第3話 疑念の始まり

夜の街を背に、吹雪は新たな標的へと向かう。彼女の心は前回の命令を受けて以来、疑念で揺れ動いていた。今回の標的は、過去に吹雪が信じていた価値観を根底から揺るがす存在だった。


その標的は、社会福祉に身を捧げ、貧しい人々を支援すると評判の人物。しかし、黒幕はその人物が裏で不正を働き、自分の権力を拡大していると告げた。証拠はなく、全ては黒幕の言葉だけが頼りだった。


公園での一時と子供たちの笑顔が、吹雪の心に残っていた。彼女はその標的が本当に罪を犯しているのか、自分の行動が正しいのかを、より一層深く考えるようになる。


目的地に近づくにつれ、吹雪はその人物の支援施設を訪れることに決める。変装をして施設の中に入り、そこで働く人々や支援を受ける人々の話を聞く。彼らの話からは、標的が本当に人々のために尽力している様子が伺えた。吹雪の心の中で、黒幕の言葉とこれらの証言が交錯する。


施設を後にし、標的の自宅へと向かう吹雪。しかし、彼女の足取りは重く、心は混乱していた。標的の家の前で、吹雪は立ち止まる。矢を放つ手が震え、初めての迷いが彼女を襲う。


その時、ふとしたことから標的の人物と対面してしまう。会話を交わす中で、吹雪はその人物の純粋な想いと、社会に対する強い責任感を感じ取る。彼女は黒幕の言葉が真実かどうかを問い直し、初めて任務を遂行することを躊躇する。


深夜、吹雪は公園のベンチに戻る。彼女は星空を見上げながら、自分が歩むべき道、そして真実を探求する旅を改めて決意する。吹雪の心に、新たな光が灯り始める。

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