第3話 俺は春が嫌いだ

子供は可愛かった。

プクプクのホッペで。


それもあったけど。

あの、ママさん。


ちょっと。

いい女、だったよなぁ。


優しい眼差しで。

見守る表情が。


いいんだよ、なぁ・・・。


もしも。

結婚するなら。


あんな奥さんが良いなと。

想いながら歩いている。


てへっ・・・。(笑)


そう言えば。

今朝、通勤の駅で見かけたカップル。


泊まっていった彼女を見送る彼氏。

そんな、感じだった。


駅舎の窓ガラス越しに。

見つめ合っていた。


バイバイ。

手を振る彼氏が去ろうとしているのを。


彼女は手を振り続けながら。

見守っていた。


それに気づいた彼氏が。

駅のロータリーで立ち止まって。


再び、手を振っていた。


オイオイ。

エンドレスだろう!


突っ込みたくなったけど。

幸せそうな二人に。


俺の口元も。

自然に綻んだ。


俺は。

春が嫌いだ。


そんな。

ラブラブのカップルばかりで。


寂しく。

なるからだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る