加われない銀の戦士

麝香連理

第1話 隠された銀の輝

「園上隼人。」

「はい!」

 ムーヴレッド。バドミントン、全国大会ベスト8

 直情的な性格でどこまでも真っ直ぐ。


「榎田瞬。」

「はい。」

 ムーヴグリーン。テニス全国大会一位。

 基本無口だが、やることはやるしちゃんと喋る。


「安東美智。」

「はい!」

 ムーヴブルー。水泳全国大会で三位。

 明るく、かなり鋭い感覚を持っている。


「佐々礼隆吉。」

「はい。」

 ムーヴイエロー。野球部主将、投手で四番。

 真面目でツッコミ役。


「保多巴。」

「はい!」

 ムーヴホワイト。1500m走、第三位。

 ちょっと天然が入った性格。


「お前ら五人を呼んだ理由は分かってるな?」

「いえ、分かりません!」

 園上が元気に答える。

「ハァー、我が校はスポーツに力を入れているが、勉学を疎かにして良いとは誰も言っていない。」

「それはそうですね。」

 佐々礼が当たり前だとばかりに頷く。

「なら、自覚をもて!この問題児ども!」

 私は五人それぞれのテストの結果等をまとめた紙を机に置く。

 五人は自分のテストの点数、順位、合計点をチラリと見てから、グシャグシャにしてポケットに突っ込む。

「全員六教科で合計点数百点未満……次の二年生の一学期末テストでせめて合計点百点は越えろ!

 ……さもなくば夏休みは全て無くなると思えよ。」

「「「えぇ!?」」」

 園上、安東、保多が大きな声を上げる。

「そりゃ無いですよ!」

「海が…遠く……」

「学生の青春を奪うんですか!?」

「補習の後に部活は可能ですか…?」

「勉強嫌いぃー!」

 五人が口々に騒ぎ出す。

「うるさい!私だってここまで怒りたくないわ!今のままだと留年になるから言ってるんだ!」

「……それ……マジっすか?」

 私の言葉に驚いたのか、四人は口をあんぐりと開け、園上が絞り出すように喋る。

「マジだ。他のやつらもお前らと同じくらい点数が低くても留年はないが、お前らはちょくちょく授業を抜け出してるだろう?他の教科の先生達にも聞いてんだよ。」

「な!それは呼び出…ぐ!?」

「……何してんだ?お前ら。」

「いえ!何も!」

 ………どうせ言っても良いんだがなぁ。

「でも、授業で寝てる人もいるじゃないですか?」

 安東が問いかける。

「あ、それ!私も思った!」

 保多も同意するように二人で私を見つめる。

「……言いたいことは分かるが、寝ていても叩き起こすし、何回も起こした上で寝たとしても、評価は下がるが授業をすっぽかす程低くはならん!分かったか?」

「ぐぬぬ。」

「正論、ムカつくぅ。」


 ピピピーピピピー


「あん?」

 私が声を出すと、全員が急いで携帯を見る。

「悪ぃ、俺だ。」

 園上が片手で謝る。

「お前馬鹿!通知は脳内にしとけって言っただろ!」

 佐々礼がよく分からない怒り方をしている。呼び出しの音って脳内に送れるのか…使ったこと無いから分からんわぁ。

「佐々礼、別にそんなに怒らなくても良いんじゃないか?授業中じゃ無いんだし。」

「いや、こっちの話です!気にしないでください!」

「そうです!気にしないで!」

 佐々礼と安東が園上の口を塞ぎながら答える。

「そ、まぁいいや。とりあえず話は終わりだ。」

「分かった!」

「またね!先生!」

 五人は急いで教室を出ていく。

「廊下を走るなぁ~」

「ごめんなさーい!」

 さてさて……私も見に行くか。





「そこまでだ!」

「これ以上はさせないよ!」

 園上と保多が破壊行為をしていた化け物の注意を引く。

「なんだ、お前らぁ!邪魔をするなぁ!」

 化け物の放つ攻撃を横飛びで避ける。

「園上、保多、認識阻害と防護のバリアを張った!いつも通り行くぞ!」

 榎田、安東、佐々礼が合流する。


「いくぞ皆!」

「「「おう!」」」

「……!」

 五人が懐から何かを取り出す。それは、侵略者に対抗するため、国が運営する組織から支給されたムーヴフレームというものだ。

「「「「「choice」」」」」

 五人が自身使用する色を選び、その色のボタンを押す。ムーヴフレームから音声が響くと押したボタンの色に対応した色の発光をしながら変身待機音が鳴る。

 ……前から思ってたけど、絶対追加戦士私だけじゃないよなぁ…というか私だけあれじゃないんだけど…

 それと同時に、ムーヴフレームから実体化したベルトが五人の腰に巻かれる。そのベルトには一人一人別の武器が右腰に携えられている。


 「「「「「fit in!」」」」」

 五人(一人は無言)はその言葉を合図に、ベルトの左腰部分にムーヴフレームをはめる。

 五人の身体が光だし、変身を終える。

「赤き躍動、ムーヴレッド!」

「緑の何か、ムーヴグリーン……」

「青き流麗、ムーヴブルー!」

「黄の入魂、ムーヴイエロー!」

「白の閃光、ムーヴホワイト!」


「動力戦士!」

「「「「ムーヴソルジャー!」」」」「…ジャー」

 うーん、いつ見てもえのき…ムーヴグリーンのやる気が無い。もうちょっと……せめて前口上ぐらいちゃんとやって欲しいんだがなぁ……


「覚悟しろ!」

 五人の戦士が化け物に駆け寄る。

「ふん!我が力、見せてやろう!」

 化け物が禍々しいオーラを纏い、力を解放すると付近の地面が瞬時に凍る。

「うわ!?」

「何これぇ!?」

 突然のことに五人は尻餅をつく。

「ハッハッハァー!これでも喰らえ!」

 ……成る程、今回はアイスホッケーの化け物か。今回はどうだろうか。やっぱり、ピンチの時に颯爽と現れて正体を明かす……いや変身してから飛び出して、あいつは誰だ!と、ちょっと焦らすのもあり。そして私の仮面が割れて担任であると分かる………いや、これって私の好感度それなりに上げないとじゃん!

 まずい……教師、追加戦士としての筋トレその他、それに加えて生徒とのギャルゲー(男もいるため言い切れない)をしないといけないのか!?

 過労で…過労で白髪が増えちまう………


「ぐは!?」

「……ち!」

「きゃあ!!」

 おっと、妄想してたら既にピンチか。好感度は後で上げて、正体も後半で明かす感じでいくか!

 今日こそ私……いや、俺の出番が……

 

「うぅ…こうなったらぁ!」

 ムーヴホワイトがやけくそ気味に動くと、丁度化け物の後ろの膝にタックルする形になった。

「ぐわぁ!?」

 突然のことに崩れ落ちるアイスホッケーの化け物。

「あ!やったー!」

「効いてる!?皆、ホワイトがやったように行くぞ!」

 ムーヴレッドの掛け声に全員が頷くと武器を持ちながらタックルを始めた。

「おりゃ!」

 レッドは細剣(バドミントンラケット)。

「……っ!」

 グリーンは大剣(テニスラケット)。

「せい!」

 ブルーは盾(ビート板)。

「どっせー!」

 イエローは棍棒(バット)。

「てりゃー!」

 ホワイトは銃(……原理は知らん!)。

 すごい……あんなに苦戦していたのが嘘のようにダメージを与えている………

 でも……一つ言わせて欲しい………

「「相手の膝目掛けて身体を投げ出すのは反則だろおぉぉぉ!!!」」

 私と化け物の声が重なると、その言葉が断末魔となり化け物は爆発する。

「お手柄だな!ホワイト!」

「へっへ~ん!」

「喜んでないで、早く戻ろう。」

「そうね、野次馬が集まるわ。」

「…………だね。」


 …………また…加われなかった………………


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 作者でーす。

 この作品……見切り発車やで!


ー追伸ー

 この作品は作者が深夜テンションで執筆したものです。上のアホみたいな発言は戒めのために残すため、触っていません。

 著作権的にヤバそうだったら教えてください。

 続きを読みたいという場合も教えてください。

 お願いします。

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