第13話

「キシャァァァー!」

「ピギィィィーー!」 

 

 シーナとか言う悪女のせいで地下室に閉じ込められてしまった。しかも、ただの部屋ではなく魔物がいる部屋に。 

 

 私が大きく深呼吸すると、魔物たちは徐々にこちらへ向かってきた。 

ざっと20体くらいか…。体長3メートルくらいの大きな敵から犬くらいの小さな敵まで。 

 あの女は『片付けろ』と言っていた。 

 

 「やってやるよ!」 

私は壁に立てかけてあった箒を手に取って竹刀を握るように構えた。

 「面ッ!」 

私は大きく声を上げて、ゴーレムらしき魔物の頭に一撃を決め込んだ。 

 すぐにゴーレムは形を崩して倒れる。

魔物のくせに意外と弱いな…!案外簡単に勝てるかもと思っていると後ろからトリのような魔物が私を襲ってきた。 

 「くっ!」 

 急いで受け身を取りながら倒れた。そのまま「腕ひしぎ十字固め」で魔物の動きを封じる。

 起き上がってすぐに小さな魔物たちを蹴散らし、なんだかんだで残りは4体だ。 

 

 3メートルくらいのクマのような敵が1体と自分と同じくらいのサイズが2体、シカみたいな敵が1体だ。 

 小さい敵を利用しながら、まず最初に大きなヤツを倒そう。 

 

 私は鋭い牙と角を持った黒いシカをおびき寄せた。 

よし。いい感じの間合いだ。私は後ろから助走をつけてシカの背中に飛び込んだ。 

一度シカの背中で弾みをつけて大きく飛び上がった。 

 「はぁッ!」

空中で身をひねって、思い切り体重をかけて回し蹴りを決めた。 

 見事に大きなクマのような魔物の両目に蹴りが当たり、魔物は顔をうずめて下を向いた。 

 

 下を向いて小さくなった敵をめがけて、私はもう一度助走をつけて飛び上がった。大きく振りかぶって、突き技をきめる。渾身のパンチだ。 

 魔物は見事に意識を失ったようなので私は残る敵を片付けようとした。

  

 もう一度、箒を手に取りゆっくりと間合いを詰めた時の事だった。 

 

 ドオーンと大きな音が耳を突き刺した。すぐにゴロゴロと低い音が鳴り響き、思わず私は身をすくめた。雷か…! 

 その隙に魔物の攻撃をくらってしまった。

「イっ…。痛い…。」 

右の脇腹を手で押さえる。 

  

 そういえば、今日は午後から雷予報だと言っていたではないか。 

まさか、魔物ではなく雷のせいで負けるなんて…。 

 

 じりじりと3体の魔物が私に近づいてきた。今すぐに攻撃しなければ。しかし、体に力が入らなかった。 

 誰か…。助けて…。 

 

「ティア!」 

突然、何者かに名前を呼ばれた。 

ゆっくりと目を開けると、そこにはレイ様がいた。 

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