第四章 渦中に佇む暴君

 現在の魔女たちの生活について話をしよう。

 昔から魔女は悪しき連中に命を狙われてきたが、最近ではそういう血生臭い噂をまったくと言っていいほど聞かなくなった。人々が魔女を忘れた今となっては、野心に飢えた少数の魔女くらいしか魔女狩りをせんからじゃ。生き残っている魔女のほとんどは、心臓に興味がないか、狙われるのを恐れて身を隠しておるかじゃろう。

 魔女狩りが行われなくなり、魔女たちもみな雲隠れした今となっては、魔女の姿を拝むのは稀有なこと。じゃから、わしがここ二百年の間で数回ほど、道端や街中を歩く魔女を見かけたのは非常に幸運じゃったと言えよう。注視せねばわからんほどにこっそりと魔法を使っているのを見ると、みなもうまいこと隠れておるなと感心させられる。

 身の危険を考えると関わるべきではないが、相手が悪者でないように感じたら、一期一会じゃと思ってつい声をかけてしまう。幸い、過去にそういう形で巡り合った魔女は、気さくで人柄が良い者ばかりじゃった。

 そして、近くの喫茶店に寄り、お茶でもしながらお互いの生活について語り合う。その時にほとんどの魔女から聞くのが、魔女たちを支配下に置く大魔女の存在じゃ。こやつは決して残忍というわけではないが、とにかく傲慢で横暴なやつらしい。そして、多くの魔女を支配しているあたり、力も相応にあると思われる。

 その魔女は、魔女狩りや人殺しはせんものの、己の欲望を満たすために支配下の魔女たちをこき使う。主に、是が非でも欲しいと思ったものを魔女たちに持ってくるよう命令するそうじゃ。力なき者はそやつの言葉に逆らえず、恐れた者はそやつのもとから離れて自由な生活を満喫しておるというわけじゃ。

 以前の出莉愛もなかなかに強欲じゃったが、力と危険思想を兼ね備えた魔女は、現状あやつのみじゃろう。わしは正義感が強いわけではないし、実害がないなら特にあやつと関わる気はない。誰かに成敗を頼まれたら考えるやもしれんが、今のところそういう頼みを受けることもない。そんなわけで、わしは出莉愛との一件を除けば、ここのところは平穏に過ごすことができておる。

 最近の悩みといえば、なこと出莉愛がたびたび喧嘩をすることくらいじゃのう。大抵は出莉愛から吹っかけておるんじゃがな。あやつはなこがわしにじゃれようとするたびに、無礼だとか言ってわしから引っ剥がしてしまうのじゃ。そうやって邪魔をされるから、なこは出莉愛のことを敵対視しがちになってしまっておる。

 そんな些細な問題を除けば、なこも出莉愛も良い子にしてくれておる。なこは人間の知識や常識をさらに覚えようとし、出莉愛はわしを見倣ってか魔法の研究に励むようになった。

 二千年ほど生き延びていたからか、出莉愛はなかなかに魔法の筋が良く、心さえ磨ければ一人前になるのもそう遠くないように思えた。得意な若返りの魔法のおかげで、一度も肉体を創り変えたことがないと聞いたときは、わしも驚いたもんじゃ。

 三人で過ごすようになってから、さらに一か月ほどが経った。蝉がわんわん鳴く蒸し暑い時期も過ぎ、紅葉が道端で踊る秋の季節が訪れた。

 秋は涼しくなるし、赤みを帯びたイチョウの木々を眺めていると心が落ち着くから、この季節は過ごしやすくて一番好きじゃ。そして何よりも忘れてならんのが、わしの大好物であるりんごの収穫時期にあるということじゃ。

 日本のりんごはなかなかに侮れん。生産量は中国がトップを占めているものの、中国内での品種のシェアは日本産のものがトップを占めておるのじゃ。そんな世界的にも評価されている絶品のりんごが、また新たに手に入れられる。考えただけでよだれが止まらなくなるのう。

 そういえば、駅近くにできたパン屋でも、アップルパイを焼いておった。あそこもまた上質なりんごを厳選して使っておるから、りんご通であるわしをも唸らせるほどにうまいのじゃ。

 平日は仕事で閉店までにどうしても間に合わんから、週末である今日のタイミングでそのことを思いだせたのはラッキーじゃ。昼になったところで、わしは出莉愛に留守を頼み、早速なこと一緒にそのパン屋へ向かった。

 しかし、店内に入ったところで、わしは魔女狩りを受けたときに次ぐほどの絶望を味わわされる。数多のパンがいつもどおり陳列されている中、よりにもよってアップルパイだけが品切れになっておったのじゃ。

 あまりにも悔しくて、わしは大人げなく売り子の少女に問い詰めた。すると、少女は申し訳なさそうにこう答えた。

「うちで取り寄せているりんごが突然品薄になって、発注先から出荷できないって断られてしまったんです」

「突然じゃと? 何か理由は聞いておらんか?」

「それがどうも、大勢の女性客が一斉にりんごを発注し、買い占めてしまったそうなんです。おかげでうち以外にも多くのかたが迷惑しているそうでして……」

 奇怪な話を聞き終えた後、わしは仕方なくいちごミルクパンを三個、なこが食べたいとねだったメロンパンを一個買い、店を出る。駅に寄ってベンチに座り、なこにメロンパンを先に与えると、わしは一人で考えに耽り始めた。

 どこぞの富豪が買い占めたならまだしも、大人数でやったとなれば話が違う。そして、それらがすべて女性となれば、この件に魔女が絡んでおることは想像に難くない。魔女はみながみなりんごが好きというわけではないから、魔女の一人がほかの魔女たちを従わせたと考えるのが妥当じゃろうな。

 じゃが、たとえそこまで推測できたとしても、その魔女がなぜこのような真似をするのか、動機だけがどうしてもわからん。こればかりは実際に聞きだすほかないじゃろう。わしとしても、大好物のりんごを独り占めされてすごく腹が立つからのう。

 考えがまとまるや否や、わしはメロンパンの端を味わって食べているなこに言った。

「なこ。突然じゃが、次の週末にお出かけするぞ」

 最後まで平らげて指をぺろぺろしながら、なこは首を傾げて尋ねる。

「どこに行くの?」

「おいしいりんごがたくさん育てられている所じゃ。遠くにある所じゃから、今回は電車だけでなく飛行機に乗るぞ」

「飛行機、初めて!」

 ぱたぱたと足を交互に振って喜ぶなこ。次は出莉愛に話をしようと、わしは上機嫌ななこの手を握りながらさっさと帰宅した。

 帰るや否や、出莉愛にいちごミルクパンを手渡すとともに、早速旅行の件を話してみる。すると、今もうきうきでいるなこと違い、出莉愛はびっしょりと冷や汗をかき、明らかに都合が悪そうな顔をして言った。

「あのう、そこに向かうのは止めたほうがいい気がするんですよねえ……。魔女が絡んでいるのでしたら、厄介事に巻きこまれるのは目に見えていますし……」

 わしが出莉愛の目をじっと見つめると、出莉愛ははにかんでごまかしながら、気まずそうにぷいとそっぽを向いた。どうやら、今回の件にあやつが絡んでいると出莉愛も勘づいているようじゃ。

 誘いを断りきれずに葛藤している出莉愛に対し、わしは毅然とした態度で言う。

「そうであろうと、今回の件はわしのみならず多くの者たちを巻きこんでおる。魔女の力に甘んじてこれほどまでのわがままを通すのは、さすがにわしとて看過できん。おぬしの悩みは大方想像がつくが、おぬしは今やわしの弟子でもあるじゃろう。わしがいる限り、おぬしにも好き勝手はさせんから安心せい」

 わしの説得を聞き、出莉愛は恐縮しながらようやくうなずいてくれた。


 翌週になり、会社に出勤して朝礼を終えたところで、わしは課長のところへ赴き、以前と同じように有休を申請する。どうやらそれが稔の耳にも届いたようで、昼休みになると稔が理由を尋ねてきた。稔はわしの教育を経てかなりましに働けるようになったが、今も変わらず交流を続けている。

 わしは隠すことなく、りんごを独り占めした魔女を見つけだすために東北の地へ向かうと打ち明けた。すると、稔は眦を決し、僕も協力させてほしいと願いでた。

 この前よりも危険じゃぞと引き留めたが、恩返しをしたいと言った稔の意志は依然として固い。その覚悟に免じ、わしは稔の同行を許可することにした。


 そして、旅行当日。快晴の空の下、わしら四人は空港での手続きを済ませて飛行機に乗り、敵地に向けて飛び立った。

 わしらも稔も、葛西町のデパートで会ったときと同じ服装で集合した。またしてもなこが「概念」Tシャツを脱ごうとせんかったので、なこだけに恥をかかせんよう、出莉愛にも「倫理」Tシャツを無理やり着せている。

 稔は別に便を予約しておったから、飛行機に乗っている間は別行動じゃ。わしらは三人で隣り合って席に座り、着陸するまでの一時間半をのんびりと過ごした。

 出莉愛は飛行機に乗り慣れておるのか、座席についてもなお平然としておる。一方、なこは窓から雲の上の景色を見てはしゃいだり、鼻を摘まんでふんふんしながら飛行機特有の耳炎と格闘したりしておった。しばらくしてなこがはしゃぎ疲れ、出莉愛もなこを叱り疲れ、終いには二人してぐっすり眠ってしまっていた。

 やがて、到着のアナウンスが機内に響く。飛行機が降下を始めたところで、わしは二人を揺すって起こし、着陸に備えさせた。なこがまたも必死にふんふんしている様子は、周りの乗客やキャビンアテンダントたちの柔らかな笑みを誘っていた。

 そんなこんなで、事故も起こることなく無事に滑走路へ着陸。わしらは乗客たちと一緒に飛行機を降り、廊下を渡って搭乗口へ向かった。

 まもなくして、すでに別の飛行機を降りていた稔が駆け足でこちらへやって来る。それを見て、わしは稔も無事と知り安堵した。もしかすると、フライト中にかの魔女から襲撃を受けるやもしれんと考えていたが、さすがにそこまで悪質なことはせんかったようじゃのう。

 ターンテーブルでおのおののスーツケースを受け取り、ロビーの玄関口から外に出る。まだ寝ぼけているなこの面倒を稔が見てくれている横で、わしは二人にも聞こえんようこっそりと出莉愛に耳打ちした。

「おぬしも気づいておるか、出莉愛?」

 出莉愛がこくりとうなずいて言う。

「ロビーから出た今も、六人ほどの魔女から見張られているようですね。おそらくはあの人のしもべたちなんでしょうけど。仕留めますか?」

 わしは首を横に振って答えた。

「あれだけ大勢の人がいる中で誰かが倒れたりしてみろ、すぐ大騒ぎになるわい。向こうとて面倒事を起こす気はないじゃろうから、いったんは無視してもよかろう。もしあやつが仕かけてきたとしても応じれるよう、わしらも早いとこ移動を済ませたほうがいいかもしれん」

 出莉愛の返事を聞いたところで、わしと出莉愛は立ち話を止め、四人での移動を始めた。バスや電車を乗り継いでいき、二時間ほどかけて目的地に到着する。

 わしらが訪れたのは、りんごを専門としたレジャー施設じゃ。農業体験やりんごにまつわる資料の展覧を行う一方で、実際にりんごの栽培にも力を入れておる。ほかにもレストランや土産屋、バーベキュー場に公園まであり、学びと娯楽を両立させたすてきな所じゃ。

 それだけでなく、ここでは板張りのコテージに宿泊することもできる。談話室まで備わったコテージで満足にくつろげるほか、隣に建てられた大浴場でゆったりと骨休めすることもでき、贅沢この上ない。

 最初に案内所でチェックインを済ませ、寄り道せずにまっすぐコテージへ向かう。おのおのの荷物を寝室に置き、なこだけふかふかのベッドに寝かしつけると、わしらは談話室に集まって作戦会議を始めた。

「さて。パン屋の少女が言うには、ここで栽培されているりんごがすべて買い占められてしまっておるそうじゃ。ここに滞在している三日間のうちに、わしらはその犯人を見つけださねばならん」

「何か、具体的な策はあるんでしょうか?」

 身を乗りだして尋ねる稔に対し、わしは首を捻りながら答える。

「今は手がかりがないから、手探りしていくほかないのう。犯人がとある魔女であることだけは勘づいておるんじゃが……のう、出莉愛?」

 そう話を振ると、出莉愛は前みたくばつの悪い顔を浮かべながらも、そのとおりですとばかりにうなずいた。

「あやつがどこにおるか、おぬしに心当たりはないか?」

 わしが問うと、出莉愛は肩を竦めながら首を振った。

「あの人は居を構えない人ですので、私にも行方はわからないです。やはり、しもべの一人を見つけだして問い詰めるのが合理的かなと」

 なかなか解決の糸口を見いだせず、わしは大きく唸り声を上げる。考えに耽ってばかりいるのも仕方ないので、わしは談話室に稔と出莉愛を残し、気分転換も兼ねて外に出た。

 大きく伸びをしながら辺りを見渡すと、ここの目玉であるりんご農園が目に映った。ここでは世界各国のりんごを栽培しているとのことで、夕日にも劣らんほどの赤い光沢を放つりんごの木々が一面に広がっているらしい。じゃが、今はりんごがすべてもぎ取られてしまい、何とも殺風景な農園に様変わりしておる。

 ふと、わしは一つの策を思いついた。りんごの木々の中に、魔女を見かけた者はいないかと考えたのじゃ。もし農園の辺りを魔女がうろついていたならば、りんごの木々から情報を教えてもらえるやもしれん。

 どうやってりんごの木々に教えてもらうかというと、大して難しいことはせん。魔法でりんごの木々と心を通わせ、彼らの話を聞き取るだけじゃ。魔女の間では軽視されがちな魔法じゃが、わしはこの魔法を重宝しておる。生きとし生ける者たちの中には、わしより長寿で博識な者もおるからのう。

 思い立つや否や、わしは早速詠唱を始めた。胸中で魔女を見かけていないか教えてほしいと強く願い、その想いを魔法に乗せ、りんごの木々一本一本に送り届ける。

 すると、強風に吹かれるでもなく、りんごの木々がざわざわと枝葉を揺らし、わしの呼びかけに応じ始めた。わしの胸に届いてきたのは、やはり彼らの寂しげな声じゃった。

「きれいな魔女さん。私たちの大切なりんごが悪い魔女に独り占めされたって、通り風が教えてくれました。そのせいで多くの者たちが悲しんでいると聞き、私たちも胸が痛む思いです」

「何か、その悪い魔女が辺りをうろついたりしておらんかったか、心当たりはないかのう?」

「そうですね……。少し前の夜遅くに、黒いローブを着た白い髪の女性が突然現れ、鷹のように鋭い目つきで私たちをじっと見つめてきたのを覚えています。あれが悪い魔女ならば、あの時から私たちのりんごは狙われていたのかもしれません」

「その魔女がどこに去っていったかまではわかるか?」

「お役に立てなくてごめんなさい。あの魔女は現れるのも消えるのも一瞬だったので、どこに行ったかまではわからないんです」

「そうか……教えてくれてありがとうのう」

 りんごの木々がまたひとりでに枝葉を揺らし、わしに別れを告げる。わしが魔法を打ち消すと、彼らの声ははたりと聞こえなくなった。

 やはりこの辺りに姿を見せていたかと思いつつ、わしは腕組みをしながらまた黙考する。その辺の小鳥たちにも訊いてみようと考えついたが、小鳥たちが同じ場所に長く滞在するとは限らん。実際に魔女を見かけた小鳥を捜しだすのは難しいと思い直し、すぐに断念した。

 ほかにまともな策ないか――そう考え始めたときじゃった。ふと、三角巾とエプロンを身に着けた女が、コテージのほうに向かっていくのが見えたのじゃ。

 一つ結びにしたその髪は、遠くからでもわかるほどに純白。それを見たわしは息を呑み、目の色を変えて女のもとへ駆けだした。

 玄関から姿を見せた稔に対し、女は手にしている紙コップを差しだす。サービスで現地のりんごジュースを配っておりますと、女は屈託のない笑顔で語っておる。

 稔が紙コップを受け取り、促されるがままに飲もうとした寸前。わしは魔法で稔の手を跳ね上げ、紙コップを遠くへ弾き飛ばした。中に入っていたりんごジュースも飛び散り、地面に一滴残らずこぼれ落ちた。

 警戒を緩めることなく、わしは女の背後から指を突きつける。すると、女はまったく怖気づくことなく、不敵な笑みを浮かべながら振り向いた。不気味なことに、わしの姿を見てどこかうれしそうな素振りすら見せた。

 わけがわからず立ち尽くす稔の腕を、遅れて玄関から現れた出莉愛が引っ張って避難させる。その気配に気づき、女はわしのほうを見つめたまま、後ろにいる出莉愛に話しかけた。

「おや、久しいじゃないか、メーデイア。叔母の私には長い間顔を見せなかったのに、アグラオニケには付き従っているんだな?」

 女を畏怖するあまり、出莉愛は足をぶるぶると震わせる。柄にもないが、出莉愛ではこの女に敵わんから無理もない。わしは女への警戒心をそのままに、語気を強めて言った。

「まさかここまで勝手な真似をするとは思わんかったぞ、キルケー。わしらに一体何の用じゃ」

 女――キルケーは、ふてぶてしくもにっこりと笑いながら答えた。

「そう怒らなくてもいいだろう、アグラオニケ。私はお前たちにここのおいしいりんごをもてなして、親睦を深めたかっただけだ」

 わしは馬鹿馬鹿しいとばかりに鼻で笑う。

「ぬかせ。おぬしが今持ってきたりんごジュースは毒入りじゃ。わしの目はごまかせんぞ」

 キルケーが嘘で塗り固められた笑顔を止め、つまらなさそうに舌打ちをする。稔はようやく九死に一生を得ていたことを理解し、出莉愛と一緒にキルケーから後退りした。

 この危険極まりない魔女と長話するつもりもなかったから、わしは単刀直入に切りだした。

「おぬしの悪評は世界中に広まっておるぞ。その力と傲慢さで多くの魔女を従わせておることもな。ここのりんごを独占したのもおぬしであることは明白じゃ」

「だからどうした?」

 すっかり開き直って喧嘩腰で問うキルケーに対し、わしは一切怯むことなく命令する。

「おぬしが威張り散らしておるのは知ったことではないが、罪のない人間や魔女までをも巻きこんでおるのは見すごせん。おぬしが独り占めしたりんごを返し、今後二度とこのような真似をせんと誓え」

 傲慢であるがゆえに、キルケーはわしに命令されてげらげらと高笑いをし始めた。

「この私に指図できる魔女といえば、確かにお前くらいしかいないだろうな。だが無論、お前の指図には従わないぞ。私がなぜりんごを我が物にしたか、知りたいか?」

 突然そのようなことを言われ、知るはずもないわしは返答に窮した。キルケーが残忍な目つきでわしを睨みつけながら答える。

「私もまた、お前の強大な力を噂で耳にしていたからだ。私は私と同等以上の力を持つ存在を許さない。他者に牙を剥こうとしないふぬけのお前を引きずりだすために、お前の好物を独占したというわけさ」

 思いがけず真相を知り、わしは唖然とした。キルケーが垂らしたりんごの釣り針にまんまと引っかかったことも理解し、悔しくなって少しだけ唇を噛んでしまう。

 じゃが、ここで向きになってはこやつの思う壺じゃ。わしとこやつが衝突なんぞしてしまえば、少なくともここら一帯が軽く消し飛ぶじゃろう。かといって、決闘を拒もうものならこやつが何をしでかすかわからん。それらを考慮したうえで、穏便に決闘を済ませる方法を考えることにした。

「よかろう、ならば受けて立とう」

 思いつくや否や、わしは敵意を剥きだしにしているキルケーに歩み寄った。

 ひしひしと肌身に感じるやつの殺気が、雨あられと放たれる矢のようじゃ。稔と出莉愛のみならず、先ほど話した農園の木々、さらに辺りの草花たちまでもが、やつの気迫に呑まれて竦み上がっておる。

 キルケーのすぐそばまで来ると、わしはポケットに入れていたスマートフォンを取りだして叫んだ。

「じゃーんけーんぽん!」

 同時に、スマートフォンのライトをキルケーの目の前で点灯させる。キルケーは目が眩み、右手を広げて光を遮った。

 それを見越し、わしはスマートフォンを持っていない手でチョキを繰りだしていた。よってわしの勝ちじゃ。稔も出莉愛もさすがに呆れ、キルケーは「ふざけるな!」と怒鳴り飛びかかってきた。それをひらりひらりとかわしながら、わしは言う。

「諦めろ、キルケー。わしはおぬしと張り合う気なんぞないし、喧嘩や殺し合いといった野蛮な真似をするつもりもない。不毛だからじゃ。わかったら、大人しく買い占めたりんごを返品せい。そして二度とこのような真似をするな。まさか、この程度の話も聞きわけられないおぬしではあるまい?」

 キルケーは明らかに納得せず憤慨していたが、これ以上手を出すことはせんかった。ここで喚いてもみっともないだけだと察したのかもしれん。稔と出莉愛をコテージの中に引き連れると、わしは最後にキルケーを鋭く睨んで告げた。

「一つ心しておけ。わしに噛みつくならともかく、稔たちに手を上げるような真似をしたら、わしとておぬしを許さんからな」

 歯軋りしながら負けじと睨み返してくるあたり、キルケーに聞き入れる気は微塵もないらしい。わしは返事を聞くこともせずに、キルケーから目を離して玄関の扉を閉めた。


 コテージに戻ってからしばらくの間、わしらはキルケーへの警戒を怠らずにいた。しかし、キルケーが姿を見せることのないまま、ついには日が暮れてしまう。ほどなくしてなこが目を覚ましたので、いったんキルケーのことは忘れて休暇を楽しむことにした。

 まずは大浴場へ向かい、女三人で肩を並べながら羽休め。次にレストランへ向かい、名物のりんごカレーなるものをみなで賞味。その間もキルケーに注意を払い続けていたが、結局やつは現れずじまいじゃった。

 コテージに戻り、談話室で大富豪を遊んでいるときですらも、やつは一向に動きを見せない。なこがうとうとして手札を取り落とし始めたのをきっかけに、わしらは歯磨きを済ませ、明かりを消してベッドに入ることにした。

 なこのいびきとほか二人の寝息が寝室に響く中、わしは今一度キルケーの気配を探ってみる。しかし、結果はやはり変わらない。

 第一、あれほどまでにふつふつと殺気立っていたならば、気をつけずともまたやつが現れたときに気配くらいは感じ取れるじゃろう。いちいち身構える必要はないと思い、わしも眠りにつくことにした。

 夢の中で、わしは見渡す限りの野原を駆け回った。りんごの飾り切りでできたうさぎがおったから、無我夢中に追いかけていたのじゃ。

 しかし突然、澄みきった青空が血のように淀み始める。追いかけていたりんごのうさぎたちも萎びて砂になり、辺りの草花も瞬く間に枯れてしまう。それらの異変が現実から生じるものと気づき、わしは夢から覚めて勢いよく身を起こした。

 窓を覗いてみると、外はまだ暗いままじゃった。しかしながら、寝る前からうるさかったいびきが、今はまったく聞こえてこない。ほかのベッドを見てみると、なこだけが忽然と姿を消していることに気づいた。

 不吉な予感がする。今思えば、気をつけずともやつの気配くらいは感じ取れるなどと楽観したのは、あまりにも浅はかじゃった。キルケーが仕かけてくるとするなら、夜襲が一番ありうるというのに。

 まだ眠っている稔たちに構わず寝室を飛びだしたが、談話室にもなこの姿は見当たらない。しかしながら、玄関の扉が半開きになっていたので、わしは勢いのまま扉に体当たりして外に出た。

 すると、視線の先にはまさに警戒せねばならん人物がいた。変装を止め、魔女の黒いローブを着たキルケーが、不気味にうごめく得体の知れないものを見つめながら立っておる。

 キルケーはわしがやって来たことに気づき、相変わらず不敵に笑うばかりじゃ。そしてもう一方はというと、今まで見たこともない造形をしている生き物じゃった。

 一言で言い表すならばキメラじゃろうか。頭は豚で、胴は犬、背中にカラスの翼と、何とも醜い姿をしておる。そして、わしに縋るような目を向けながらひんひんと必死に鳴き続けていた。

 キメラのすぐそばに落ちている物を目にし、わしは思わず息を呑む。落ちていたのは、「概念」Tシャツを含む、なこがずっと身に着けていた衣服一式じゃった。なこがこの魔女によって醜い姿に変身させられたのじゃと、わしは瞬時に理解する。

 その直後。わしの視界一面が、突然宙に浮く無数の剣で埋め尽くされた。キルケーの魔法によるものと見て間違いない。わしの血走った目でも見て、今ならわしが決闘に応じると判断したんじゃろう。

 キルケーが両手を広げてわしに向けると、無数の剣が一斉にわしへ狙いを定めた。逃げ場のないわしに対し、キルケーはなおもふてぶてしく笑いながら言う。

「この私を倒してみせたら、愛しの女子を元に戻してやろう。一騎打ちといこうじゃないか、アグラオニケ。世界有数の大魔女と言われたお前の力をことごとく凌駕し、私のほうが格上であると今こそ証明してやる。死ね、アグラオニケ!」

 キルケーが両手で握り拳を固めた瞬間、わしに先端を向けていた無数の剣が次々に襲いかかってきた。その一方で、わしはその場を動けずに立ち尽くしてしまう。恐怖で竦み上がったのではなく、非道極まりないキルケーへの怒りで我を忘れていたからじゃ。

 剣がわしの体中に突き刺さり、鮮血が迸る光景を期待していたのかもしれん。その想像を打ち破るように、剣が硬いものにぶつかる音が絶え間なく響き渡り、キルケーは息を呑んだ。力をなくして地面に転がる剣の山に埋もれながら、わしは傷一つついていない魔法のバリアーを打ち消した。

 目を閉じて一つ深呼吸しながら、わしはついに決心する。この魔女を殺す。やつが他者を巻きこんでまで延々と挑発を繰り返すのならば、もはや力をもってわからせるしかあるまい。

 農園の木々を含む、寝静まっていた生き物たちを魔法で呼び起こし、わしは手短に語りかけた。

「夜遅くにすまん。今からさらにうるさくしてしまうことを、どうか許してほしい」

 返事とともに、生き物たちがざわざわと身を揺する。大丈夫とのことじゃった。わしは遠慮するのを止め、まぶたを開いてキルケーの目を捉えた。

 キルケーが焦りを見せながら身構える。とめどなく湧きでるわしの殺気に勘づいたようじゃ。やつの瞳に映るわしは、般若のごとく顔が歪み、燃え盛る炎のように髪が逆立っていたのかもしれん。たとえ本当に鬼になろうとも、なこを救いだすためならば本望じゃと思った。

 キルケーが右手を突きつけ、宙に浮く剣を何本も生みだし、わしに目がけて放つ。わしはそれらを睨みつけ、詠唱せずに念力のみで消しつぶした。

 キルケーが動揺した一瞬の隙を見逃さない。やつがまた魔法を撃ちこむより早く、わしはキルケーの首元に指を突きつけ、詠唱を終える。

 途端、キルケーがはたりと詠唱を止め、首を押さえ始めた。やつの首は不自然なほどに膨れ上がり、口からはぼたぼたと水をこぼしておる。

 やつの首を圧迫する水の塊は、無論わしが生みだしたものじゃ。口を封じてしまえば、魔女は詠唱することができなくなるからのう。

 とはいえ、詠唱せずとも簡単な魔法なら使えるから、わしは次の攻撃に備えた。しかし、キルケーは一向に魔法を放たない。見てみると、キルケーは蒼白になって怯え始めているようじゃった。

 わしと力の差がかけ離れているとは思えん。あるとすれば、わしの気迫に押されたのじゃろう。湧き続ける怒りと殺意が荒れ狂う嵐となり、やつを呑みこみ跡形もなく葬り去らんと昂っておる。

 右の五本指を曲げてキルケーに向け、わしは魔法を放つ。魔法の光は立ち竦んでいるキルケーの五体に命中した。わしの指先とキルケーの五体が魔法でつながったところで、わしは躊躇なく握り拳を固め、キルケーを潰しにかかった。

 四肢を関節のとおりに曲げることも、激痛で叫ぶことも許さん。たとえ今になって命乞いをしたとしても意に介さん。やつの体がぐしゃぐしゃになるか、首を圧迫されたまま窒息死するか、どちらが先になるじゃろうな?

 何度か骨の砕ける音が響いたころには、キルケーは痛みで暴れ回ることすら止め、瞳も濁り生気を失っていた。今になって自分のしでかしたことを悔やみ始めたようじゃが、知ったことではない。なこを元の姿に戻すのにも、もう貴様の力を借りることはない。そのまま後悔し続けながら死ね。

「仁希さん!」

 もう一息でごみの塊になりそうなところで、わしは不意に、叫び声とともに後ろから押し倒された。それによって魔法が解け、キルケーは卍の形になったまま地べたに倒れて転がる。

 殺気立った目をそのままに振り向くと、わしの魔法を止めたのは稔じゃった。出莉愛もいつの間にか、少し離れたところから見守っておる。どうやら、わしの憎悪が稔たちにも行き届き、恐怖で目覚めさせてしまったようじゃ。

 わしは怒りが収まらず、引き続きキルケーの息の根を止めようとした。しかし、稔はわしの腰にしがみついたまま離そうとせん。

 もう一度振り向くと、稔の潤んだ目がわしの目に飛びこんだ。これほどまでに稔を悲しませていたと知り、わしの胸中で荒れていた憤怒が罪悪感によって徐々に鎮火していくのを感じた。

 落ち着きを取り戻したと知るなり、稔がわしを解放してくれる。わしは壊れる寸前のキルケーに指を突きつけ、魔法をかけた。首を圧迫していた水の塊を打ち消し、明後日の方向にひん曲がっていた四肢をごきりと元の位置に戻してやる。キルケーは地べたでくたばったままげほげほと咳きこみ、赤黒く濁った水を吐き散らした。

 このまま見逃してやってもよかったが、できるならキルケーになこへの魔法を解除してもらおうと考えた。わしにもできないことはないかもしれんが、魔法が複雑すぎるがゆえに、解読するにはかなりの時間を要する。変身の魔法は、この大魔女キルケーの専売特許なのじゃ。

 すでにキルケーも戦意を失っていたし、少しばかり脅しつければ従ってくれるじゃろう。そう考えた矢先、稔が突然キルケーのほうへ歩み寄った。わしは稔を引き留めたが、稔は首を振って断り、キルケーの前で膝を突いて語りかけた。

「キルケーさん。僕はあなたが死ぬのを望んでいないし、仁希さんが人殺しになるのを望んでいない。穏便に喧嘩を終わらせるためにも、なこちゃんを元の姿に戻してくれませんか?」

 稔のお願いに、わしもキルケーも唖然としてしまう。些細なきっかけでわしがまたキルケーを殺しかねんと危惧してのものかもしれん。ずいぶんとお人好しじゃと思ったが、純真で心優しい稔だからこその選択なんじゃろうな。

 稔に弱々しくうなずくと、キルケーは腕を引きずりながらなこに指を突きつけ、魔法の解除を始めた。キメラから猫、そして猫又へと、なこの姿が瞬く間に変わっていく。魔法陣を敷かずしてここまで高度に変身の魔法を扱えるのは、さすがと言うほかない。

 キメラにされて服が脱げたから、わしはなこが裸であることに今更気づく。しかし、その時には出莉愛が稔を魔法で強引に引き寄せ、両手で目を覆い隠していた。

 ほどなくして、気を失っていたなこが目を覚ます。わしがなこに駆け寄って片膝を突くと、なこは恐怖から解放されてか、わんわんと泣き喚きながらわしに飛びついた。

「なこ、怖かった。魔法をかけられたのもだけど、いつもの優しいにけじゃなくなるのが怖かった。にけ、あの人を殺さないでくれてよかった」

 かわいい顔を涙でぐしゃぐしゃにするなこを、わしはこれ以上不安にさせまいと抱きしめる。

「すまんかったのう、なこ。稔がいなければ手遅れじゃったかもしれん。もう、おぬしらを悲しませるようなことはせんと誓うからの」

 突然、なこがくっつくのを止め、遠くで目を覆われたまま大人しくしている稔のほうを向いた。そして、柄にもなくしおらしい顔をしながら言う。

「うん、みのるのおかげ。みのるがにけを助けてくれた。死ぬかもしれなかったのに。みのる、かっこよかった」

 わしは思わず、間抜けみたく口をぽかんと開けてしまった。なこ自身は、今の稔に対する感情を理解できんのかもしれんが、はたから見ればそういうことじゃと言わざるをえんのう。

 キルケーがもぞもぞと動き始めたので、わしはすぐさまキルケーを注視する。キルケーは魔法の箒を出現させ、壊れかけた体で必死にまたがろうとしていた。

 りんごの件がまだじゃったから、念を入れて脅しつけようか悩んだが、それも稔たちは望んでおらんじゃろう。代わりに、ぼろぼろになって動けずにいるキルケーを、せめてもの慈悲で魔法をかけて浮き上がらせ、魔法の箒に乗せてやった。

 キルケーが唇を噛み、悔しそうな表情を見せる。それでも負けを素直に認めたのか、これ以上わしに歯向かうようなことはせんかった。

 次に、キルケーは意外なことに、稔に向かって頭を下げ始めた。命を救ってもらったことへの感謝のつもりなのか。わしがまたも呆気に取られている間に、キルケーは魔法の箒でふわふわと宙に浮いていき、暗夜に溶けこんでいった。

 農園のほうから、ざわざわと枝葉を揺らす音が聞こえてくる。キルケーをやっつけてくれてありがとうと、りんごの木々が感謝を述べておるようじゃ。そして、わしが人殺しにならなくてよかったと安堵もしていた。

 手を振ってこちらからも感謝を告げると、わしはなこが着替えるのを手伝い、稔と出莉愛も呼んでコテージへ戻っていった。


 キルケーが撤退したその日のうちに、しもべたちの手によってりんごが返品されたらしい。翌朝には、施設のスタッフたちが大量のりんごを運んでいる様子が窺えた。これで、うちの近所にあるパン屋も含め、みながりんご不足に悩まされることはなくなるじゃろう。

 一日目にして目的を成し遂げたので、わしらは二日目を娯楽に費やした。りんごの資料室を見学したり、バーベキューで腹を満たしたり、また大浴場に漬かって汗を流したりと、充実した一日を過ごした。

 あっという間に夜が明け、三日目の朝。まだチェックアウトには早い時間に、突如として玄関の扉をノックする音が鳴り響いた。

 騒々しいのが我慢ならず、同じくして起こされた出莉愛と一緒に、目を擦りながら扉を開ける。すると、ほかでもないキルケーが、またもエプロンと三角巾を着けた格好で立っていた。しもべたちに治癒してもらったのか、どうやら体はすっかり完治したらしい。

 出莉愛は怯えて身じろいだが、見るからに今のキルケーはわしらを襲う気がない様子。呆然としているわしに、キルケーは真剣な眼差しになって言った。

「稔――いや、稔さまはまだここにおられるか? 稔さまのしもべにしてほしいと申し出に来たんだが……」

 まさかプライドの塊みたいなやつがそんなことを言いだすとは思わず、わしも出莉愛も呆れてものが言えなくなってしまう。

 キルケーを招き入れるか悩んでいたところ、キルケーが急に土下座をしながら叫び始めた。

「まさか、まだ稔さまを匿っているのか? だとしたらこのとおりだ! もうお前たちや稔さまに手を上げるような真似はしない!」

 大魔女の情けない姿を目の当たりにし、姪でもある出莉愛はショックのあまり立ち眩みしてしまう。喚くキルケーをしーっと黙らせながら、わしは仕方なしに答える。

「稔はまだ、なこと一緒に寝室で寝ているんじゃよ。起きたら話をさせてやるから、ひとまずは引き返してくれ」

 しかし、キルケーはわしの要求を聞き入れようとせんかった。

「いや、ここで帰ったら稔さまが起きられたときにすぐお話しできないだろう。私は談話室で稔さまのお目覚めを待たせてもらうぞ」

「おぬしが勝手に決めることではないわ!」

 キルケーが無理にでも上がりこもうとしてきたので、わしはキルケーを外へ押し出し、手早く玄関の扉を閉めて施錠する。しかし、安堵しながら振り返ったときには、キルケーは何食わぬ顔で談話室のソファに居座っていた。

 咄嗟に瞬間移動の魔法を思いついて実行するのは、さすが大魔女と言ったところか。てこでも動かなさそうじゃったから、わしは面倒になってキルケーの説得を諦めた。

「今のなこたちをキルケー叔母さんに見せるのはまずいかもしれません……」

 不意に、出莉愛がキルケーの目を盗んでわしに耳打ちする。わしがなぜじゃと理由を問うと、出莉愛はわしを連れて玄関から外へ出て、寝室が見える窓のほうへ回りこんだ。

 出莉愛に促されるまま、窓から中を覗きこんでみる。なるほど確かに、これがキルケーに見つかったらまた面倒なことになるかもしれん。

 なこはまだベッドで眠っておった。そして、寝相悪く布団を剥いで丸くなりながら、同じくして寝ている稔の手に尻尾をくるりと巻きつけておった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る