことでわざと相手のタックルを誘発する。

これは一種の賭けだったのでしょう。そして賭けに勝った。」


これで距離を取ると見せかけて、ヤタによる援護をしてもらう。

相手にはこちらの策が潰れて躍起になった反撃と思ったでしょう。

そして、”砲雷”よりも威力の低い雷撃を手で払い除けると考えた。

そこを見越して距離を取る瞬間に放った”閃光”を顔の目の前で発動する。

完璧に相手の行動を読んだ起死回生の一手となる。


「そうですね〜その一瞬の隙を狙い、猛荒の胴体を分つ。

少し前まで平凡な大学生だとは思えない戦いですね。

練選手は生粋の戦士なのかもしれませんね」


戦士というより完全にバトルジャンキーですね!

以上解説の翡翠 練でした!

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