そして今に至る
チサを恨む女たちからはなんとか逃れたようだけど、初犯だから執行猶予が付いたものの実刑になったのか。
「そういうこと。執行猶予は終わったけど前科者になっちゃった」
明るく言うな。
「でもさぁ、さすがにこの時は反省した。こんな事をいつまでやってるんだってね。信じてもらえないかもしれないけど本気で更生ってのに取り組んだ」
そんなもの信じないわけないだろうが。だから今のチサがある。
「そこまで立派な更生じゃないよ。それでも無暗やたらに男が欲しくなるのは克服できたかな。でもさぁ、チサには背負ってるのもが多すぎた。だって食べていかないといけないでしょ」
だから正業に就いて、
「就けるものか。チサは大学こそ卒業してるけど、結婚したのは早かったし、そこからは専業主婦じゃない。離婚した後だってやったのは性奴隷と売春婦とせいぜい調教師だけだもの。チサなら中途採用になるけど、あれってそれまでの職歴で身に着けたスキルを評価されてのものじゃないか」
そうなるよな。
「それでもコンビニとかスーパーのパートみたいなのはありそうだけど、前科者にもなってるから誰が雇ってくれるものか」
社会の現実は厳しいな。でもチサはダックスだって買ってるじゃないか。あれって小型のAT免許を取るところから始めたらしいから、乗り出すまでにモロモロ含めて七十万円ぐらいは必要のはず。
それにボクと何度か夜の会食に付き合ってくれたけど、原則は割り勘主義だった。チサはそれだけの収入を得るところまで更生してるはず。
「残念でした」
まさかまた売春に手を染めたているとか、
「あれって淫乱男狂いから醒めたら、どうしてあそこまで男が欲しかったのかわからなくなったのよ。逮捕されてからは誰ともやってない。お願いだからそれだけは信じて」
もちろん信じるけど、
「もし次があるとしたら、チサが愛して抱いて欲しいと心から願う男だけにしたかった。贅沢過ぎる願いだけどね」
どこが贅沢なものか。当たり前すぎる話じゃないか。でさぁ、今は何してるんだよ。
「チサが教え込まれたスキルの活用よ。そう男を喜ばせるテクニック」
えっと、えっと、
「ホテトル嬢よ」
えっ、それって男を搾る仕事。
「使ったことがあるんだ」
いや、ああいうところは、えっと、その・・・
「わかるよ。離婚してるし、どうもコウキにはセフレもいないみたいだから出しに行ってるのでしょ。コウキだって男だものね」
面目ない。でもああいうところは、
「本番無しのところだよ。そこだけは信じて欲しいな」
もちろん信じる。それでも、
「後ろもなしよ。ついでに言えば上も無し。そういう意味ではお上品かな」
それって、M専科ってやつか。
「良く知ってるね。コウキってそういう趣味だったんだ。だけど惜しいけどハズレ。裸になってマッサージをして、最後に搾ってスッキリのホテトルよ。マッサージも得意になったからやってあげようか」
M趣味はないけどマッサージならして欲しいかな。どうも肩が凝りやすくなってるし。
「だからダックスだってチサが男を搾り取ったもので出来ているようなものよ」
チサは黒歴史を吐き出してすっきりしたのか、
「コウキが望むのならなんでも応じられるよ。さすがに一人だからレズプレイは無理だけどオナニープレイなら見せられる。ちゃんと最後まで果てるよ。一度で満足できないなら望む限り何度でも」
どうしてチサにレズプレイをさせたり、ましてやオナニープレイをさせなきゃならないんだよ。そんなもの見たくもない。
「そっち系は好きじゃないのか。だったら縛りはどう。ロープで縛るのはあれで難しいから拘束具がお手軽かな。身動きを取れなくしておいてのオモチャ責めだって喜んで受ける」
あの、えっと、
「前と後ろにバイブを突っ込んで、トドメで電マは何回やられても強烈だし慣れるものじゃないから、チサが悶え喜ぶ姿を楽しんでもらえるよ。でも悪いけどかさばるから持って来てないの。バイクだからね。コウキは持って来てくれてる?」
どうしてそんな道具をわざわざ持ってくるって言うんだよ。そもそも持ってないし、あったって使う気なんかあるものか。ボクがそんな変態に見えるって言うのか。
「人は見た目によらないのは良く知ってるからね。そっち系も趣味がないのなら基本はノーマルね。ノーマルも色々あるけど、そうだそうだ、チサのどこに入れても良いからね」
どこって言われても、
「上と前と後ろよ。上と前はコウキでも知ってると思うけど」
うぅ、知ってないとは言えないけど、
「上ぐらいなら普通にやってるカップルは多いじゃない。それでも、飲むまでになるとちょっとだけディープかな。チサならしっかり味わって飲めるところも見せれるよ」
チサにそんなことをさせるわけがないだろうが。
「後ろはディープそうに思うだろうけど、入れたがる男は多いのよ。前と違った感覚らしいし、より完全にその女を征服した感覚が出るぐらいかな。コウキだってビデオで見たことぐらいあるでしょ」
な、ないとは言えないけど、よくあんなところに入るものだ。
「慣れよ慣れ。なんだって最初は大変だけど、数を経験すれば果てることだって出来るようになれるものよ。もっともさすがに受け入れられる女は少ないかな。売春やってる連中だって後ろはNGが多いもの」
そりゃそうだろ。あそこは入れるところじゃなく排泄に使うところだ。いくら商売でも受け入れられる女がいる方に驚くよ。
「チサならウェルカムだし、もう一人いれば前後からサンドウィッチで二本刺しだって出来るし、三人いれば上も使えるから三本刺しだってOKよ。チサはバイブより男の方が好きだから乱れまくるチサを楽しめるよ」
三本刺しって・・・今夜はボク一人なんだぞ。ていうかさ、チサの後ろをどうして使わないといけないんだよ。ボクってチサは欲しいけど使わせてもらうのは前だけだ。それだって、どれだけ畏れ多いことか。自分を誰だと思ってるんだよ。
「チサはコウキの知ってる昔のチサじゃない。そんな事だって当たり前のように出来る女に変えられてしまってる」
もういい。話さなくて良いから、
「チサの体を通り過ぎた男は多すぎた。冗談抜きで数えきれないぐらいだもの。そんな男たちにチサの体は穢され尽くし、そうよ、体の芯の芯まで腐ってる」
チサ・・・
「あははは。ここまで聞かされて抱きたい男なんていないよね。用を足すにしてもコウキなら汚れ切った公衆便所じゃなくて、もっと綺麗なところをいくらでも使えるもの。チサは誰もが嫌がる汚れた便器のなれの果てのような女」
ああ聞いちまった。ある程度は予想してたけど、ボクのチャチな予想を二段か三段ぐらい越えてるよ。さすがに辛いな。ここからどうしようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます