騎士団訓練場
魔物は氷塊を砕き立ち上がる
傷は付いている、しかし深くは無い
「流石に使わないとダメか」
このままでは倒せないと判断する
手元に氷の球体を作り出す
その氷の球体は冷気を発して周囲の気温を下げる
「本気で殺る」
冷気は周囲を囲み夢と魔物の姿は外部からは見えなくなる
それから1分にも満たない時間が過ぎる
冷気が消える
そこには無傷の夢と致命傷を受けた魔物が居た
大量の氷の杭で貫かれていた、頑丈な外殻は砕かれ串刺しになっている
身体が崩れ消滅していく
魔石と素材を落とす
「流石は3等級、本気でやらなきゃ相当時間かかってたかな。あの魔物は……まぁ良いや。魔石と素材を回収してさっさと帰ろう。守護隊に見つかったら面倒」
夢は守護隊の見回りにバレないように城壁内に戻り家に帰る
翌日朝
ゼラはやる事が無く家でボーとしていた
「まだショーの日はまだだし手品も今回は特に新しい物はやらないからなぁ。異能が全然治らない。数日は安静にしないとダメかぁ」
手品の練習をする
本番で失敗する訳には行かない
1時間ほどやって一通り完璧に行う
「ミスもなく大丈夫そう、小道具も特に問題無いし何しよう」
ボーと何をするか考える
何もしないのは暇
(一応確認しておこうかな。騎士団かな)
昨日の件で騎士団本部に向かう
道中は何も無く本部に着く
すると夢が丁度入口を通っていた
「……ゼラさん!?」
「夢も来てたんだ」
「は、はい昨日の事が気になって」
「僕も気になってね」
2人は騎士団本部に入る
そして騎士団長の居るであろう執務室に向かう
扉をノックする
「入っていいぞ」
中から声がする
扉を開いて中にはいる
「何用だ?」
「昨日の件で聞きたい事が」
「なんだ?」
「ダンジョンの主との不戦協定、他には条件は無いんですか?」
「あぁ、無い。ダンジョンにこちらから入れないからあちらが出てこなければ続きは出来ないが取り敢えずはダンジョンに入らなければいいそうだ」
ルナルールスはダンジョンの奥にいる
ダンジョンに入れない以上こちらから行く事は出来ない
「相手は強かったんですか? 正直不戦協定を結ぶより倒せるのなら倒した方が良いと思いましたが……犠牲は出ますが」
「あぁ強い。真髄に至ったあの魔物は2人で戦っても必ず勝てるとは言える相手では無かった」
「団長の攻撃は防御を無視出来る一撃だと聞きましたが」
「大半の敵に対してはな。奴もまた空間に干渉出来る力を得た」
「なっ」
「空間に干渉する力……」
「葉一の異能が無ければ初撃で殺されていた」
(そんな化け物か。攻略に参加しなくて良かった)
ゼラではあの一撃に反応出来たか分からない
出来なければ死ぬ
防衛の方に参加したのは運が良かったと言える
「それは僕も不戦協定を結ぶね。正直僕は真髄に至るってのが分かってないけど」
「天音さんが言ってましたが確かに本当によく分からないです」
「あれは実感しないと分からないからな。条件も複数あるとは聞くが実際何が理由で至るかは分からない」
「団長はどうやって至ったんですか?」
「私はかなり特殊なケースだ。同じ異能を持つ魔物と対峙し真髄を見てそれからその魔物に教わって異能を使い続けて限界を超えた」
同じ異能を持つ魔物と遭遇するのも結構珍しい
それもレイの場合は目の前で魔物の方が真髄に至りその姿を見ていたのが至れた理由として一番大きいと言える
「同じ異能を持つ魔物」
「偶然戦ってな」
「魔物に教わったと言うのは?」
「アルセス……恋歌達が遭遇した魔物が何かをしたらしいが暫くの間その同じ異能を持つ魔物の声が聞こえてな。それで色々と教わった」
「確かに特殊なケース……」
「参考には出来なそうな」
「真髄に至った時の事は他の奴の方が参考になる」
「成程、後で聞いてみるかな」
「もう聞きたい事は無いので失礼します!」
「進展があったら伝える」
「分かりました」
部屋を出る
(他となると恋歌さんは基地に居れば聞けるけど多分見回りしてる。浮塚さんは普段何してるか知らない。天音さんなら騎士団本部に普段から居るから探せば居そう)
「竜胆副団長なら居ますかね?」
「居ると思う。騎士団長と副団長は基本本部で仕事してるから、浮塚さんは何処にいるか全く分からない」
「確かに本部でも会いませんしそもそもあの時初めて見ました」
「僕も騎士団本部には余り出入りしないから直接見たのはあれが初めてかもしれない」
葉一は基本騎士団本部には居ない、呼ばれた時くらいしか来ない為騎士の中にも見た事が無い人は沢山居る
2人は天音を探す
近くに居た事務員に聞く
「竜胆副団長? 確か今は訓練場の方に居ますよ」
「分かった、有難う」
「お役に立てて良かったです」
「ありがとうございます」
2人は事務員に聞いた訓練場へ向かう
騎士達が訓練をしている場所
訓練場に近付くと騎士達の声が聞こえる
木刀がぶつかり合う音が響いている
「訓練場初めて来たけど広いな」
「多くの騎士が毎日鍛えている場所なので色々設備も整っていますよ」
「凄い金掛けてるね」
「そうですね」
「夢も使っている?」
「はい! 2日に1回くらいですが使っています。異能騎士用の設備もありますよ」
「へぇ、そうなんだ。それで天音さんは……広くて人多いから見つからないな」
「探すのは結構大変そうですね」
夢が設備や道具の説明をしながら訓練場を歩き天音を探す
「異能騎士の設備はあっちの部屋にあります」
「そっちに居るかな」
「かもしれませんね」
異能騎士用の設備がある部屋に行くと鎖を使っている天音を見つける
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます