第1話 英雄の師匠が生まれた日。

トスゲストロン王国。その国で英雄の師匠、または英雄が生まれた。


英雄の師匠は王国の小さい村で生まれ育った。


このトスゲストロン王国はよく内戦が勃発するぐらい治安が悪かった。師匠が生まれたのも村が内戦に巻き込まれた日だった。


「やばいぞ!皆!近くの村が攻めてきた!!」

「うっそだろ!?あそこは同盟を組んでたはずだぜ!?」

「それが...俺らの村の所有物だった山があるだろ?そこで金が見つかっただろ?それが伝わった瞬間に同盟を破棄したそうだ!」

「マジかよ!?今すぐ逃げねぇと!」


そんな会話をして、皆が必死に逃げている中、1人の女性が取り残されていた。

どうやらこのタイミングで産まれそうなようだ。


「うっ...なんでっこんな時に...落ち着いて...」

「 おい!大丈夫か?くそっこんな時に!隠れよう!」


夫が来て、とりあえず茂みの裏に隠れたが見つかるのも時間の問題だろう。


「うっ産まれるかもしれない...」

「本当か!?よりによって今...しょうがない!今出産するしかない!」


夫は急いで嫁に出産の手伝いをしてあげた。


「大丈夫だぞ...痛い時は俺が支えてあげるからな...」

「うっ、痛い...」


そう苦労し、隠れながら出産すること約30分。ついに産まれた。


「ついに...産まれたぞ...!俺たちの赤ちゃんだ...!」

「可愛い...うっ...」

「大丈夫か?ちょっと休もう。早く赤ちゃんを連れて逃げよう!でも、逃げれる可能性は少ないが...」

「だめ...私たちが赤ちゃんを連れてそのまま逃げるなんて...赤ちゃんにも命の危険がある...ここは置いてくしかないわ...誰かに拾ってもらうしか...」

「クソっ!!置いて逃げるしかないか...ごめんな...育てれなくて...大きくなるんだぞ...」


その後、隠すように赤ちゃんを木の裏に置いて逃げたが、夫婦はそのまま襲った村の人々に捕まり殺された。


そして事態はようやく収まったが、誰もいなくなった村には1人の赤ちゃんの泣き声が聞こえていた。


そして、そのわずか1時間後にとある男がその赤ちゃんを見つけた...


「おおっ...!なんと!こんなか弱い子供が取り残されているなんて...大丈夫じゃ...わしが育ててやるからのう...」

「オギャーオギャー!!」


その後その赤ちゃんはその男の家に連れられた。


「名前は決まっとらんのか?おそらく生まれて間もないみたいじゃし...よし!わしが決めるか!そうだな...お前は正義感の強い子に育って欲しいからジャスティスという言葉をちょっと捻ってスティジャンじゃ!我ながらいいセンスじゃのう...」


これが英雄を育てあげた英雄の師匠。トーマス・スティジャンの産まれた日である。







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