Count 13 【究極の聖女】アンリミテッド 02

「間に合ったみたいね。要くんお久しぶり〜。安里ちゃんと仲直りできた?」

 そう言って転移してきたのは、白いドレスのおね……えっ、達磨さん?

「ノンノン、ここではタ・ツ・コって呼んで頂戴」

 は、はい分かりました!

 タツコさんは本名長伝寺達磨さん。長伝寺流空手の総帥長伝寺陽堂氏の次男、裏部隊【影】の隊長だ。しかしオレには母さんとパートナーを組む調停者バランサーのひとりという顔のほうをよく知っている。

 そうか、タツコさんが巫子芝を【きみなぐ!】に呼んだんですね。それなら巫子芝がここまでこれたのも……

「ノン。私はちょっとお手伝いしただけよ。あとは安里ちゃんが自分の力でここまで来たの。要くんを救いたい一心でね。と・に・か・く! こんないい子、絶対に手を離しちゃ駄目よ! 分かってるわよね?」

 はい、ありがとうございます。タツコさん……


「お節介ついでに、アンリミテッドのバージョンアップもさせてもらったわ。問題ないでしょ?」

 えっ、それじゃあ六番目の祠に行ったんですか? いつの間に。

「そうじゃなくて毛竹斎を土星王ステージに連れて行ったのよ。バラしたのは悪かったけど、急いだほうがいいって言われたから」

 誰に……ってあの人しかいないか。じゃあ月霊姫はクソオヤジの動きを掴んでいたということか? いや、むしろ利用した? ……えーい、今は考えてる場合じゃない! 目の前のことをひとつずつだ。


 巫子芝のステータスを確認する。

アンリミテッド Lv.66 (+6)

称号:究極の聖女アルティメットプリストレス

体力/688 (+128)

魔力/0

攻撃/66 (+16)

防御/56 (+12)

武器/白帝山羊のグローブ

加護/水・金・火・木・土・雷


 この【きみなぐ!】には隠しイベントがある。①5つの属性の加護を受け、②レベルが66に達したプレイヤーが、そのあと③月の魔方陣のダンジョンを訪れて毛竹斎の試練をクリアすれば、新たに雷属性の加護を得ることができる。それが究極アルティメットへの進化だ。それ以降のレベルは別枠でカウントされ、獲得経験値も20%から30%増しになる。

 しかしこのイベントは本来、一度【きみなぐ!】をクリアしたプレイヤーが2巡目にトゥルーエンディング見るためのコンプリートイベントだ。つまり巫子芝はアンリミテッドで【きみなぐ!】を2周したのと同じことだ。いや、究極進化したあとの経験値を見れば3周目に突入してるじゃないか! なんて無茶やってんだよ。頭がマッシュポテトにも程がある!

「あ〜ボク魔法とか昔からよく分からないんだよね。それに無茶って言われても、ボクにはコレしかないから……って、な何?」

 オレは照れ隠しに巫子芝の頭を撫でていた。ありがとうな。

「何やってんのよ。そこは抱きしめてキスするところでしょうが」

 ちょっ、タツコさん何ニヤニヤして見てるんですか! み、巫子芝も唇を尖らせて手をワキワキさせない!


 ……ああ、待機させてすまんなタイラント。次回はちゃんとバトルに突入するから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る