第27話

今月から週一になります。来週の月曜か日曜に更新です。



 山城国の一部と和泉国全ての落城の情報をどう扱うかは父や祖父に任せた。次の日、俺は帰ってきた豊持達を出迎えに城の先まで向かっていた。先行する部隊から先触れを貰い待っていると部隊の中心にある輿が複数見えてきた。きっとあそこに乗っているのは細川晴元、足利義晴、足利義藤、近衛稙家、久我晴通などなのだろう。

 こちらは元々下馬した状態というか、馬にも乗れないので立って待っていると俺に気づいた壱岐守が頭を下げてこちらに歩いてきた。


 「ただいま戻りましてございます。わざわざのご足労ありがたく思いまする。」


 「なに、頑張ってなんども俺の代わりに動いてくれる壱岐守に対してこの程度のこと当たり前よ。あちらの輿におわす方々が…。」


 言い終わる前に公家らしい雰囲気の男が降りてきてこちらに近づいてきた。


 「お主が六角亀松丸殿か?」


 俺は片膝をつくと頭を下げて答える。


 「はっ、六角義賢が息子六角亀松丸にございまする。」


 「そうか、そうか。お主の心付けのおかげで今年の年末年始は帝も我々近衛も笑顔で過ごす事ができた。感謝する。さぁ、立ってくだされ。是非とも話をしましょうぞ。」


 稙家をきっかけに久我晴通やそのほかのもの達を紹介される。そこに体が大きく目が鋭い男がやってきた。


 「細川右京大夫でおじゃる。はよ、案内せぬか。」


 俺と稙家が談笑しているのが気に食わなかったのか苛立ちを見せながら近づいてきたこの男が細川晴元か。


 「これは失礼致しました。すぐに案内させまする。壱岐守、頼むぞ。」


 細川晴元に対しては祖父に振るとして足利親子にも挨拶をせねばならぬな。俺から話しかけに行ってもいいものだろうかと考えていると。


 「亀松丸殿はまだ将軍家の方々には挨拶した事がないであろう?ワシが仲立ちするゆえどうだ?」


 「是非ともお願いしたく思いまする。よろしくお願い申す。」


 稙家に先導されて輿の1つに向かう。


 「こちら、六角義賢殿の嫡男、六角亀松丸殿にございまする。我々を迎え入れるために兵を寄越してくれたのもこの者のおかげにございまする。是非ともご挨拶をしたいとの事で連れて参りもうした。」


 稙家の紹介中も片膝をつき頭を下げ続ける。


 「うむ。其方の忠義に感謝するぞ。これからも幕府を支えてくれ。」


 少し年若い声がする。これは息子の足利義藤の方か?


 「はっ!父と祖父は皆様を迎え入れる用意をしておりまするので後ほど挨拶をさせて頂くと思いまする。どうぞご安心して過ごしてくださいませ。」


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