平安女子の✨春の✨短歌

カワセミ

第1話

春立てる日、ある人、庭の池の水すくふに、よみける


袖ひちて むすびし水に かはづで く聞こゆるは うぐひすの声


 ◇


「#$%&¥~っ!!」


「お、お、どうした? そんな慌てて」

「カエル~!!」

「えー、カエル、可愛いのにねえ」


「――どうしたの? そなた達。何か声がしたようだけれど」

「……いえ、――気の早いウグイスが、一足早く春を告げに来たようですわ」

「ふふふ、そう。あまりはしゃぎ過ぎぬようにね」


「やっぱり、もう氷溶けたみたいだね」

「……ケキョ」


 ◇


――――

春立てる日:立春

ひち(ひつ):ひたす

掬ぶ:両手のひらを合わせて水などをすくう、「結ぶ」の掛詞

疾く:すぐに、早速、急いで、「解く」の掛詞、「結ぶ」の縁語

本歌:袖ひちてむすひし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

●袖を浸してすくった、いつかの日の水が、冬の間は凍ってたけど、立春になった今日は風が温んで溶けたんだなぁ

(古今和歌集 春上 紀貫之)



✽この時代、春は立春(大晦日の翌日)からなので、現代とはちょっとイメージ違いますよね

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