第4話 で、どこから始める?

考えてみたら、15年前に引っ越して以来、引っ越しというものをしていない。さて、どこから始めればいいんだっけ?


荷造り?各種契約の打ち切りとか?そう。わからないときは速やかにグーグルへ。段々頭使わなくなってるな。


役所の手続き、自動車や各種保険の手続き、住所変更などなど。あれ、そういえばビザとかも必要だよね。どうしよう...と思っていた時に会社から派遣されたコンサルタントから連絡が。全部サクサクと指示を出し、いつまでに何を決めてください、という懇切丁寧な指導のもと、何とか全体像がつかめた。


しかし、決めなければならないことが多すぎる。


例えば引っ越しの手続き。家具は何を持っていきますか?と聞かれても...みんなどうやって決めてるの?


そこで現地の同僚に確認。ルクセンブルグでは、住宅の需要が供給を上回る状態で、気に入ったところが見つかってもほぼ即決しないとすぐになくなってしまうこと。また、ほぼ50%の確率で、家具付きの物件であることを教えてもらった。


自分の家具を船便に乗せたが最後、家具付き物件には住めないことになる。家具がついてなくても、実際に家具に合わせた物件が見つかる可能性も低い。そこで、家具は一点を除きすべて両親へ譲ることに。


車とか自転車、その他売れるものはすべて売り、いらないものはすべて粗大ごみに出し、これまでの人生でためてきた様々なものを断捨離して、荷造りを終えた。


と、こうやって文字にしてみると簡単そうだが、実際は、一つの置物を見ては物思いにふけり、最後までもっていくか、もっていかないか、迷ったものもたくさんあった。


こちらに持ってきてよかったもの。100均やニトリのジップロック風の袋。お茶パック。無印のスキンケア商品。ユニクロのヒートテック。菜箸など。


持ってきて無駄だったもの。お椀(ほかのもので代用可能)、茶道の道具一式(そもそもつかわない)、味噌や梅干しなど重い日本食(高いがこちらで調達可能)。布団を干すときに使う巨大洗濯ばさみ(布団を干す文化がない)など。


しかし、そんなことを知る由もなく、こちらに引っ越して開梱してみたら、こちらではいらないものが次から次へと出てきたのでした。

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