Another +1 Anri in wonderland " KIMINAGU" 16

 Jupiter stargate(木星王の門)



<アンリの技は申し分ないニャー。だからここでは別の力を見せてもらうニャー>

 えっ、別の力って? ミュイからの返事を聞く前に木星王が登場する。

<戦イハ数ダヨ。単純ニシテ明快ダ。抗ウ愚カサヲ身ヲ持ッテ知ルガヨイ>

 木星王は法服を纏った裁判官のような格好。右手に木槌ギャベル、左手に分厚い本を持っている。革盾の代わり?

 そして木星王は姿が一瞬ブレたあとに、分身して4人になった。これどういうコト?

<4人のうち本物はひとりだけニャー。正解しないと反撃を食らうニャー。この試練に勝てるかニャー?>


 ここに来てようやくゲームらしい展開が出てきたよ。間違い探しの4択クイズ?

 木星王A 木星王B 木星王C 木星王D

 向こうから先に攻撃はしてこないみたい。とりあえず殴るしかないか。じゃあ木星王Bで。ボクのパンチは革のほんで防御される。「ブブー」と不正解のブザーが鳴って4人の木星王がボクを取り囲んでゲラゲラ笑いながらギャベルを振り下ろしてくる。いやコントみたいだけどホントにきつい。体もだけど何よりボクの心が!


 む~、全然違いが分からない! よし、こうなったら勘に頼るしかない。向こうはボクの精神力とか忍耐力とか試したかったんだろうけど、そんなのは勝手な押しつけだ。それに乗る必要ある?

 何で勘? と思うかもしれないけど、戦場で生き残るためならそれも立派な技術だよ。しかもあそこでは正解は無いことも多いし。分かれ道の右を選んだら槍の壁、左を選んだら鉄球の転がる坂道とかね。


 いったん選択肢のAとDは捨てる。そこでBとCの2択になるんだけど、そこに自分の運を量る法則ルールを加える。今の状態がなぎか雄時か雌時か。

 なぎはニュートラルな状態。やりたいことが思った通りにできるけど平凡。

 雄時は調子が良いとき。強気で派手に行けるけど突然落とし穴にはまる。

 雌時は調子が悪いとき。弱気で裏目に出やすい。耐えて待つしかないとき。

 ここではBを選びたい気持ちだけど、雌時なので裏のDを選択。パンチが顔面にクリーンヒット! 「キンコン」と正解のチャイムが鳴る。よし、これでいける!


 そこからのボクは破竹の快進撃で7連勝!

<信じられないニャー! 癖を見破られないようにパターンも変えてるはずなのに>

 無駄骨だったね。ボクはそんなの最初から見てないんだから。

 こっちもパターンは変えている。毎回サイコロを振るようなものだから。実際に行動をサイコロを振って決める仲間もいたね。結局はなんでもいい。命を賭ける理由きっかけが欲しいだけなんだ。黒猫が横切ったから、雨が降ったからっていうのと同じ。サイコロのあいつは「やっぱりツイてねえ」なんて笑って死んでいったね……。


 そして最後は必殺技とっておき、掌を重ねての【谺透】っ! <ウオォォォン>と叫ぶ木星王の光は淡い緑色だった。手こずらせてくれたけど、終わってみれば楽勝だったね!

 ……まあ、そういうことにしておいてよ。もうやりたくないけれども!

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