第3話 情報収集

 

 フェル姉ちゃんが家に来た。


 ここはアンリがもてなさないと。あと、お礼を言わなくちゃ。


 フェル姉ちゃんがいる部屋に入ろうとしたらおじいちゃんが出てきた。


「アンリ、どこへいくんだい? こっちは危ないから入っちゃ駄目だぞ」


「フェル姉ちゃんに挨拶しないと。あと、お礼を言う」


「そんなことしなくていいんだよ。お礼なら私達でするからね。それにあの方は魔族だ。今のところ暴れる気配はないけど、失礼な事をしたら暴れるかも知れないからね」


 フェル姉ちゃんが危ない? なんとなくだけど、そんなことは無いと思う。


「フェル姉ちゃんは危なくないよ?」


「なんでそう思うんだい?」


「昨日、小屋で赤くて丸い物を笑顔で食べてた。笑顔で食事をする人はいい人。それに寝る前におやすみなさいって言ってた。礼儀正しい子はいい子っていつもおじいちゃんが言ってる」


「ふむ、そんなことが……アーシャ、料理の用意をしておいてくれるか? フェルさんに食べてもらおう。私は皆に何かお礼となるものを持ってくるように伝えてくる」


「分かったわ。すぐにはできないから、お茶でもいれようかしら?」


 お母さんの料理をフェル姉ちゃんに振る舞うみたい。でも、お茶は良くないと思う。お母さんのお茶は熱い。フェル姉ちゃんに失礼な事をしたら暴れるんじゃないかな?


「では行ってくる」


 お爺ちゃんは家を出て行った。村の皆にお礼になるものを持ってくるよう伝えに行ったみたい。これはアンリの八大秘宝の出番かも。


「さあ、アンリ。お部屋で大人しくしていましょうね」


「断固拒否する。アンリはフェル姉ちゃんにお礼したい。八大秘宝の一つを断腸の思いで渡すつもり」


「そうなの? じゃあ、どれを渡すか考えないと」


「うん、その通り。これは時間が掛かる。どれも素晴らしい逸品だから」


 さっそく部屋に戻って考えないと。


 急いで部屋に戻り、ベッドの下から木箱を取り出す。犬のマークが書かれている私の宝箱。匠の一品。これ自体が八大秘宝の一つとは誰も思わないはず。先入観を逆手に取った発想にアンリは自分が怖くなる。


 木箱を開けようとしたら背後から鍵がかかる音がした。


 まさか部屋に閉じ込められた?


 しまった。罠だ。甘い言葉で部屋に誘導し閉じ込める。お母さんが良くやる手。これだから大人は信用できない。でも、引っかかるアンリもダメだ。もっとよく考えて行動しないと。


 仕方ない。フェル姉ちゃんとは後で会えるだろうから、まずは渡す秘宝を選ぼう。




 駄目だった。どの秘宝も渡せない。すごく思い出のある物ばかりだ。なにか別の物で勘弁してもらおう。


 部屋の鍵が外れる音が聞こえた。扉が開くとお母さんが立っている。


「アンリ、お昼ご飯にしましょう? お腹すいてるでしょ?」


 お母さんは笑顔でそんなことを言っている。でもアンリは閉じ込められたことを根に持っている。冷戦状態だ。


「今日はアンリの好きなワイルドボアステーキよ。しかも付け合わせのピーマン無し」


「それはアンリに対する謝罪だと受け取った。争いは良くない。休戦協定を結ぶ」


「そうね、争いは良くないわ。さあ、早く食べましょう」


 秘宝をちゃんと箱にしまってベッドの下に置いておく。でも、どうしよう、フェル姉ちゃんに渡すものを考えないと。


 食堂へ入ると、おじいちゃんとお父さんがテーブルに座っていた。テーブルの上には既に四人分の料理が用意されている。すごくいい匂い。ワイルドボアステーキは久しぶり。そして邪魔なピーマンもいない。味わって食べよう。


 アンリ用のちょっと高めの椅子に座ると皆で「いただきます」と言った。


 おじいちゃんがお肉を切りながらアンリの方を見ている。例えおじいちゃんでもあげるつもりはない。食うか食われるかだ。


「アンリの言う通りだった。フェルさんはワイルドボアの料理を眩しいくらいの笑顔で食べていたよ」


「やっぱりいい人。多分、あの赤くて丸い食べ物もおいしいはず。アンリに分けて欲しい」


「よく分からないのだが、フェルさんは鞄すら持っていない。食べ物はどこに持っていたんだ?」


 おじいちゃんはお母さんの方をみて質問しているみたい。アンリの憶測だとあれは空間魔法。私も秘宝をしまっておきたい。


「多分だけど空間魔法ね。取り出したのはリンゴとなにかの本だけだったわ。でも、その後、亜空間からスライムがでてきたの。魔物を亜空間に入れられるほどなんて相当な空間を作らないと無理なのにね」


「本当かい? それは凄いね」


 お父さんもびっくりしている。私もびっくりした。あれがリンゴ。エルフの森で採れる高価な果物だ。


 おじいちゃんが顎に手を当てて思案顔になった。


「空間魔法にも驚いたが、リンゴ? まさかエルフ達から奪ってきたのか?」


「それは分からないわ。でも、可能性は高いと思う」


「ふむ、もしかしたらエルフがこの村に来るかもしれないな。エルフの森に近づかなければ向こうは無関心なんだが、リンゴを盗んだとなるとひと悶着あるかもしれん。村の皆に気を付けるよう言っておくか」


 エルフ。聞いたことはあるけど見たことはない。耳がとがっていてものすごく長生きとか聞いたことがある。


 いや、今はエルフじゃない。そんなことよりもフェル姉ちゃんのことを聞きかないと。


「おじいちゃん、フェル姉ちゃんはどうなったの?」


「うん? フェルさんならしばらくこの村に住むことになったよ。お金になりそうな品を差し上げようかと思ったんだがね、村に滞在する許可が欲しいと言ったので、お礼の品は渡さずに、森の妖精亭を二週間ほど無料にすることにしたよ」


 フェル姉ちゃんはしばらくこの村に住むんだ。これは楽しいことが起こりそう。それにお礼の品はいらないみたい。なら秘宝はあげないでいいかな。よかった。


「アンリ、フェルさんに会いに行っちゃいけないよ?」


 まさかの面会謝絶。おじいちゃんは横暴。ここは理由を確認しないと。


「どうして?」


「フェルさんはいい人かもしれないが魔族だ。魔族に関しては分からないことが多いからまだ接触しないようにしなさい。もう少し様子をみないとなんともいえないからね」


 大丈夫だと思うけど、おじいちゃんがそう言うなら仕方ない。アンリはまだ扶養される側。大人の要望は聞いておかないと。


「うん、分かった。でも後でちゃんと紹介して」


「もちろんだとも。今度、森の妖精亭にご飯を食べに行こう。多分、夕食時に行けば食堂にいると思うからね」


 森の妖精亭にいるニアおば――お姉ちゃんは料理が得意。あれはやみつきになる。あまり食べるとお母さんの料理が食べられなくなるから気を付けないと。たまに食べるのがベスト。


 ステーキを食べ終わった。


 フェル姉ちゃんに接触してはいけないけど、村の皆に話を聞いてみよう。フェル姉ちゃんのことをなにか聞けるかも知れない。


「ごちそうさま。ちょっと出かけてくる」


「アンリ、これから勉強の時間だろう。遊びに行くなら終わってからにしなさい」


「夜盗に襲われた次の日くらいはお休みしたい。この要求は妥当だと訴える」


 徹底抗戦。負ける訳にはいかない。自由を手に入れるんだ。




 ダメだった。


 おじいちゃんは私に勉強ばかりさせようとする。勉強より大事なことがあるはずなのに。わんぱくに育ちたい。


 窓から外を見ると薄暗くなっている。でも、ちょっとくらいなら出かけても大丈夫かな。村の皆にフェル姉ちゃんの話を聞いてみたい。


「勉強が終わったから出かけてくる」


「どこへ行くの? フェルさんに会いに行っちゃダメよ?」


「大丈夫。雑貨屋さんと冒険者ギルドに行ってくるだけ」


 ヴァイア姉ちゃんとディア姉ちゃんならなにか情報を持っているかもしれない。聞いてみよう。


「そうなの……それじゃ、ヴァイアちゃんの雑貨屋で発火の魔道具を買って来てくれる? これお金ね」


 お母さんから大銅貨一枚を渡された。ものすごく大金。無くさないようにしないと。ボタンのついているポケットにしっかりしまう。


「あと、ギルドは気を付けてね。地下に夜盗を捕まえてあるからそれも見に行っちゃダメよ。あと遅くならないようにね」


「うん、遅くならないようにする」


 許可は貰った。まずは冒険者ギルドで調査しよう。




 冒険者ギルドの大きな扉を開けて中に入る。カランカランとドアベルが鳴った。この音が好き。


「あれ? アンリちゃん? どうしたの、こんな時間に?」


 ディア姉ちゃんがカウンターから乗り出してアンリの方を見た。ここのカウンターはアンリの背より大きいからちょっと大変。ディア姉ちゃんを見上げていたらカウンターから外に出て来てくれた。そして目線に合わせるようにしゃがんでくれる。


 ディア姉ちゃんは結構オシャレ。今日の服は緑っぽい感じ。気にいっているのかいつも着てる。そしてお仕事中はバンダナを細くしてカチューシャみたいにつけてる。これも緑色。色を合わせるのはオシャレポイントが高いと思う。


 あと、ディア姉ちゃんは服を自分で作れるくらいに裁縫の腕がいい。村の皆もちょっとした服のほつれなんかを直してもらっているみたい。この服も自分で作ったのかな?


「どうしたの、私のことじっと見て? あ、もしかしてギルドに仕事の依頼?」


「ディア姉ちゃんは面白いことを言う。この村に冒険者はいないから依頼を出しても処理されない。村の常識」


「村の常識なんだ……でも、アンリちゃん。その情報は古いね!」


「本当? アンリは流行に乗り遅れてる?」


「聞いて驚くといいよ! なんと! 魔族のフェルちゃんが冒険者になることが決まったよ!」


 謀らずともフェル姉ちゃんの情報が聞けた。でも、これは個人情報の漏洩だと思う。


 ゆっくりと壁にある掲示板をみた。すごくきれいで使われた様子がない。


「お仕事がないのにフェル姉ちゃんは冒険者になったの? うっかりさん?」


 そう言えばフェル姉ちゃんは朝なのにおやすみなさいとか言ってた。極度のうっかりさんなのかもしれない。


「やだな、アンリちゃん。こういうのはね、ニワトリとタマゴ、どっちが先か、という話だよ。知ってるかな?」


「知らない。親子丼の話?」


 アンリなら一緒に食べる。先も後もない。


「違うよ。ニワトリとタマゴ、どちらが先に存在したのかって話。アンリちゃんはどっちだと思う?」


 どちらが先に存在した? タマゴはニワトリが生むんだからニワトリが先に決まってる。


「ニワトリ」


「でも、ニワトリは卵から産まれるんだよ? タマゴが先かもしれないよ?」


「ニワトリはすごく頑張って卵を産めるように進化した。だからニワトリ。それにタマゴから生まれるのはヒヨコ。ニワトリじゃない。そしてヒヨコが進化してニワトリになる」


 完璧な理論。


「ああ、うん。アンリちゃんには早すぎる例えだったね。簡単に言うとこのギルドに依頼がないのは冒険者がいないからだよね?」


「うん。あと、営業努力が足りない」


「ものすごい角度から抉ってくるね。でも、ほら、冒険者がいるなら仕事を依頼しようという人がいるかもしれないでしょ? フェルちゃんが冒険者になったって分かれば依頼も増えるよ。多分」


 理解した。冒険者がいないから依頼がなかっただけで、冒険者いれば依頼が増えるという話なんだ。


「すごい、ディア姉ちゃん。策士」


「ふふ、分かってくれた? それにフェルちゃんは魔族だからね。冒険者として登録してもらうと、こう、ギルド内で私が目立てるよ!」


「それはよく分からないけど、ディア姉ちゃんが自分のためにフェル姉ちゃんを利用すると言うことは分かった」


「悪意ある感じで理解してくれてるね!」


 フェル姉ちゃんが冒険者になったみたい。もしかして私も冒険者になったら一緒に遊びに行ける? すごく楽しそう。


「ディア姉ちゃん。私も冒険者になりたい」


「アンリちゃんはいくつだっけ?」


「五歳」


「さすがに若すぎるよ。どのギルドもそうなんだけど、加入できるのは特例でも八歳から、普通なら十五歳からだからね」


「そこをなんとか。将来性込みで。それに黙っていればバレない」


「バレるから。それにそんなことしたら私がギルドの受付嬢をクビになっちゃうからダメ」


「ディア姉ちゃんがお仕事サボっているのは誰にも言わないから」


「どこでそういう交渉を覚えてくるの? でも、それを言ったらアンリちゃんだって勉強サボってここに来てるのを村長さんに言っちゃうよ?」


 人質を取ったら、逆に人質を取られた。この交渉は失敗だ。


「仕方ない。諦める。安全な拠点は必要。世知辛い」


「難しい言葉を知ってるね!」


「じゃあ、冒険者になるのは諦めるからフェル姉ちゃんの事を教えて」


「そういえばさっきからフェル姉ちゃんって言ってるね? 興味あるの?」


「うん、アンリの勘が囁いてる。フェル姉ちゃんは面白いって」


「あー、なんとなく分かるよ。すごく強いのに鼻にかけていないっていうか、普通の女の子って感じだし。フェルちゃんには人を惹きつける何かがあるんだろうね」


 そう、なんとなく惹きつけられる。お友達になりたい。ううん、部下にしたい。多分、ものすごく有能。いずれ人界を統べるときに必要な人材だと思う。


 あ、いけない。雑貨屋さんにも行かないと。


「フェル姉ちゃんのことは後で聞かせて。アンリはこれから雑貨屋さんに行ってくる」


「もしかしてヴァイアちゃんにも聞きに行くの?」


「それもあるけど、発火用の魔道具を買いに行かないといけない。これは重要ミッション」


「そっか、じゃあ、何か情報があったら教えてあげるから、また来てね」


「うん、それじゃ」


 ディア姉ちゃんが手を振ったのでアンリも振り返す。礼儀は大事。さあ、次は雑貨屋さんだ。




 雑貨店に入ると独特の香りがした。いろんなものが置いてあるからかな? 結構好き。


「あれ? アンリちゃん? いらっしゃい、どうしたの?」


 ヴァイア姉ちゃんがカウンターの中から出て来てくれた。


 ヴァイア姉ちゃんはいつもゆったりとした黒が基調のローブを着ている。ディア姉ちゃんと比べるとあまりオシャレじゃない。でも、長めの黒い髪を一本の三つ編みにして、横から前に垂らしているのはオシャレな感じ。素材で勝負するタイプだ。


 フェル姉ちゃんの事を聞く前に、まずは依頼を終わらせよう。


「アンリは今、重要ミッション中。発火の魔道具を売ってください。お金なら耳をそろえて持ってきた」


「一人でお買い物? 偉いね!」


 ヴァイア姉ちゃんが頭をなでてくれた。


 やれやれ、アンリはもう子供じゃない。三回じゃ足りない。せめて七回はなでて欲しい。


 大銅貨一枚を渡すと、発火用の魔道具を渡してくれた。タダの石っぽく見えるけど、魔力を通すと火が点く便利な道具。下手に魔力を通さないようにポケットにちゃんと入れておこう。


「ヴァイア姉ちゃんはフェル姉ちゃんに会った?」


「フェル姉ちゃん? ああ、魔族の人だよね。さっき来たよ……」


 どうしたんだろう? ヴァイア姉ちゃんがちょっと暗い。何かあったのかな?


「どうかしたの? フェル姉ちゃんにイジメられた? アンリがやり返す?」


 フェル姉ちゃんはいい魔族だと思ったけど、ヴァイア姉ちゃんをイジメるようならアンリが黙ってない。魔剣を振るう時が来た。


「ううん、そういうんじゃないんだ。魔族の人と話をしている時に魔法が使えない現実を思い出しちゃって、ちょっと泣いちゃったんだよね」


 ヴァイア姉ちゃんは魔法が使えないちょっと残念なお姉ちゃん。でも、気にすることなんてない。ここはアンリが慰めよう。


「ヴァイア姉ちゃんは残念なお姉ちゃんだけど、いいところがいっぱいある」


「……残念なお姉ちゃんだとは思ってるんだ? ちなみにいいところって例えばどこかな?」


「胸が大きい。それだけで人生勝ち組だって言ってた。将来安泰」


「だれが言っていたか、名前を教えてくれる?」


 ヴァイア姉ちゃんは笑顔なのにものすごく迫力がある。アンリはミスをしてしまったみたいだ。なら、その言葉を言った人を庇わないと。


「アンリの人生に賭けてそれは言えない。黙秘権を行使する。弁護士を呼んで」


 そう言うと、ヴァイア姉ちゃんはカウンター中にある棚からツボを持ち出してきた。


 アンリは知ってる。あれにはヒマワリの種が入ってる。


「ヒマワリの種をあげるから教えて?」


「アンリを甘く見てもらっては困る。そういう取引には応じない」


「普段三個のところを十個あげるよ?」


「ディア姉ちゃんが言ってた」


 アンリは弱い子。ディア姉ちゃんを売ってしまった。でも、ヒマワリの種十個は破格。五個までなら耐えたけど、倍の十個はもうダメだ。司法取引に同意した。


「そっかー、アンリちゃん、今日はもうお店を閉めるよ。ちょっとディアちゃんとお話をしないといけないからね」


「うん、お話は大事。知っていると思うけど、情報提供者の名前は伏せるもの。あと、証人保護をお願いしたい」


「大丈夫だよ、アンリちゃんに迷惑はかけないから」


 全面的に信じる。今、ヴァイア姉ちゃんは悪い顔をしているけど、本当はすごく優しいから大丈夫。多分。


 フェル姉ちゃんのことは聞けなかったけど、それどころじゃなくなったみたいだ。なら明日でもいいや。


「じゃあ、もう遅い時間だからアンリは家に帰る。見送りは不要」


「うん、それじゃまた明日ね」


 ヴァイア姉ちゃんと別れて帰路についた。


「ただいま」


 すぐに家に入って、お母さんに発火の魔道具を渡す。もう少しで夕飯だから部屋で待っててと言われた。


 部屋に入って、ベッドにダイブ。やってはいけないと言われているけど、そう言われるとやりたくなるのが心情。


 そして仰向けになって天井を見る。今日得られたフェル姉ちゃんの情報を整理しよう。


 フェル姉ちゃんは冒険者ギルドに加入したみたい。


 ギルドに依頼したらフェル姉ちゃんがやってくれるのかな。遊んでもらうとか、勉強をサボった時の護衛とか頼みたい。でも、依頼の相場って知らない。出世払いにしてもらおう。


 ……あれ? 他に情報はないや。


 よし、明日もフェル姉ちゃんのことを調査するぞ。

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