第5話:プラネタリウム

「はい、こちらが、『月』という星です。わかりますかー?」


すると、あちらこちらから


「知ってるー」「聞いたことあるー」


などの声が聞こえてくる。今日は小学生が学校のイベントか何かで、科学館に来ているらしい。


「じゃぁ、これ分かるかなー?『彗星』っていう星なんだけど」



だが、今回は、


「しらなーい」「なにそれー」


という声が多く聞こえた。


そして、係の人が言った。


「これ、『地球』っていう星なんだけど、知ってるー?」


すると、


「知ってる!知ってる!」


という声がよく聞こえてくる。


「この前、壊しちゃったんだよね!」


「そう!地球にはね、恐ろしい『人間』っていう生物がすんでいて、人間のすることが未来でこの星に影響するということがわかって、私たちが作った隕石で壊してしまったの!」


「そうそう!」


…ここにいる人は気づかなかったようだ。


――俺が、人間であることを。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る