36.エピローグ~黒龍と瞳の最後の会話~

 「なぁ、瞳。あの弓かけがえのない宝物だったのだろう?良かったのか?」

 

 「うん。元はというと私を此処まで導いてくれた存在であって、戦う物じゃなかったからね。和人が無事に現世で両親に渡している事を望んでいるよ。」

 

 「そうか・・・。俺の刀は無くなっちゃったけど・・・まぁいいか。」

 

 「あの刀は呪われているから持たないで!・・・ところで黒龍って泣き虫なの?」

 

 「うっ、実を言うと誰もいない時に泣いていた。」

 

 「そっか。翼君も人間らしいところあって素敵よ!」

 

 「な、やめろぉ!!」

 

 「ははは!・・・でも此処で黒龍ともお別れだね。来世でまた逢えるかなぁ?」

 

 「俺は絶対に瞳の事忘れないからな!」

 

 「言ったね?私も忘れないから!」

 

 「言ったな!!・・・それじゃあまず地獄へ行って選定を受けてもらうか。」

 

 「ええ、緊張するね。でも和人の願いを叶える為にも行かないとね。」

 

 「あぁ。」

 

 「・・・あ、そういえば言ってなかった事がある。」

 

 「なによ!今もう終わるところだったじゃない!」

 

 「その・・・なんだ。十二年間共に戦ってくれてありがとう。相棒!!」

 

 「うぅ・・・泣かせないでよ!あと頭ポンポンするなぁ!」

 

 「グハァ!!腹パンはないだろう!!」

 

 「仕返しだぁ!!でも本当にありがとう。」

 

 「あぁ!・・・って何をやっているんだ?」

 

 「何って、これで黒龍とも逢えなくなるからさ。最後くらい拳合わせてさ!」

 

 「あ、そういう事か。じゃあな、瞳!」

 

 「ええ!来世でもよろしくね!!」

 


 そして二人は別々の光の差す方向へと歩いて行った。

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